昔からターボはパワーアップの代名詞
ターボとは排ガスを利用することで吸気量を増やし、より大きなパワーを絞り出すためのシステムであり、そのためのパーツをターボチャージャーと呼ぶ。軽自動車からスーパーカーまで、ターボエンジンを搭載したクルマはたくさん存在するが、ターボチャージャーの数によって「シングルターボ」と「ツインターボ」に分類される。
読んで字のごとくシングルはターボチャージャーがひとつ、ツインはふたつのターボチャージャーを備えるエンジンを指す。言葉だけならシングルよりツインのほうが速そうだが、実際はどのような仕組みでどちらが有利なのか解説したい。
コストに優れる「シングル」とレスポンスが優れる「ツイン」
国産車の多くに採用されているのはシングルターボで、制御がシンプルなことや部品点数が少なく済むこと、つまり低コストで生産できるのが大きなメリットだ。対するツインターボは大排気量車や高性能スポーツカーに多く、主として6気筒を超えるエンジンがメインと考えていい。メリットは、小さめのタービンをふたつ使うため低速トルクを損いにくい点、またサイズが大きくなりがちなシングルに比べてレスポンスの面でも有利だ。
ツインターボにはさらに種類が分けられる
なおツインターボはさらに細かく分けられる。最初はターボチャージャーひとつだけを使って過給しているが、回転数が上がるにつれてふたつ目も使う「シーケンシャル型」と、ふたつのターボチャージャーがそれぞれ独立している「パラレル型」だ。前者の代表はマツダFD3S型「RX-7」やトヨタJZA80型「スープラ」、後者は日産R35型「GT-R」やホンダNC1型「NSX」などが挙げられる。
数こそ決して多くはないものの、ターボチャージャー3個のトリプルターボ、4個のクアッドターボを採用するクルマがあることも知っておいて損はないだろう。
シングルターボ化でパワーアップを図る際は注意点も
チューニング業界でよく耳にするのは、ツインターボのビッグシングル化。タイムアタックやドラッグマシンに多い仕様で、街乗りで重要となる低~中回転域のトルクよりも、高回転域でより大きなパワーを出すことが目的だ。
ただしクロスミッションでシフトアップしても回転数が下がらないようにするなど、エンジン以外の部分にも何かしら手を加えないと本領を発揮しない可能性があるので注意。またパワー特性はタービンが大きくなるほど回転を上げないとターボの恩恵を体感しにくい、いわゆる「ドッカン」になり、繊細なアクセルワークが求められることも忘れないでおきたい。