「フィトンチッド」こそが鍵! ストレス解消は週末の「森キャンプ」が有効なワケ (1/2ページ)

「フィトンチッド」こそが鍵! ストレス解消は週末の「森キャンプ」が有効なワケ

ストレスにさらされると 免疫力が低下してしまう

 コロナ禍に襲われた2020年。未だマスクは手放せず感染者数を伝えるニュースが連日流れています。今年ほどウイルスや感染症を強く意識させられた年も珍しいですが、コロナウイルス自体まだその振る舞いの全貌が解明しきれてないこと、ワクチンや特効薬も開発途上であることを考えると、いまのところ自分で防御するしか有効な手立てはないのかもしれません。森林浴は植物の放つフィトンチッドを浴びることでもある

 ウイルスや病原菌からプロテクトしてくれている免疫には大きく分けて自然免疫と獲得免疫があります。常に体をパトロールして有害な異物を攻撃してくれるのが自然免疫。ある特定の病原体に特化して発動するのが獲得免疫です。獲得免疫を感染前に強化するにはワクチンが必要ですが、自然免疫は、栄養を摂る、よく眠る、軽い運動をするといった方法で高めることができます。キャンプで体験する森林浴で浴びるフィトンチッドは体の免疫力を高めてくれる

 ヒトの体はストレスによって自然免疫が低下してしまうことが知られており、コンクリートとアスファルトに囲まれ、時間に追われた都市生活で知らず知らずのうちにストレスを受け免疫を低下させています。ウイルスに対抗するためにもストレスから解放し、身体の防御システムを復活させておく必要がありそうです。

森で過ごすだけで免疫が活性化する フィトンチッドのチカラ

 フィトンチッド、という言葉を聞いたことのある方も少なくないと思いますが、このフィトンチッドはいわゆる森の香りです。フィトンチッドには松やヒノキが害虫などから身を守るために放出するテルペン類やファイトアレキシンが含まれ、人が呼吸などを通じて取り込むとリラックス効果が得られるため森林浴として健康増進効果が認められてきました。日本は国土の60%以上もが森林である

 この森林浴による健康増進には1982年に林野庁が森林浴構想を提唱したのをかわきりに、森林セラピー研究会や森林医学研究会が組織・設立されており、国土の約66%、2510万haもの面積を持つ森林大国である日本らしい研究分野と言えるかもしれません。

 その研究成果のひとつに国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所が2007年に行った「森林系環境要素がもたらす人の生理的効果の解明」調査で、被験者に2泊3日の森林浴を体験させたところNK活性(ナチュラルキラー細胞活性)が52.6%上昇し1週間後でも45%、1ヶ月後でも23%と高い値を示すことがわかりました。ナチュラルキラー細胞活性のデータ

 フィトンチッドを呼吸するとコルチゾールなどのストレス物質が減少することも計測され、抗がん蛋白質の増加も認められたとのこと。これほど強力な免疫増強効果がフィトンチッドに存在することが明らかになっています。森林浴と抗がん蛋白質の増加関係のデータ

針葉樹に限らず植物はさまざまな芳香を放っている

 そもそもヒトは進化のあいだずっと森で暮らしてきたわけで、石で街を作り都市を形成するようになったのはほんの5000年足らず。動力を得て文明生活を送るようになったのも産業革命以降の200年足らずです。集団生活を営むようになると感染症のパンデミックを経験するようになり、5000年前のエジプト文明からは天然痘の痕跡を残すミイラが発見され、14世紀のペスト、1918年のスペイン風邪など歴史的なパンデミックに襲われています。

 私たちはあまりにも森を切り、土を石やコンクリートで覆い植物たちから離れた暮らしを「文明」として推し進めてしまったのではないでしょうか。都市生活のストレスによって私たちの免疫力は低下し、森に帰ることでデフォルトに戻る、ということなのかもしれません。

 ちなみにハーブやお茶もまた植物の芳香を取り入れた食文化ですが、このハーブの香りもさまざまな効能を持ち、例えばバジルのα-ピネンには免疫賦活効果があります。日本人は杉、ヒノキで家を造り、イグサの香り漂う畳の上で生活してきました。植物の放出する効能を利用してきた日本文化

 サワラのお櫃、曲げわっぱ、笹・柿の葉、経木などで食材を包むのは殺菌と腐敗防止効果を知っていたからです。季節の変わり目に柚子湯や菖蒲湯に入る。刺身などの生モノにはワサビや生姜を添える。日本人は植物のチカラを取り入れた生活文化を持っていたのです。

画像ギャラリー