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映画評論家が名作の舞台となった神保町の古書と喫茶とカレー巡り【映画ロケ地巡礼】

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TEXT: 永田よしのり(NAGATA Yoshinori)  PHOTO: 永田よしのり(NAGATA Yoshinori)

  • 亀澤堂のどら焼き
  • かつてミステリー古書の専門店・富士鷹屋がここにあった
  • 珈琲と洋酒の店 さぼうる。さぼうる2ではナポリタンが食せる
  • 田村書店
  • かつて江戸川乱歩らが通った天ぷら屋はちまき
  • 八木書店
  • 誠心堂書店
  • 仙臺のカレーライス
  • 矢口書店。映画関連図書を探すならここ

映画批評家が案内! 神保町の映画ロケ地めぐり

映画批評家・永田よしのりが気になる映画のロケ地を探訪。今回訪れたのは、古書の街として知られる神保町(東京都千代田区)。東京都内の古書店の3分の1が集中するこの街には、和菓子や喫茶、カレーの名店も点在します。映画の舞台となった名店の数々を巡ります。

神保町古書店街のルーツは明治時代の学生文化にあり

明治初期(1880年代)に神保町界隈に創設されたいくつもの法律学校、大学の学生を顧客として、古書、法律専門書店が続々と開店した。年度替わりに学生たちが授業で使った教科書を売り、それを新入生が買う、というのが古書店街発展の始まりといわれている。

現在は大手チェーン店の古本屋で極めて不適性な値段で古書が売られ、自分の目と足で自分の欲しい本を適性価格で探す、という行為が激減してしまった。それは古書を“情報”や“転売品”として扱うようになった弊害のひとつだろう。だが、本当にその人が探している希少な古書を探すには神保町で……という人たちはまだまだ多い。

東京都内の古書店の3分の1が集中している神保町は、神田古書店連盟に加入している古書店だけでも約130店。そのジャンルは歴史書から映画、音楽、地図、マンガ、洋書まで幅広く、マニアや研究者は自分の捜し求める本と出会うために神保町古書店街に足繁く通うのだ。

学生街であることから、飲食店も充実している。ラーメン、カレー、蕎麦、天麩羅、洋食、珈琲店など、昨今のインバウンドの影響か、ネットで探した飲食店で舌鼓を打つ外国人の姿も多く見かけるようになった。

また九段下〜神保町〜小川町へと続く靖国通りを中心に北側と南側に分けられる古書店街は、どこかノスタルジックもありながら、新しい店舗も時代の流れとともに開店。何本もの映画が撮影されている。

映画『アナログ』にも登場した人気のどら焼き

地下鉄神保町駅(A5番出口)からすぐの場所にあるのが1905年創業の老舗和菓子店「亀澤堂」。出版業界では、ここのどら焼きや豆大福を土産に持参するのも定番。映画『アナログ』では二宮和也演じる悟が、母親の見舞いの品としてどら焼きを持って行く様子が描写されている。どら焼きや豆大福は夕方には売り切れてしまうこともある人気の品。確実に入手したい時はなるべく早めに出掛けて購入するのが良いだろう。

『珈琲時光』で浅野忠信演じる古書店主の舞台は…

小津康次郎監督生誕100年記念として、『非情城市』などで知られる候孝賢(ホウ・シャオシェン)監督が東京を舞台にした映画『珈琲時光』を撮影した。映画は小津康次郎オマージュがあふれ、静かな日常が描写されていく。浅野忠信演じる肇が経営する古書店の設定として使用されたのが、神保町交差点から水道橋駅方面の白山通り沿いに現存している「誠心堂書店」。古典書籍を中心に品揃えしている。

『森崎書店の日々』の舞台は紅茶店の倉庫だった?

失業してしまった主人公・貴子が働くのが、伯父・サトルが経営している古書店・森崎書店。映画の森崎書店自体は、すずらん通り沿いにある紅茶専門店「ティーハウスタカノ」の倉庫を使用していたようで、書店として現存はしていない。ちなみに森崎書店に並んでいた本は、すべて神保町駅からすぐの場所にある中野書店のものが使用された。

古書店巡りをしていた貴子が入った店は、今は閉店してしまった富士鷹屋。かつてはSF・ミステリー・ハードボイルドの専門書店で、マニアックな文庫もよく見かけた記憶が。誠心堂書店からすぐの場所にあり、同じ路地にはカレーで有名な「まんてん」があるので、場所自体はすぐに見つけられるだろう。

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