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オーナー直撃!SUBARU360を所有するためのノウハウとは

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  • SUBARU360、スバル360、旧車、オーバーホール、スバル360を所有

レストアにお金と労力が必要だが
それ以後は
維持しやすい”サブロク”

“スバル360(以下サブロク)を所有してみたい”との願望を抱くSUBARUファンは多いと思うが、実際にサブロクを所有するのはどれほど大変なのか? あるいは意外と簡単なのか? 長年にわたり日常的に乗れる状態のサブロクを維持し続けるサブロクマニアにサブロクの「買い方」「直し方」「維持の仕方」について尋ねてみた。

生誕から60年経った今もなお、コンディションがよければ都心でも普通に乗れてしまうサブロク。国沢光宏さんの所有される個体に乗る機会をいただき、あらためて”百瀬晋六イズム”の凄さを実感すると、自分でも所有してみたくなる。
そこでサブロクに精通したマニアでありオーナーでもある岩田さんにサブロクライフの現実を聞いてみた。

スバル360ベテランオーナー:岩田修治さんSUBARU360、スバル360、旧車、オーバーホール、スバル360を所有

サブロクに憧れたのがきっかけでスバルディーラーの整備士となり、仕事でも趣味でもSUBARU車の整備に明け暮れている。サブロクのほか初代サンバーなどSUBARU黎明期の軽自動車のすべてに造詣が深い。

岩田さんは現存するサブロクの中でも希少な商用車の『カスタム』と『ヤングSS』を所有し、いずれも完調なコンディションを維持して普段乗りにも使っている。岩田さんがSUBARUディーラーに入社した当時はすでにサブロクが入庫することはなくなっていたが、定年退職前のベテラン整備士からサブロクのメンテ術を受け継ぎ、趣味として30年近くにわたりサブロクのメンテやレストア経験を積んできたという。

 

マニアのネットワークを駆使すれば現実的に乗れる!

今回中心的に撮影したグリーンのカスタムは10年前にも取材した個体で、10年前よりもさらに調子がよくなっていることを確認。岩田さんのサブロク愛は健在どころか、ますます深まっている様子に大変驚いた。
朝から晩までさまざまなSUBARU車を整備する仕事をしているのに、”休みの日にサブロクをいじるとホッとして癒されます”というのだからすごい。SUBARU360、スバル360、旧車、オーバーホール、スバル360を所有
そんなサブロクは少ないながら今でも中古車市場で流通しており、検索すると10数台はヒットする。もちろん値段が高い個体ほど普通に乗れる可能性が高いわけだが、程度はそこそこの個体でも素性がハッキリしたものであれば直すのはそう難しくないらしい。
悪い状態でもフレームさえ腐っていなければ復活の見込みがあるので、安めの個体を手に入れてコツコツ直すのもよさそうだ。
逆に、パッと見は綺麗でもサブロクの鈑金塗装の知識と経験がない業者が仕上げた個体は内部の錆が進行しやすくなるので注意が必要。塗装も整備も、サブロクに精通した人が関わったかどうかで状態のよし悪しは大きく左右されるという。
メンテに関しては”自分ひとりだけでやろうとしないこと”が大事で、横のつながりからノウハウや情報を得るのが得策。パーツの入手も同様で、サブロクマニアの人たちと交流することによって適正な価格で正しいパーツを手に入れやすくなる。SUBARU360、スバル360、旧車、オーバーホール、スバル360を所有

サブロクに精通した人から有益な情報を得るには、ついSNSなどで質問攻めをしてしまいがちだが、それよりも旧車が集うイベントなどに足を運んで、マニアの人と直接対話をすることから人間関係を構築する方が話が早い。
また、メンテの作業は人任せにせず、自分自身の手で行なうことも大事で、その方が適応力が身につくし愛着も深まるという。旧車いじりの素人がサブロクを完調に仕上げて普通に乗れるようになるまでの道はそう簡単ではないが、途方もなく難しいわけでもない。
時間と情熱さえあれば、日常的にサブロクを乗り回すことは十分可能なので、これからも現実的な夢として密かに温めておこうと思った。

 

【サブロク所有までのQ&A】

Q.サブロクを手に入れるためにすべきことは?

A.まずはマニアたちとの交流を深めることをオススメ。

ネットを介した人間関係の構築も悪くはないが、やはりお世話になりたい人とは直接会うのが一番。旧車の鈑金塗装や整備をしてくれる業者さんとの関係構築も同様、直接的な対話を重ねて親しくなることが重要だ。

 

Q.買う際に注意すべきポイントは?

A.多くの個体で錆びやすい2箇所を要チェック。

マスターシリンダーとバッテリーの下の部分はほとんどの個体で錆びて腐る。塗装してわからない場合もあるので、入念にチェックしたい。車体の錆はフレームまで及んでいなければ修復可能。

 

Q.外装の注意点は?

A.安易なパテ盛りによる修繕。

画像右の赤の個体のように、サブロクに詳しくない業者さんが塗装するとフェンダーのつなぎ目をパテ盛りして塗ってしまいがちで、中に湿気がたまって内側から錆びやすくなるという。岩田さんも後悔した。画像左のグリーンの個体は健全な状態なので、これを基本としたい。

Q.パーツは今でも入手可能?

A.一部は今もメーカーから出るモノがあり、社外品も流通する。

『ムサシノオイルシール』など、純正品以外の対策品も流通している。ヤフオクにも多くのパーツが出品されているが、なかには相場よりも高い場合もあるので、詳しい人に適正な価格かどうかを確認してもらうほうがよい。

ガスケットなどの”紙モノ”は自作品での対応も可能。ガスケット紙と型があれば比較的簡単に作れる。

ピストンリングやミッションのオイルシールなど、いまだにメーカーから供給されるパーツも一部存在するそうだ。

 

Q.エンジンやミッションの整備の難易度は?

A.組み上げには専用工具や治具が必要。

エンジンやミッションの分解は比較的簡単だが、組み上げには専用の治具がある方が便利。岩田さんはサブロクが現役で走っていた頃にスバル店で使われていた整備道具セットを所有。大昔からスバル車を中心に整備してきた工場なら今でも使われている可能性がある。

 

エンジンをオーバーホールなどから組み上げる際、2気筒のシリンダーを左右で綺麗に並べるための治具があると失敗するリスクが低くなる。位置がずれるとインマニが割れるトラブルが発生しやすくなるという。ちなみに空冷シリンダーは黒い方が冷えやすいらしい。

 

Q.サブロクに乗ってて辛いことは?

A.夏の暑さより冬の寒さが辛い

岩田さんはオルタネーターを現代のクルマ用に変えてカーナビやETCが普通に使えるようにしているが、空冷エンジンの難点として冬の寒さが一番辛いとのこと。それは当時も問題視されていたようで、なんと助手席に灯油ヒーターを装備して対応。灯油ヒーターのメーカーは今も修理の対応をしてくれるというからすごい。

完調までの道のりは遠いが、街乗りも普通にこなせる

最初の段階でしっかり直せば、あとはあまりお金がかかることがないのはシンプルなクルマゆえの利点。岩田さん所有のサブロクは2台とも長期間好調を維持しており、片道100km以上のドライブも普通にこなせるという。右の写真にある『スバルマチック』とは完全分離潤滑方式のことで、6年目の改良型から採用。オイルや燃料の消費量が減り、連続高速走行の耐久性が向上している。SUBARU360、スバル360、旧車、オーバーホール、スバル360を所有

 

(TEXT/マリオ高野)
(リポート:SUBARUマガジン編集部)

 

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