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初戦は91台もエントリー! ナンバー付きレース「ヤリスカップ」はなぜ魅力的なのか

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TEXT: 石田 徹  PHOTO: 石田徹/増田貴広/トヨタ

まずはコンソレーションレース

 開催初年度の今年は東日本と西日本の2地区で開催。6月5日の富士スピードウェイでは東日本と西日本を合わせた開幕戦として行われた。以降、東日本はSUGO→十勝→SUGOと転戦し、11月20〜21日の富士が最終戦の予定。西日本は鈴鹿→オートポリス→鈴鹿と転戦し、10月16日の岡山が同じく最終戦となっている。日時と場所はまだ未定だが、両シリーズ終了後に特別戦も開催される見込みだ。ヤリスカップ2021第1戦

 そして迎えた開幕戦のレースウイーク。前日の練習日はあいにくの大雨で、当日は曇り空だったが路面はウエットのまま。公式予選は15分間で、8時30分からのA組(2台が欠席して44台)と8時55分からのB組(45台)に分かれてタイムアタックに臨んだ。この日は当然、路面が乾くB組が有利となり、ポールポジションはB組の61号車・松本康平が2分17秒779で獲得。以下のグリッドは公平を期するために各組のタイム順に割り振られた。富士のスターティンググリッドは54台分しかないため、それに漏れたドライバーたちはコンソレーションレースに回ることになった。

 予定よりわずかに遅れて11時5分から始まったコンソレーションからは路面コンディションもドライに回復。わずか4ラップの超スプリント決戦だったが、3番グリッドからスタートした810号車の岩岡万梨恵が優勝を果たした。ヤリスカップ2021第1戦 じつは予選ではB組27番手と、ギリギリ通過できるタイム順だった岩岡だったが、決勝レースにはCVT車に5台分のグリッドを与えるという規定のため、コンソレーションに回ることになった。その不運を“ヤリスカップで初の優勝”というラッキーに変えて見せた。ヤリスカップ2021第1戦 なお、このコンソレーションレースでは、織戸学選手の娘である織戸茉彩もレースデビューを果たしている。

54台フルグリッドで決勝レース

 さて、8周の決勝レースもわずかに遅れて13時11分にスタート。54台フルグリッドの全車一斉スタートは、滅多に見られない大迫力のシーンだ。オープニングラップは随所で3台横並びを意味するスリーワイドや、一瞬だが4台が並走するスリリングなシーンが展開するも、全車がクリーンスタートと認定。ポールの松本から、5番グリッドの930号車・咲川めりまではポジションをキープした。ただし、その後方では11番グリッドだった99号車・大島和也と12番グリッドの108号車・峯幸弘が、それぞれ6台抜きのジャンプアップ。この流れが後半に生きてくる。ヤリスカップ2021第1戦

 序盤で光っていたのは、4番グリッドからスタートした38号車の神谷裕幸。彼は2017年のGR86/BRZレース・クラブマン部門のチャンピオンだ。早くも1周目に3位に上がり、2周目の1コーナー進入で鮮やかに2台をかわして先頭に立つと、その座をなかなか譲らない。そこに追いついてきたのが前述の大島だ。3周目の100Rで咲川と横並びに持ち込んで5位に、さらに4周目には先行する2台を抜いて3位に浮上。そして6周目の1コーナーで62号車・松原亮二のインを差すと、0.393秒差の2位でコントロールラインを通過。

 そして次の周、神谷と0.394秒差でファイナルラップに入った大島は、1コーナーでアウト側から並びかける作戦を取った。もちろん遠回りになるので届かないかと思った瞬間、神谷の加速が一瞬鈍って2台が並走状態に。次のコカコーラ・コーナーで前に出たのは、当然ながらイン側の大島だった。神谷も諦めずに最後のワンチャンスにかけるが、0.107秒及ばずの2位。

 そしてファイナルラップにもうひとつの逆転劇があった。最終コーナーで松原のインを差した松本が、ポールシッターの意地を見せるポディウム獲得となった。ヤリスカップ2021第1戦 以下、4位の松原、5位の34号車・渡辺圭介、6位の咲川までが規定により入賞。またCVTクラスは予選でもA組8位と健闘した20号車の乙津竜馬が、グリッドと同じ総合16位でフィニッシュして開幕戦のウイナーとなった。ヤリスカップ2021第1戦 昨年はスーパー耐久のST-3クラスでRC350に乗ってチャンピオンに輝いた大島和也は、まだ24歳になったばかりの若手。スーパーGTで2019年にチャンピオンとなった大嶋和也と「島」の字が違うだけだが、こちらの“オオシマカズヤ”にもぜひ今後は注目してほしい。戦いを終えた後は「あそこで勝負することは決めていたのですが、抜けるとは思っていなかったです。神谷さんが小さくミスをしてくれたかも……」とコメント。それを認めた神谷も潔かったが、開幕戦に相応しい熱戦を演じたふたりに拍手を送りたい。

 

CVT車の参戦もウェルカム

 このヤリスカップの仕掛け人と言える、トヨタ自動車「GAZOO Racing Company」GRブランドマネジメント部。その事業室主幹の大澤伸一さんと、同部長の杉浦宏哉さんにお話をうかがった。

「21年間、ヴィッツレースに頂戴した皆さんのご支持に感謝します。ただメーカーとしては、今売っている現行車でモータースポーツを楽しめる機会を提供することに注力しました。評価ドライバーたちも確認していますが、剛性が上がり、接地感や乗りやすさが向上した新型ヤリスでのバトルを楽しんでいただけたらと思います。なお2ペダル車はもはや世界トレンドですので、CVT車での参戦もお待ちしています。デリバリーの遅れでもご迷惑をおかけしましたが、なんとか今日ここで開幕できてホッとしています。来シーズン以降は、従来のヴィッツレースと同様の全国5エリアでのシリーズ開催を検討しています」というコメントをいただいた。

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