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モラルなき駐車犯撲滅に「罰金◎万円」の掲示 賠償責任や法的な根拠は?

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TEXT: 猪狩清十郎  PHOTO: Auto Messe Web編集部

看板だけでは成立しない「契約合意」

 コンビニや商業施設の駐車場に「無断駐車・罰金5万円」といった看板をよく見かけます。たとえば、コンビニで買い物したついでに近所で小用を済ませ、一時間ほどして戻ったら店主がかんかんに怒っていて「駐車料金5万円払え」と言われたら払わなくてはならないのでしょうか。

 

厳に気をつけるべき罰金と料金とは

 もちろん、悪意がなくてもそのような長時間駐車は迷惑行為ですので厳に慎むべきですが、法的にはこのケースにある”罰金5万円”の効力はありません。理由は、法律上「自力救済」を禁止しており司法によらない損害回復は認められていないからです。そのため、一般市民が「罰金」を課すことはできません。

 この自力救済とは”実力行使”のこと。私設武装組織、私刑といった行為が許されると力が支配する社会になってしまいます。法治国家とは、司法による紛争解決のみを認めるもので自力救済は例外を除いて認められません。無断駐車車両にタイヤロックをかける、容易に剥がせないような張り紙をフロントガラス等に貼る、自費でレッカー移動するといった行為も過剰な報復行為と見なされ、逆に損害賠償を請求される可能性もあります。

 また罰金ではなく「料金」として請求することも民法上の契約の合意が成立していなければならず、看板の設置だけでは一方的な通告に過ぎず合意があったと認められるとは限りません。コインパーキングのように入口にゲートや発券機を設置し、利用規約や料金を掲示したうえで、利用者が時刻が打刻されたチケットを受け取るような「合意と見なされる意思行為」が必要になります。

 結論を言えば、罰金5万円の看板は無効ですが、損害賠償は可能というわけです。

 

大阪地裁では920万円の損害賠償判決

 では、無断駐車された側はどうすればよいのでしょうか。大阪地裁では長期間にわたりコンビニ駐車場を無断使用した損害賠償請求で、弁護士費用も含めて920万円の支払を命じたことがあります。この損害額の確定には周辺駐車場の料金を算定基準としており、相当額の請求権があると認定した証。

 すなわち、こうした司法手続きには時間も手間もかかりますが、写真やビデオ、期間を証明する証拠を保全しておくべき。警察は民事不介入が原則ですが、所有者の特定や移動の通告といった協力を得られる可能性もありますので、よほど悪質な場合は行政・司法の手を借りることもためらうべきではありません。

 コンビニの駐車場は商業施設として利用者に開放された場所ですが、一般的な私有地への無断駐車は「住居侵入罪(刑法第130条)」に該当する可能性あり。また、商業施設の場合は「業務妨害罪(刑法第234条)」を構成する可能性もあります。さらに、私道の通行が妨害された場合は「妨害排除請求」や「損害賠償請求権」が認められるので、肝に銘じておきましょう。

※写真の一部はイメージ

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