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峠の走り屋から開発者へ! 自らが作った「コペン」でチャンピオンまで獲得した「クルマ馬鹿」ダイハツ技術者の夢とは

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TEXT: 岡田幸一  PHOTO: 岡田幸一、殿村裕一

これからは、ちいさなクルマの時代がやって来る

「三菱でパリダカやWRCに携わっていたときは、正直、軽自動車を馬鹿にしていました。ランエボやパジェロとは真逆の存在でしたから。でも時代の流れとともにエコロジーが叫ばれるようになり、クルマの永続性を考えた場合、地球はどうあるべきか? という考えに導かれることになります。これから自分が乗りたいクルマは『ちいさなクルマ』だと思うようになりました」。

「当時、三菱にはボクが魅力的だと思う『ちいさなクルマ』の計画がなく、三菱ではありがたくも、人生の前半戦をやり切った感もあったので、39歳で思い切って転職することにしました」。

 雇ってもらえるかは不安だったというが、本人いわく“運良く”ダイハツ工業への転職が決まり、殿村さんの後半戦の自動車人生がスタート。ダイハツでは商品企画部門に所属。そこは文字通り、商品を生み出す企画をするのが仕事。いわゆるマーケッターだ。そこで2010年から新型コペンの企画が始まり、殿村さんはコペン開発チームのメンバーに選出された。

「コペンの開発チームには、商品企画の役割で参画しました。2014年6月に新型コペンが発売されるまでの間、チームは紆余曲折もあり、メンバーが入れ替わったりもしましたが、最初から最後まで、チームにずっといたのは、私一人だけなんです」。ダイハツ工業の殿村裕一さんとコペン

 ダイハツのなかの誰よりも新型コペンの開発に長く関わったのが殿村さんなのである。コペンに対する想いが、人一倍なのも納得できる。そして開発チームに関わるなか、初代のL880Kを購入し、コペンでジムカーナに出場することを目論む。

いよいよコペンでジムカーナに出場

 新型コペンの商品企画を進めるにあたり、殿村さんに与えられた重要な任務が、当時のL880Kコペンオーナーからのヒアリング。

「880コペンオーナーの皆さんがあまりにもコペンを愛し、コペンライフを楽しんでいらっしゃることが分かりました。これは、自分もそのなかに入らねばならないと思い、すぐさま880コペン(中古のディタッチャブルトップ)を購入したんです。そこで、学生時代から参戦していたジムカーナに出るしかない!! と考えました」。ジムカーナに参加しているL880Kコペン

 愛車となった880コペンでジムカーナに出場したものの、上位入賞(クラス2位)は一度あっただけで、目立った戦歴は残せていないという。事情を知らないまわりの目からすれば「ただのジムカーナ好きのオヤジ」に映ったかもしれない。だが、じつは、新型コペン開発の大役を担うという、そんな経緯が隠されていたのだ。

 880コペンで、自らジムカーナに参戦するようになった殿村さんは、ずっと思い描いてきた信念である“ちいさなクルマこそ偉い”をあらためて実感したそうだ。その後も迷うことなく、880コペンで、近畿ジムカーナチャンピオンシリーズのB1クラスへの出場し続けた。

新型コペンでチャンピオンを獲得

 そして、2014年に現行のLA400系コペンが発売されると同時に、マシンをL880Kから新型へとチェンジ。今度は、自分でつくったクルマを自ら評価し、さらには「ちいさなクルマの可能性」を世の中に証明して行く立場へと変わった。

 新型コペンではユーザー比率の高いCVTで、近畿ジムカーナミドルシリーズのATクラスに参戦。ATクラスは極端なことを言えば、2ペダル車両というザックリとした分け方以外は、駆動方式や排気量などに関係がなく、車種も問わないクラス。新型コペンでの確実な手応えは感じていたが、参戦開始当初は苦戦を強いられる場面も多かった。殿村裕一さんのL880Kコペン2017年仕様

 近畿ミドルATクラスに参戦して3シーズン目の2018年。2シーズンを通して熟成されつつあった新型コペンは、努力の甲斐あって激的に戦闘力がアップ。開幕戦では速さの進化を見せつけ、ランエボ、フィット、トヨタ86、フェアレディZ、ゴルフなどを相手に2位表彰台を獲得。殿村裕一さんのL880Kコペン2018年仕様

 軽自動車にとっては、不利でしかないメンツのなか、第5戦ではついに初優勝。全コペン関係者が歓喜に湧いた瞬間だった。その勢いに乗り、2018年はシリーズポイントランキング2位。となれば、次に狙うのはチャンピオンしかない。殿村裕一さんのL880Kコペン2019年仕様

 年は明けて2019年はまさに有言実行のシーズンとなった。優勝2回、2位2回、3位3回という素晴らしい結果で、見事に近畿ミドルATクラスのシリーズチャンピオンに輝いたのだ。殿村裕一さんのL880Kコペン2019年仕様

「チャンピオンなんて初めての経験で、最終戦までもつれたギリギリのポイント争いは緊張の連続でした。AT免許で運転できるクルマなら何でも出場OK(無差別級)のクラスで、一番小さい排気量のコペンでチャンピオンを獲れたことは大きな意味があると思います。最初に新型コペンに乗ったときの『これは行ける!!』という感覚が、正しかったことがようやく証明できました」。

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