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リヤの「車高調」が秘密! セレナe-POWERの福祉車両が「車いす利用者」に優しすぎた

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TEXT: 平塚直樹(HIRATSUKA Naoki)  PHOTO: 平塚直樹、日産自動車、トヨタ自動車

ハイブリッド・ミニバンで唯一スロープ式があるセレナの魅力

 近年、病院や介護施設などの法人ばかりでなく、障がい者や高齢者などを持つ一般家庭でのニーズも高まっている福祉車両。

 特にミニバンなどに設定があるスロープ式の福祉車両は、歩行が困難な人を車いすに乗せたまま、スロープを使ってクルマへ楽に乗り降りさせられるのが魅力。障がいを持つ子どもや高齢の親を学校や病院などへ送迎したり、一緒に旅行に出かけられるなどで、ファミリー層にも大きな支持を受けている。セレナe-POWERチェアキャブスロープタイプ

 中でも、日産の「セレナe-POWERチェアキャブスロープタイプ」は、ハイブリッド仕様のミニバンで唯一のスロープ式福祉車両。ミニバンならではの室内スペースの広さはもちろん、スロープでの乗降を楽にする車高調整機能など、使う側の視点に立った装備が充実しているのだ。

 そこで、ここでは、その魅力や特徴を日産の福祉車両製作を担当するオーテックジャパンに聞いてみた。

ファミリーが楽しめる車いす仕様車

 2019年8月にマイナーチェンジを受けた現行のセレナには、ガソリン車とハイブリッド仕様のe-POWERがあるが、そのいずれにもスロープ式の福祉車両が設定されている。

 ちなみに、日産では福祉車両のシリーズを「ライフケアビークル(LV)」というブランド名で展開している。これは、障がい者だけでなく、高齢者など幅広いユーザーが利用しやすい車両という意味を込めたネーミングだ。セレナはe-POWERのチェアキャブのスロープ角度が変えられる

 そのブランド名に、まさにぴったりといえる車種のひとつがセレナだ。

 チェアキャブスロープタイプには、車いすを2列目の左側シート位置に固定できる「車いす1名セカンド仕様」、2列目左側と3列目の各シート位置に(最大2台が)固定可能な「車いす2名仕様」、3列目に固定できる「車いす1名サード仕様」といった3タイプが用意されている。

 こういったバリエーションの豊富さが、介護施設や病院といった法人から一般ユーザーまで、様々なニーズに対応するのだ。セレナの車いす1名サード仕様

 特に、e-POWERにも設定がある「車いす1名サード仕様」では、3列目シートを左右に跳ね上げて車いすスペースを確保するため、車いすを乗せない場合は3列目にも人が乗れ普通のミニバンとして使える。

 乗車定員は、車いすを乗せない場合でガソリン車8名、e-POWER7名。車いすを乗せる場合はガソリン車で5名+車いす1名、e-POWERで4名+車いす1名となる。セレナe-POWERの4名+車いす1の乗車定員仕様

 これだけの人数が乗れるのであれば、ファミリー層でも子どもや高齢者などを学校や病院などへ送迎するだけでなく、買い物などの普段使いや旅行など幅広い用途に使える。

 オーテックジャパンの広報&デジタルマーケティングGr.高木氏によると、「現行のセレナになって、特にe-POWORのチェアキャブスロープタイプを選ばれる一般家庭のお客様は多いですね」とのことだ。

 ご存じの通り、セレナe-POWERはエンジンで発電しモーターで走行するシリーズハイブリッドというシステムを採用したモデル。その魅力はやはり100%モータードライブによる走行中の静粛性と、JC08モードで23.4~26.0km/Lという高い燃費性能だろう。

 チェアキャブスロープタイプでもそれらの魅力は同様。しかも、同じミドルサイズのミニバンでスロープ式福祉車両を設定するモデルは、他メーカーにもトヨタの「ノア/ヴォクシー」、ホンダの「ステップワゴン」などがあるが、標準モデルにはハイブリッドの設定があっても、スロープ式には設定がない。つまり、ミニバンのスロープ式でハイブリッド車が選べるのはセレナだけなのだ。トヨタのノアの車いすスロープ式福祉車両

 走行中に車内が静かな方が、例えば耳が遠い高齢者でも同乗者との会話を楽しみやすい。また、燃費がよければ、街乗りはもちろん、旅行などで遠出をした際もガソリン代がさほど掛からず財布にもやさしい。

 こういったハイブリッドのメリットが、家族に障がい者や高齢者がいるファミリー層にも高い人気を得ている理由だ。

スロープ角度を緩やかにする工夫

 セレナe-POWERのチェアキャブスロープタイプには、ほかにもユーザー目線で開発された数多くの装備が備わっている。そのひとつが、スロープを降ろして車いすを乗降する際にリヤの車高が下がることだ。

 これは「ニールダウン機構」と呼ばれるシステムで、車体後部を80mm下げることで、車いすの乗降時にスロープの角度を緩やかにすることができるもの。ガソリン車のセレナにも同じ機構が装備されている。セレナのニールダウン機構

 スロープ角度が緩やかな方が、介護する人が車いすを押して車内に乗せたり、降ろす際に支える場合も楽なことは想像できる。だが、セレナのチェアキャブスロープタイプには、車いすの乗降をサポートする電動ウインチも標準装備されている。車高を下げる機構まで付ける必要はあるのだろうか? 緩やかなスロープは車いすの人の視線も上向き気味になりにくく安心感がある

 前出の高木氏によると「スロープの角度がきついと、乗降時に車いすに乗っている方の顔が上方を向く格好になります。そういった体勢では『後ろに倒れてしまうのではないか』と不安になる方も多いため、できるだけ角度を緩やかにするために装備しています」という。ニールダウン機構で車高を下げるとスロープ傾斜は約10度

 セレナの場合、スロープの角度は車高を下げた状態で約10度。一方、車高を下げないと約12~13度になるという。ちょっとした角度の違いだが、車いすに乗っている人が乗降時に感じる安心感は、車高を下げた方がかなり高いのだという。車高そのままではスロープ傾斜は約12〜13度

 古くから福祉車両を手掛けてきたオーテックジャパン。セレナの場合、このニールダウン機構を2代目モデル(1999年~2005年・C24型)のスロープ式福祉車両から採用している。

 当時から、リアサスペンションのみ純正のトーションビーム式から油圧調整式に変更する方法を採用。長年培った実績などにより、故障などが少ない高い信頼性はもちろん、コスト低減などにも貢献している。

 オーテックジャパンでは、この機構のほかにも様々な工夫を施すことになったが、現行モデル発売時に旧モデルよりも数10万円の値下げを実施。ガソリン車で311万円~359万2000円、e-POWERで351万円~404万2000円という、他メーカーと遜色ないリーズナブルな車体価格(いずれも税抜)を実現している。

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