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「広い軽」の元祖! Nコロの愛称で親しまれたホンダN360の偉大すぎる存在

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TEXT: 御堀直嗣(Mihori Naotsugu)  PHOTO: ホンダ、Auto Messe Web編集部

FF方式の採用により室内空間を確保

 2輪のレースで培ったエンジン性能は他を圧倒し、次元の違う高性能ぶりを見せつけた。それだけでなく、外観も簡素でありながら一目で他車と見分けがつき、躍動感さえ覚えさせた。ことに、限られた車体寸法のなかで人が快適に居られる空間と、それを実現するためエンジンや変速機など機械類はフロントボンネットフード下に集約した前輪駆動(FF)であることを、見た目にも明らかにする造形であった。2018年のホンダコレクションホールが定期的に行っている動態テストに展示されたN360

 同様の構想により、スバル360も機能を明確に示す姿だった。ただ違うのは、スバルが客室後ろにエンジンなど機械類を集約した後輪駆動(RR)であったのに対し、N360は英国BMCのミニのような前輪駆動を採り入れたことだった。BMCミニのようなフロントエンジンを強調したN360

 当時はどちらも空冷エンジンだったが、時代が進むにつれて水冷エンジンが普及するようになり、この点でもFFを採用したN360は、その後のシビックの誕生にも継承されることになる。ホンダコレクションホールに展示されているN360のエンジン

低価格で高性能だったN360

 N360の発売価格は、31万5000円だった。ダイハツ・フェローは39万8000円、マツダ・キャロルは37万円だ。スバル360は58年当初42万5000円で、のちに38万円になっている。価格の安さはもちろんだが、それでいてエンジン出力は他をはるかにしのぐ高性能であり、価格に対する価値の面でもN360は抜群の魅力を持っていた。2017年の大阪オートメッセに展示されたホンダN360

 高性能エンジンであったことが、N360のモータースポーツへの発展性も促し、N360としての参戦のほか、フォーミュラカーやプロトタイプスポーツカーのエンジンとしても活用される。

 ホンダが伝統的に設計の本質とする「マンマキシマム・メカニズムミニマム(人のためのスペースは最大に、メカニズムは最小に)」の人間優先思想を最初に体現したクルマでもあり、これは今日も継承されている。そのブレない思想が、ホンダファンを魅了し続けるのだろう。2018年のホンダコレクションホールが定期的に行っている動態テストで走行をしたN360

独特の位置にあるシフトレバーのおかげで足下が広々

 ささやかな思い出としては、N360のシフトレバーは、ダッシュボードに配置されたフロアシフト風の操作方法であり、当時、ステアリングコラムにレバーを持つシフトや、床からレバーが伸びるフロアシフトはあったが、N360のコラムでもないフロアでもない、この操作方式が、ホンダが自ら生み出した独創の一つでもあったといえるだろう。運転での変速操作はフロアシフトと同様に行えながら、前席の足元はコラムシフトと同様に広々としているという、運転の喜びと室内空間の快適性を両立した創意工夫の表れであった。後期型のN360IIIのインパネ

 N360は、エンジン性能や特徴的な外観など様々に語られるが、このシフトレバーの操作方式も、いまだに忘れることのできないN360ならではの思い出である。

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