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高齢ドライバーの交通事故を軽減!後付けできる運転サポート装置の現状と選び方

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TEXT: 会田 肇  PHOTO: JNCAP/Auto Messe Web編集部

古いクルマに後付けできる安全運転支援システム

 車両の安全度の目安とする「予防安全性能アセスメント(JNCAP)」で評価対象項目が増え、2020年には自動ブレーキの搭載が義務付けられる。しかし、新型車は急速に安全度を高めている一方で、従来車はその流れからは録り残されたままだ。特にブレーキペダルとアクセルペダルの踏み間違い事故が多く伝えられている高齢者にとっては、新車に買い換えるだけの余裕がないという現実もある。

 警察庁の資料によれば、2019年1~6月に75歳以上の高齢運転者が起こした死亡事故は149件。そのうち17件がペダルの踏み間違いを原因とする。そこで登場したのが後付けできる安全装置だ。すでに東京都や兵庫県、熊本県では購入費用の補助金の支給も始まった。7月末から補助を始めた東京都では2ヶ月間で約3000台分を支給したという。ただ、その安全基準は曖昧であるため、国土交通省は10月から性能評価を開始した。12月にはその結果を公表する予定だ。ここでは、既に販売している後付けできる安全装置の代表機種を紹介したい。

トヨタとダイハツは超音波でセンシング

 まず自動車メーカーの対応だ。現在、これに対応したシステムを販売しているのはトヨタとダイハツの2社。トヨタが販売しているのは「踏み間違い加速抑制システム」と呼ばれるもので開発元はデンソーだ。誤ってアクセルを踏み込むと前後パンパー内に組み込んだ計4個の超音波ソナーが障害物を検知してブザーとランプで警告。さらに強くアクセルを踏み込んだ場合はエンジンの出力を抑えて加速するのを抑制する。

 センシングできるのは前方/後方の約3m以内にある壁など障害物が対象で、障害物がない時は前後共に反応しない。また、人は障害物として認識はしないようだ。また、このシステムでは後退時に約5km/h以内に抑制する機能も備えられている。取り付け可能車種はトヨタ・アクアなど8車種で、価格は5万1000円(消費税/取り付け費別)。少し高めということもあり、販売実績はそれほど高くないようだ。

 ダイハツが発売しているのがペダル踏み間違い時加速抑制装置「つくつく防止」と呼ばれるもの。センシングはトヨタと同様、前後のパンパーに組み込んだ4つの超音波ソナーによて行われ、動作条件は約10km/h以下で壁など障害物が約3m以内で、アクセルペダルを強く踏んだ際に作動する。システムの原理はトヨタと似ているが、開発メーカーはトヨタとは異なるようだ。対象車種はダイハツ・タント(L37S)など8車種。後退時の速度抑制がないためか、価格は3万2000円(消費税/取り付け費別)とトヨタよりはグンと安い設定となっている。開発元は明らかにしていない。

 いずれも販売したすべてのクルマを対象としているわけではないが、2社ともアクセルをワイヤーで開閉する旧車以外を対象に少しずつ対応車種を増やしていく方針ではあるようだ。

カー用品店で販売されるのはアクセルの踏み込み量を監視するタイプ

 障害物がない状態でもペダルの踏み間違えに対応できるのがオートバックスが販売している「ペダルの見張り番II」だ。アクセルの踏み込み量を常に監視しており、短時間で急激なアクセルの踏み込みを検知すると踏み込み量を電子的に抑制してエンジンの回転が上がるのを防止する。制御自体はアクセル操作を無効するだけで、ブレーキ制御は行わない。そのため制御中でもAT車のクリープ現象の速度でゆっくり走るが、急発進しないのでブレーキを踏み直す余裕が生まれるわけだ。

 アクセルペダルの踏み込み方のセンシング感度は5段階で調節することが可能で、急な坂道や右折などで急加速が必要な時は、一時的に機能をOFFにできるスイッチが用意されている。電子制御式アクセルの車種であれば取り付けられ、200車種以上で対応している。価格は取り付け費込みで約4万円(消費税別)となる。開発元は「TVキット」シリーズでお馴染みのデータシステム。現在は、同社から「アクセル見守り隊」としても販売が開始されている。

 イエローハットで販売してるのが「誤発進防止システム2」だ。電子的にコントロールするアクセルを急激に踏み込むと警告音を発するのはオートバックスと同じだが、それでも踏み込みを中止しない場合は強制的にギアをニュートラルに切り替えて速度が上がるのを防止する仕組みも採用する。回転スイッチでシステムのON/OFFが可能で、製造元のサン自動車工業では、アクセル開度をワイヤーで制御する旧車にも取り付けられるユニットも販売中だ。価格はいずれも3万円(消費税/取り付け費別)。

各システムの動作特性を習得することが重要

 これらのシステムを取り付ける際に注意すべきは、その使い方と動作特性をよく把握しておくことだ。たとえば、トヨタやダイハツのシステムでは前方に障害物がない場合は作動しない。障害物は前方/後方約3m以内にある壁などで、ガラスや高さが低い障害物に対しては認識できない場合もある。また、人に対しても認識できないことが多いようなので注意したい。

 一方、オートバックスの「ペダルの見張り番II」やイエローハットの「誤発進防止システム2」では、急なアクセルの踏み込みに対応するので、障害物の有無は関係がない。しかし、交差点の右折などで急いで通過しようとアクセルを踏み込むと速度が抑制されてしまう。これは急坂を登ろうとする時も同じだ。そんな時はシステムについているスイッチで機能を一時的にOFFにして対応することで対応できる。

 高齢者が果たしてこれをどこまで対応できるのか心配する声もあるが、現状ではこれが精一杯。正しい使い方を習得して悲惨な事故防止につながること願ってやまない。

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