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かつて人気のスポーティタイヤ復刻!今どきのクルマでの性能チェック

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TEXT: 斎藤 聡  PHOTO: 増田貴広/Auto Messe Web編集部

タイヤは大進化してボディ剛性も大幅アップ!

 1980年前後に一世を風靡したスポーツタイヤ、ヨコハマタイヤ『アドバン・タイプD』、ピレリ『P7』が復刻されている。それらのタイヤは、何のために、そして当時の性能と比べて復刻版は現在のハイグリップタイヤのように優れているのか? 改めて復刻タイヤをチェックしてみよう。

 ここ30年くらいのタイヤの進化は、おそらくクルマの進化よりも急激だった。国内ではちょうど国産ハイグリップ・ラジアルタイヤが発売されたのが1980年前後。タイヤの構造がバイアスから現在のラジアルに代わったことで、タイヤのポテンシャルは格段に上がった。
 そのポテンシャルの高さを証明するかのように登場したのが国産ハイグリップタイヤ群、ブリヂストンのポテンザ(1979年)、ダンロップのフォーミュラ(1978年)、ヨコハマタイヤのアドバン(1978年)だった。

 中でもアドバンの第2世代となる「アドバンHFタイプD」は当時衝撃的なタイヤであり、大ヒット商品となった。左右非対称パターンで、しかもアウト側にはスリックタイヤのような溝のないデザインにディンプルが施されていた。レーシングタイヤをイメージさせる、いかにもグリップしそうなパターンを持たせていたのだ。ちなみにタイプDの「D」とはディンプルに由来する。

「アドバンHF」の登場が1978年、タイプDが1981年。そしていったん生産が終わった”アドバンHF”が1982年にタイプCとして復活するなど、いかにタイプDのインパクトが大きかったかがわかるだろう。

 タイヤ自体も左右非対称+縦溝主体のデザインは現在のハイパフォーマンスタイヤに共通するデザインだし、タイヤのイン側とアウト側でタイヤ側面の形が異なる左右非対称形状を採用するなど、超革新的な構造でもあったのだ。

 昨年「アドバンタイプD」が、旧車向けのタイヤとしてほぼ昔のままのディテールで登場。興味深いのは、現在にハイパフォーマンスなタイプDを復活させるのではなく、性能は当時のグリップ性能をあまり超えないように作られている点だ。

 確かにタイヤはグリップが高いほうが良さそうに思える。だが、1981年当時のクルマのボディ剛性は、現在とは比較にならないほど低く、最新のハイグリップタイヤを履かすとオーバーグリップとなり、逆に走りにくいし、クルマへの負担も大きくなってしまう。こういった影響から復刻スポーツタイヤのグリップ力は”適度”になっているのだ。

 じつは旧車用タイヤとしてはピレリの歴史は古く、「ピレリP7」は何度か復刻されており、最近も復刻されて話題になっている。実は10数年前に復刻したピレリP7に試乗した記憶がある。ウエット性能は優秀だったが、グリップ性能は「そうかこんなだったか…」といったものだった。

 ピレリP7は1970年代半ばにラリーで活躍したランチア・ストラトスの突出したコーナリング性能に合わせてコンペティション用タイヤとして開発。そのノウハウを盛り込んだ市販タイヤとしてピレリP7が商品化された。以降も様々なスーパーカーに装着され、高性能タイヤメーカー”ピレリ”の名を世界的に知らしめることとなった。

1970年代に超高速域を保証していた「P7」

 日本では、1970年代後半第一期にチューニングカーブームが巻き起こり、各チューナーは300km/hオーバーに向けてエンジンチューンにしのぎを削った。その際に高速用のタイヤとして活躍していたのがピレリP7だった。当時は非常に高価だったと記憶しているが、ZR規格(≒240km/h以上)を保証するタイヤは少なく、国産ハイグリップタイヤ群もHR(210km/h)がほとんどだった頃のこと。

 現在の「ピレリ・チントゥラートP7」は、スポーティ&エコタイヤとして、当時とは全く異なるキャラクターとして新たな進化を遂げている。ちなみに「P7 Blue」は欧州のラベリングではA/Aを獲得。日本のラベリングに照らし合わせると”AAA/a”に相当する超高性能な省燃費性能を備える。

 といった具合に歴史のあるタイヤが旧車向けに、当時の性能そのままに復刻してくれるのはありがたい。やはりクルマはスタイル。古くなった当時のタイヤを大切に取っておくのも,旧車にとって一つのオリジナルの守り方かもしれない。

 だが、すでにタイヤとしての性能は終わっているので、それで走るのは危険極まりない。ハイグリップタイヤの復刻は、その意味でもうれしいニュースといえる。

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