「必要最小限」を快適に提供するのがヨーロッパ流
エリバ・パックの室内寸法は全長2880mm×全幅1540mm×全高1480mmで、キッチン前の「ポップアップルーフ」部分の全高は1850mmあるのでしゃがむ必要はない。キッチンにはシンクとガスコンロ×2が備わり、その上下に収納スペース。さらにキッチンの奥には大きめのクローゼットと、足元にガスヒーターがある。
キャンピングトレーラーとしての設備は必要最小限ながら、家のように「あれもこれも」と機能を満載して重厚長大になっていったアメリカのそれと、キャンプはキャンプと割り切ってシンプル志向のヨーロッパとの、アウトドアシーンへの考え方の違いが表れている。
エリバ・パックの室内リヤ側は5~6人が座れるソファがあり、ベッドにアレンジすれば2~3人が寝られるスペースを確保できる。ここも、あまり多くの機能を詰めこもうとしていないおかげで、サイズのわりに狭さを感じることなくリラックスできる空間だ。大柄なドイツ人が作った小型キャンピングトレーラーだから、ほとんどの日本人なら快適だろう。
この1970年代のエリバ・パックは程度にもよるが、本体価格150万~250万円台が目安。同クラスの小型キャンピングトレーラーを新車で購入すると一番安いのがこの価格帯なので、新品のピカピカ感ではなくてクラシックな雰囲気を求めたいと思う人なら、現実的な選択肢となるだろう。
じつは多彩な欧州キャンピングトレーラーの世界
もちろん「エリバ・パック」のほかにも欧州クラシック・キャンピングトレーラーは沢山の種類がある。いくつかバリエーションをお見せしよう。
まずは、エリバと同じハイマー社の「エリベッテ(Eribette)」。エリバから派生してより広い室内空間を確保したモデルだが、重量はエリバと同等に抑えられている。
こちらは珍しい折り畳み式で「パラディソ(Paradiso)」という名前。ご覧のとおり普段は平べったいカタチで……。
ルーフを持ち上げると四方に幕を張ったテントになるという仕掛け。今や世界的にもレアな物件だ。
フランスの「ラピード(Rapido)」というキャンピングメーカーの折りたたみキャラバン「ラピード・コンフォート」は、居住空間の広さが売り。サイドテントを設営すれば4人以上の就寝も可能だ。
最後に、キャンピングトレーラーではないけれど、アウトドアシーンで活躍すること間違いない「カーゴトレーラー」も。ヨーロッパでは小さい自家用車でこの手のトレーラーを牽引して、買い物でも仕事でもアウトドアでも、なんでも活用しているため、現地を走っていると見かけない日はまずないほど。
カーゴトレーラーも種類はさまざまだが、クラシックなもので日本で一番よく見かけるのは、ドイツのキャンピングカーの老舗「ウェストファリア」社の「エッセン」だ。これもクラシックカーに限らず、いろんなクルマに似合いそうである。