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車いすレーサー青木拓磨がEUのレースで今季初表彰台を獲得!来年のル・マンへの夢をつなぐ

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TEXT: 青山義明(AOYAMA Yoshiaki)  PHOTO: SRT41

2020年ル・マン24時間レース参戦への架け橋

 フランスで開催されるル・マン24時間耐久レース参戦を目指す車いすレーサー青木拓磨選手。その夢を果たすために2020年のル・マン24時間レースに参戦するフランスの「SRT41」チームと2018年に契約し、UltimateCUP選手権(ウルティメイトカップ)のLMP3クラスで戦っている。その第5戦は、スペイン・バレンシアの「リカルドトレモサーキット」で2019年9月27日~28日に開催。青木選手が所属するSRT41は今シーズン初となる3位を獲得した。

 青木選手といえば、2輪ロードレース世界選手権に参戦を開始した翌年の1998年シーズン直前にGPマシンのテスト中の事故によって脊髄を損傷。下半身不随となってしまったものの、レース活動のフィールドを4輪に移し、積極的にレース活動を行い、これまでパリダカ(ダカールラリー)他に参戦。そして、次なる目標としてル・マン24時間レースへの挑戦を目指している。

 青木選手が合流したSRT41は、人食いバクテリアによって四肢切断という障がいを負ったフレデリック・ソーセ氏(2016年にル・マン24時間レースの特別出走枠で参戦経験有)が代表を務めるチーム。

 ドライバーには、青木選手のほかに、フランス人のスヌーシー・ベン・ムーサ選手(左腕切断)、ベルギー人のナイジェル・ベイリー選手(青木選手と同じ下半身不随)という3人の障がいを持つドライバーによって構成されている。

 このメンバーで、2018年、フランス国内で行われる耐久レース「VdeV(ベドゥベ)耐久選手権」に参戦(5戦中3度の表彰台を獲得)。2019年シーズンはそこからステップアップし、欧州で開催されている「UltimateCUP(ウルティメイトカップ)」シリーズに参戦しているわけだ。また、今年6月には「ロード・トゥ・ルマン(RTLM)」というル・マン24時間レースへの参戦を目指すチームが挑戦するステップアップ・カテゴリーのレースにも参戦(レース1は36位、レース2は39位で完走している)。

 SRT41のマシン(ゼッケン84)はリジェJS P3という、LM-P3クラスに該当するプロトタイプのレーシングカーで、日産の5リッターV8エンジンを搭載する。このマシンで、ウルティメイトカップLMP3クラス(クラスU)に参戦しているのだ。

 全7戦で行われるウルティメイトカップの第5戦の決勝は4時間耐久レース。気温26度(路面温度45度)と、陽射しは多少厳しいものの過ごしやすい環境下でのレースとなった。チームSRT41は、スタートにナイジェル選手。2番手に青木選手、そしてスヌーシー選手が3番手というとオーダーで挑む。

 予選で9番グリッドを獲得した84号車は、ローリングスタートの2コーナーで少しはらんでしまい2台に先行されてレースをスタート。11番手を走行していたものの、20周目にリアタイヤがパンクし5コーナーでスピンを喫してしまったため、タイヤ交換というロスを余儀なくされた。

 レースは1時間を過ぎ、84号車は予定通りナイジェル選手から青木選手へドライバー交替しコースに復帰するが、マシンのバランスが悪くフィーリングがつかめず、ペースを上げられず苦しい走行を強いられる。

 このレースでは、レギュレーションで4時間の間に最低3回のピットインが義務付けられているが、フルコースイエローが出されたタイミングで、ドライバー交替なしのピット作業を消化。そして、この後マシンは復調しペースを上げることもできタイムも安定。クラス3番手まで順位を上げることに成功した。

 レースも終盤でニュータイヤに交換し、ドライバーは3番手のスヌーシー選手に交替。ここでSRT41にはボーナスタイム(通常のドライバーよりもドライバーチェンジで時間がかかるSRT41に与えられる救済措置)が出て2周と1分21秒が最後に加算されることとなった。

 このため、前を行く2番手のポジションが射程範囲となったものの、最後は燃費をセーブする走りを強いられ、チームはペースを落として3番手をキープする作戦に変更。それでも最終ラップには、ガス欠を示すランプがインジケーターに点灯し、さらにペースを落としながらもなんとかチェッカーを受けることに成功。結果、チームSRT41は、ウルティメイトカップ初の表彰台3位を獲得することとなった。

 レース後、青木拓磨選手は「SRT41に入って今年は一番苦しいシーズンで、なかなか成績が残せなかったですが、ここでの表彰台獲得は大きな一歩となりました。次回のレースでは優勝も狙える位置まで来たと思います。今から次戦が楽しみです」とコメントした。

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