「鬼キャン」とか「トーイン」って何なのよ? 今さら聞けない「アライメント調整」の基礎知識 (2/2ページ)

アライメントはサスペンションの硬さと一緒に考える

 ではどう調整するべきか? まず、フロントタイヤから。

 セオリーは「トーゼロ」か、わずかにアウトにする。ステアリングの直立付近は穏やかになり、いい意味でダルくなる。たくさん切ったときは、イン側タイヤが曲がる方向にたくさん切れるので曲がりやすくなる。

 キャンバー角が2°とか3°とか、それなりにネガティブ方向になっているなら、なおさらトーアウト気味にしないと、タイヤはどんどんイン側に向いて転がるので、トーインに近い動きを示す。

 速度が高くなると両手でステアリングを持っていないと不安になるようなクルマは、トーイン傾向が強かったりする。車高調を入れて、とりあえずキャンバーをつけてホイールをツライチにしているなんて場合も、キャンバー角によってトーイン挙動を示していることがある。

 リヤの標準値はトーインが定番。だが、少しゼロに近づけてあげると曲がりやすくなる。ときにはトーアウトにすることもあるが、それは車両ごとの足まわりの設計と、サスペンションの硬さが密接に関係する。

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トー角調整で「曲がりやすさ」の傾向が変わる画像はこちら

「リヤトーアウトってドリフトしたいの?」は間違い!

 セオリーでは「リヤトーアウト」は自殺行為と言われる。荷重がかかったときのアウト側タイヤは外に向いているので、どんどん外に膨らんでいってしまい、オーバーステアな挙動を示す。もちろんそれは危険なことだ。

 しかし、じつはアライメントを静止状態で話してもあまり意味がないのだ。アライメントはタイヤのストロークと同時に変化する。一般的に、荷重が掛かったときにスピンするのを防ぐため、クルマは沈み込むほどに曲がりにくい方向に設計されている。

 フロントはトーインにもアウトにもなるクルマがあるが、リヤはトーインになる車種がほとんど。きついコーナリング時にリヤの安定性が出るようになっている。

 となると、「リヤトーアウトは危ない!」と言われることもあるが、静止時にはトーアウトでも、走り出したらすぐにトーインに変化していることも多い。サスペンションがストロークするほどアライメント変化は大きくなる傾向にあるので、ノーマルサスペンションであればなおさらだ。

86/BRZのワンメイクレース画像はこちら

 実際「86/BRZワンメイクレース」ではリヤのトーが、ホイールの前側と後側で左右合計10mm以上という強烈なトーアウトになっていることもある。セオリーから言えば「どこに飛んでいってしまうかわからない」ようなセットである。

86/BRZレース画像はこちら

 しかし、このレースの指定サスペンションは軟らかく、アクセルONですぐに大きく沈み込んでしまい、そのときにはトーは大きくイン方向に変化する。なので、静止時のアライメントだけ聞くと、強烈なオーバーステアが想像されるが、乗ってみると至って普通だったりする。

 つまり、静止状態のアライメントの数値はサスペンションの硬さ(ストローク量)と関係する。硬いサスほどアライメント変化もしにくいので、静止時と走行時の数値は近い。だから、レーシングカーではサスを硬めて、トー変化を減らしたいという狙いもある。逆にソフトなサスの場合、びっくりするようなアライメント数値になることもあるのだ。

 走行安定性に関わる重要な部分なので、調整はもちろんプロの手で行ってもらいたい。アライメントの基準値に戻すだけではない、要望に応じた味付けをしてくれるプロショップが数多く存在している。現在の悩みや、もっとどう乗りやすくしたいのか、相談してみると解決法は意外と簡単かもしれない。