【知ってまっか?】ターボを付けるとなぜパワーが出る


自然吸気(NA)エンジンは
排気量以上の空気を吸い込めない

ターボチャージャーというのは、簡単にいえば、空気をエンジンに押し込むためのポンプの役割をする装置。
自然吸気(NA)エンジンでは排気量以上の空気を吸い込めないが、ターボチャージャーは排気量以上の空気をエンジン押し込んでパワーを高めることができるようにする装置なのだ。

エンジン性能を左右する三大要素は、

  1. 吸入空気量
  2. 燃焼圧力
  3. フリクション

と言われている。

このうち一番パワーに直結しているのは『吸入空気量』。
自然吸気の場合、1回の吸気で吸い込める空気の量は、そのエンジンの排気量が上限。
つまり2リットルのクルマなら、2リットルが上限。排気量を変えない限り増やすことはできない。
自然吸気エンジンでパワー出すためには、高回転化で時間当たりの吸入空気量を増やすしかない。

しかし、ターボという空気ポンプで、強制的に空気を圧縮して、2リットルのエンジンに、3リットルの空気を送り込んでやれば、排気量が1.5倍になったのと同じことになり、パワー&トルクもそれに比例して大きくなる。これがターボの狙いとメリットだ。

いわゆるブースト圧とは、このターボによって空気を圧縮したときの空気の圧力=「過給圧」のことを指す(ブースト圧の国際単位は「kPa」)。

仕組みも意外に簡単。
タービンホイールとコンプレッサーホイールという二つのプロペラをローターシャフトで直結し、エンジンから排出される排気ガスの圧力でタービンホイールを回し、コンプレッサー側で吸入空気を圧縮して、シリンダーに送り込むというもの。部品自体は、その外観から“かたつむり”などとも呼ばれているのはご存じの通り。
いまやF1、日産GT-Rなどのスポーツカー、軽自動車、さらには流行りのダウンサイジングターボまで、コンパクトなエンジンで大きなパワーが出せるターボは大流行り。

 

過給圧の制御や吸入空気の冷却が必要

しかし、ターボだっていいことばかりではなく、その制御は容易ではない。

排気ガスの力でコンプレッサーを回すので、放っておくと吸入空気量はどこまでも増える。
でも圧力がかかり過ぎると、当然のことながら、エンジンは弱いところから壊れていくので、適切なところでそれ以上過給圧が上がり過ぎないように制御する必要がある。
そのためターボにはアクチュエーターもしくはウエイストゲートバルブが装着されていて、過剰な排気を逃がすシステムになっている。

もうひとつは熱の問題。
タービンホイールは、高温の排気ガスで回されるが、その排気温は最大で900℃近くにもなる。
また吸入空気もコンプレッサーで圧縮されることで温度が上昇するために、インタークーラーで冷やしてからエンジンに送らないと膨張して体積効率が悪くなり(空気密度が低くなる)、ノッキング(異常燃焼)のリスクが増えてしまう。

タービンのシャフトの部分は毎分10万~16万回転で回るので、その超高温、超高速で回転するシャフトを潤滑・冷却するエンジンオイルの供給、品質、軸受けのベアリングやメタルなども非常に重要となる。写真は上がオイルの潤滑が悪くアフターアイドルなど気を使わなかったタービンのシャフト。スラッジが溜まっている。

もちろんターボ自体のサイズも大事な要素。タービンホイールやコンプレッサーホイールに、小さく軽い羽根を選べば、レスポンスがよくターボラグは小さくなる。
だが、その反面、高回転ではパワーが伸びなくなってしまう。一方、大きなサイズのターボにすると、ピークパワーを稼げる代わりに、レスポンスは犠牲になる。タービンホイールを回す力は排気量で決まるので、排気量と目的に見合ったタービンサイズをチョイスするのがポイントとなる。

(レポート:藤田竜太)

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