クルマを文化する
REAL CAR CULTURE

AUTO MESSE WEB

クルマを文化する
REAL CAR CULTURE

AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

  • TOP
  • コラム
  • 制限速度が時速100kmから突然30kmに!? モノ凄いメリハリがある海外の交通規則事情
コラム
share:

制限速度が時速100kmから突然30kmに!? モノ凄いメリハリがある海外の交通規則事情

投稿日:

TEXT: 原田 了(HARADA Ryo)  PHOTO: Auto Messe Web編集部

日本国内に比べて速度域は高い。
が、目まぐるしく変わる速度制限に注意

日本国内では常に“取材はクルマで”を旨としているが、海外でもやはり“取材はクルマで”が基本。スケジュールに余裕がある時などに、エトランゼ気分を満喫するためにトラムや鉄道、公共バスを使用することもあるけれど、それでも基本的に移動はクルマだ。

そしてクルマの移動が、取材の手段にとどまらず、大きな目的(喜び)となっているのもまた事実。もちろん窮乏生活を強いられているアラ還のオヤジにとって、取材経費のスリム化は必須課題だから、フランスやイタリアのように高速道路が有料の国もあるけれど、イギリスやアメリカ、ドイツなど基本的に通行料が無料の国も少なくない。そのため、海外取材は長距離ドライブを楽しむ絶好の機会となっている。

しかし、海外のドライブで注意しなくてはならないのは、速度制限と駐車規則。そこで今回は速度制限について紹介していこう。

海外の道路は、一般的に日本国内に比べると速度域が高い。
ドイツのアウトバーンではまだ速度制限のない区間が多いものの、一部には速度制限がある。無制限の区間でも130km/hが“推奨速度”とされ、一般道でも時速100kmで走れるケースが少なくない。

片側1車線のワインディングが、実は制限速度100km/hだったりして、そこを古いシュコダに乗った老婦人がカッ飛んでいくのを見たりする。これは今夏に、アチラの交通事情の(歴史的な)違い、大げさに言うなら哲学の違いを感じさせられずにはいられなかった。
でもホント、あの御婆ちゃん、スゲー速かったよなぁ…。

しかしその一方で、町とか村の集落に入ったとたんに時速50km(場所によっては時速40kmだったり30kmだったりすることもある)に制限速度が変わる。多くの集落の入り口には速度違反を検知するレーダーが設置されているから、場合によっては時速100kmから時速30kmまで急減速が必要になってくる、という訳だ。

日本国内の一般道を走っているのとはドライビングのリズムが大きく違っているから、このリズムを掴むまでは慎重な運転が必要になってくる。
実際に日本国内では、高速道路以外を時速100km近くで走ることなどないため、気がつくと時速80kmぐらいに速度が低下していて、後ろからホーンを鳴らされることだってある。その一方で、前を行くクルマが減速して改めて集落に入ったのを確認し、慌てて急減速、ということもあった。要は慣れだ。

集落に入ったことを教えてくれるのが集落名を示す標識。これを見かけたなら時速50kmに減速すること。さらにその近くに制限速度を示す標識(形態は日本と同様で、白地に制限速度の黒数字を赤い丸で囲っている)があれば、その数字まで速度を落とす。
そして集落を過ぎ、集落の入口にあった集落名が書かれた上に斜めに赤線の入った標識が現れたら、また制限速度(90km/h)まで加速する。
この加速に関しても、少しでもモタモタしていたら後続のクルマが強引に抜いてくるから、やはり集落の出口を示す標識を見たら、素早く加速するのがベターだ。

しかしスロバキアで面白い経験をした。
それは集落の出口が、そのまま次の集落の入り口になっているケース。集落の出口を示す赤い斜線の入った標識と、(別の)集落の入り口を示す標識が2段重ねで表示されていた。もちろん加速することなく時速50kmを維持。次の集落を出てから時速90kmまで加速したのは言うまでもない。

因みに、速度超過、いわゆるスピード違反に関してはとてもシビアで、クルマのナンバーから所有者を割り出して当局がEメールを送付する。
Eメールには「何月何日、何処において制限速度何kmのところを速度何kmで走行。これは何kmの速度超過」と違反日時と場所、違反内容が示されている。これを受けてクルマの所有者は違反を認めるならEメールに示されたサイトにアクセスし、反則金をクレジットカードで支払って一件落着となる。
もし認めないなら正式な裁判となるようだが、反則金も大きな違反でない限り60〜70ユーロなので、それで済むなら面倒な裁判よりは、というのが大勢のようだ。
ちなみに、オンラインシステムが導入されていない管轄下での違反に関してはEメールが届いた後、海外の当局まで銀行から海外送金することになる。
こうなると反則金は日本円で7000~8000円と同程度なのだけれど、銀行に支払う海外送金手数料が、それと同額近く必要になり「オンラインだったら安く済んだのに…」とその知人は語っておりました。
違反関連の情報は筆者じゃなく知人の体験談、ということで。

 

この標識を見かけたら速度の切り替え準備を

これは今年6月、スロバキアのモラヴァニー・ナード・ヴァーハム・クラシックカー博物館/Classic Car Museumから自動車技術博物館/Technické Moto Múzeumに向かう際に通ったModrovkaで撮影したもの。
交通量が少なかったので、道端にクルマを停めて撮影できたが、通常なら見落としてしまうサイズ。特別な速度制限を示す標識はないから、ここからは速度制限50km/h、ということになる。
それにしても、ここまでは制限速度が90km/hだったのも、日本の状況では考えられない。羨ましい限りだ。

 

下の写真が二段重ね標識。Modrovkaの集落はここまでだけれど、出口はそのままLukaの集落の入口で、速度制限50km/hは継続してますよ、との意味がある。
Modrovkaの出口を示す赤い斜線の入った標識は目立つから、必然的に、その下にあるLukaの入り口を示す標識も見落とすことはないだろう。それにしても、今回原稿を書くためにチェックしていてModrovkaもLukaもグーグルマップで検索すると直ぐに出てくることには驚かされた。

 

そしてこちらがLukaの集落の出口を示す標識。
ここから先は、晴れて時速90kmでの巡行が可能になる。目まぐるしいまでに制限速度が切り替わるから、それに慣れる必要はあるが、一般道で時速100km近くまで出してかまわない、というのは有りがたい。海外のクルマが、下駄グルマと揶揄されるコンパクトカーでも高い実力を持っていて、特に高い速度域でのクルージングが容易であることは、こんな状況の中で鍛え上げられた証拠だ。

すべて表示
  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • ライター。現在の愛車は、SUBARU R1、Honda GB250 クラブマン、Honda Lead 125。クルマに関わる、ありとあらゆることの探訪が趣味。1955年、岡山県倉敷市生まれ。モータースポーツ専門誌の地方通信員として高校時代にレース取材を開始。大学卒業後、就職して同誌の編集部に配属。10年間のサラリーマン生活を経て90年4月からフリーランスに。モータースポーツ関連の執筆に加え、オートキャンプからヒストリックカーイベントまで幅広く取材。現在ではAMWに、主にヒストリー関連コラムを執筆。またライフワークとなった世界中の自動車博物館歴訪を続け、様々な媒体に紹介記事を寄稿している。
著者一覧 >

 

 

 

 

 

 

ranking

RECOMMEND

MEDIA CONTENTS

WEB CONTENTS

 

 

 

 

 

 

MEDIA CONTENTS

WEB CONTENTS

ranking

AMW SPECIAL CONTENTS