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ホイールをツルツルに光らせるキャップの正体とは? アメリカ生まれ「ムーンディスク」の知られざる歴史

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TEXT: 勝村大輔(KATSUMURA Daisuke)  PHOTO: 勝村大輔/MOONEYES/Auto Messe Web編集部 竹内耕太

装着には加工が必要で意外とハードルは高かった

 ムーンディスクをよく見て見ると、単純に円形に切り出した鉄板というわけではなく、中央部が盛り上がった球状になっていることがわかるはず。じつはこれ、ホイールの中央部にあるハブなどを避けるために膨らんだ構造となっているのだ。また外周の3箇所に小さな穴が空いていて、ネジで固定されているのが判るはず。そのためホイール側に固定用ボルトを受ける穴を開ける必要があり、無加工では装着できない構造となっている。そんな装着へのハードルが高いのもムーンディスクの魅力と言えるだろう。

 ちなみに実際のレース用ホイールは、外周にムーンディスク固定用のナットを溶接することもあるそうだが、レースで迅速な脱着が必要な場合には、クイックファスナーで固定できる仕様もリリースされている。

3箇所に小さなネジ穴がある

ムーンディスクのルーツは戦闘機?

 一説によるとこのムーンディスクの形状の原点となったのは、第一次世界大戦時に活躍した戦闘機カーチスのホイールカバーだと言われている。これをユタ州ボンネビルでのスピードトライアルレーサーのホイールに装着することで、空気抵抗を低減するというアイデアがほかのレーサーにも広がり、ポピュラーになっていったと言われている。初期のころはハンドメイドや洗濯機の蓋などを流用していたそうだが、これを1950年代にMOONの始祖であるDean Moonが製品化したというわけだ。

 現在ではアルミホイールが主流となり、回転抵抗の低いホイールも登場しているが、当時はスポークホイールやスチールホイールが一般的だったため、ムーンディスクは非常に大きな効果を発揮したのだ。

ソルトレイクのスピードトライアルをしていたマシン

現在でも手作業で生産される金属の工芸品

 そんなムーンディスク、ぱっと見は単純な形状に見えるが、前述の通り複雑な形状をしている。じつはこれ、1枚のアルミ板を旋盤で回転しながら、鉄製の型にローラーで押し付けながら徐々に曲げていき、膨らみをつけて成形している。Spun Alminumと呼ばれるこの工法は、日本風に言えば「ヘラ絞り」加工に相当する。

 現在でもムーンディスクはカリフォルニア州サンタフェスプリングにあるMOONEYES USAの工房で1枚ずつ手作業で作られている。いわば金属を使った工芸品である。誕生時からMOONEYESのムーンディスクは、ファッションアイテムとしてでなく、パフォーマンスパーツとしてボンネビルの現役レーサーに愛され続けているのだ。

アメリカで1枚ずつ手作りされている

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  • ソルトレイクのスピードトライアルをしていたマシン
  • 3箇所に小さなネジ穴がある
  • MOONEYES代表のシゲ菅沼氏
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