クルマを文化する
REAL CAR CULTURE

AUTO MESSE WEB

クルマを文化する
REAL CAR CULTURE

AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

  • TOP
  • カーライフ
  • ダサいはずなのになぜ? マイルドヤンキー御用達「オラオラ顔」なクルマが支持を得ている理由
カーライフ
share:

ダサいはずなのになぜ? マイルドヤンキー御用達「オラオラ顔」なクルマが支持を得ている理由

投稿日:

TEXT: 工藤貴宏  PHOTO: トヨタ自動車/日産自動車/スズキ/FCA/The BMW Group/Auto Messe Web編集部

ライトはツリ眼、フロントグリルはキラキラ

 最近よく目にするツリ眼のヘッドライトライトや大型のフロントグリルを装備した「オラオラ顔」のクルマ。トヨタのミニバンは”マイルドヤンキー好み”と言われるが、果たして本当にそうなのだろうか。

 というのも最近は、ミニバンだけでなく、軽自動車やSUV、欧州高級車など様々な車種に波及。ダサい印象だったオラオラ顔がどうやって市民権を得たのか考証したい。

 クルマに力強さを求めるのは、もしかして人間の本能なんじゃないか? そんなクルマが増えているのを見てボクはそう思う。

 その代表格といえばやっぱり「アルファード」と「ヴェルファイア」で、ギラギラとしたヒカリモノの大きなグリルとグッと睨みつけるようなヘッドライトの組み合わせは威圧感バツグンだ。

高級大型ミニバン人気を牽引

 なかでもアルファードは、2002年の発売以来、好評な売れ行きをみせ、大型高級ミニバン人気を牽引。初代、2代目(下写真)は兄弟車のヴェルファイアに比べると、顔つきはおとなしめだった。

 ところが、2015年に出た現行(3代目)でヴェルファイアに負けない「オラオラ顔」に変貌。国産乗用車の年間新車販売台数(日本自動車販売連合会調べ1~12月)では、3代目登場年の2015年こそ4万4366台で、ヴァルファイアの5万4180台ほどではなかった。だが、2018年の販売台数でアルファードは5万8806台となり、ヴァルファイア(4万3130台)を逆転。2019年上半期でも3万5265台(ヴァルファイア2万762台)と、現在も根強い人気を誇っている。

 

 ちなみに、1997年に初代が登場し、大型高級ミニバンの先駆けとなった「日産エルグランド」は、2017年の新車販売台数が8068台。同年のアルファード4万2281台に大きく水をあけられている。

 

ミニバンだけでなく軽自動車にも影響 

 そして、その人気を受けて、ヴェルファイアの弟分である「ヴォクシー」や「エスクァイア」もツリ眼ライトに大型グリルを採用。さらにオフロード走破性が自慢の「三菱デリカD:5」や、”モノより思い出”のキャッチコピーでご存じのファミリー向けミニバン「日産セレナ」まで、2019年8月のマイナーチェンジでオラオラ顔に変貌してしまった。

 もはや「オラオラ顔じゃないとミニバンじゃない」というくらいの勢い。少なくとも、フロントグリルが小さなミニバンはマイノリティな存在になってしまった。

 さらには軽自動車でも、「スズキ・スペーシアカスタム」なんかはまさにオラオラ顔。コンパクトカーでいえば「トヨタ・ルーミー」や「ダイハツ・トール カスタム」だってそうだ。

 口の悪い人はそんなデザインを「ヤンキー顔」なんて呼び、実際にマイルドヤンキー層や昔はヤンチャした的な人たちには大人気らしい。でも、実のところはヤンキー層だけでなく一般的なユーザーからも好評化を得ていると聞く(そうじゃなきゃここまで車種が増えるわけがない)。

 軽自動車ではギラギラとした派手な顔つきのカスタム仕様を選ぶのは、ヤンキー層だけじゃなく女性や年配の人も多いのだとか(某メーカー担当者談)。それどころか、アルファードは政治家や企業の幹部などヤンキーとは無縁なVIPだって乗っている。

「オラオラ顔」は人間の潜在的な欲求? 

 ハッキリといえば自分好みではない。でも、ボクはそれ自体を否定するつもりもない。なぜならば、もしかするとそれを好むのは人間の潜在的な感覚かもしれないからだ。

 たとえば、アメリカのピックアップトラックであるダッジ・ラム。ごく普通の顔つきだった初代(1981年~1993年)は、販売面においてライバルのフォードF150やシボレー・Cシリーズに大きく差をつけられていた。

 しかし2代目(1994年~2001年)は巨大なフロントグリルで力強い顔つきにしたところ、人気が急上昇。大掛かりなフェイスのイメージチェンジが大きな効果をもたらしたことは言うまでもない。

 では、それはワイルドさが求められるトラックの世界だからなのか。実はそうともいえないと思うのだ。

高級車メーカーもイカつい路線にシフト 

 たとえばハイエンドプレミアムサルーンの世界。その最高峰と言えばロールスロイスだが、フェイスはギラギラとした立派なフロントグリルが定番で、さらにはヘッドライトの形は新しいモデルになるにしたがってどんどん目つきが悪くなっている。

 例えば、現行のファントムなどはまさに代表格といえるだろう。

 さらにいえば、BMWもアウディも、フロントグリルがどんどん大きくなって威圧感アップ。例えば、BMWは勢い余ってフロントグリル内を光らせるヘッドライトをX6のオプションで用意してしまった。まるでグリルを光らせて個性を主張する、日本のヤンキー顔の軽自動車みたいに。なんということだろうか。

 彼らは間違っても、ヤンキー層にクルマを売ろうと目論んでいるわけではない。ただ、顧客が求める要求を汲んでいるだけなのだ。顧客がそれを求めるのはなぜか? 押し出しの強いデザインを求めるのが人間の本能だからに違いない。仕方ないのだ、本能なのだから。

 きっと、ボクのように「オラオラ顔が好みじゃない」なんていう人は、”流行りに左右されたくない”と心に仮面を被っている人で、オラオラ顔のクルマを買う人は自分に正直なんじゃないかと思う。

すべて表示

 

 

 

 

 

 

ranking

RECOMMEND

MEDIA CONTENTS

WEB CONTENTS

 

 

 

 

 

 

MEDIA CONTENTS

WEB CONTENTS

ranking

AMW SPECIAL CONTENTS