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高齢者「ペダル踏み間違い」事故は防げるか? 「正しい運転姿勢」と「心の余裕」が抑制に繋がる

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TEXT: 御堀直嗣(Mihori Naotsugu)  PHOTO: Auto Messe web編集部

運転姿勢を正しく取る方法

 そのうえで、改めてペダル操作を失敗しないために、まずは運転姿勢を正しくとること。何十年も運転してきた経験で、何気なく運転席に腰かけているのではないか。ここは意識して、運転姿勢の確認をしてから、クルマを始動するようにしたい。

 正しい運転姿勢をとるための手順は、まず、右足でブレーキペダルをしっかり踏み込み、それでなおかつ膝にゆとりが残る位置に座席を前後調節する。このとき、座席の奥まで腰をしっかり押し込んでおくことが肝心だ。

 次に、ハンドルの上端部を両手で握り、肘にゆとりができる位置に背もたれを調節する。どれくらいのゆとりが必要かについては、ハンドルを切りこんでいったときにハンドルの頂点を過ぎるまで片方の手を握り続けたと想定し、たとえば右手ならハンドルの頂点を過ぎた左側まで手を伸ばし、ハンドルから手が離れないようにする。そのとき、背もたれから肩が離れないことも確認点の一つだ。そのうえでハンドルの頂点を両手で握ると、肘にゆとりができているはずだ。それがゆとりの目安になる。

 このとき、ハンドルにチルトとテレスコピックの調整機能がついていたら、これを使ってハンドルの高さと、遠近の調整に活用するといい。

 ハンドル位置が高すぎると、ハンドルを回した際に手が届きにくくなる。前方も見にくくなるかもしれない。逆に低すぎると、ペダル操作をする足とハンドルが触れてしまい、ペダル操作をしにくくなることがある。

 ハンドル位置が遠すぎると、ハンドルを回す際に手が届かなくなって、背もたれから肩が離れてしまう。こうなると、運転姿勢を保ちにくくなり、体がずれるし、目線も動いて、ハンドル操作をやり損なう場合がある。

 正しい運転姿勢がとれたら、次に、ルームミラーとドアミラーの調節を行う。それまで無意識に座り、運転していたときと、着座位置が変わってミラーを確認しにくくなっているかもしれない。

 ペダルの操作に、なぜミラー調整が関わるかというと、ミラーを使って周囲の状況を確認し、認識しておくことが、慌てないための予防となるからだ。周囲の状況に無関心でいると、いざ車線変更や右左折をしようとしたときに他車の存在にはじめて気づき、慌ててしまう可能性がある。

 また停車した状態からの発進でも、ミラーで周囲を確認することを忘れずにいれば、他車の動きや人の飛び出しなどへあらかじめ警戒心が働き、そのあとの始動とシフト操作なども、的確に間違いなく操作しようとする心持ちになる。

 

そもそも人は今のクルマの速さに不慣れ

 以上述べてきたように、一番の注意点は「気持ち」と「心」である。

 人間は、最速の走りで100mを10秒切るかどうかが身体能力の限界と言われている。それは、クルマと同じ時速に換算すると36km/hになる。これでも1秒間に10mは走ってしまうのだから、その間に事故を起こす可能性はゼロではない。まして、市街地走行での40km/hや、高速道路での100km/hともなれば、身体機能の限界を超えた速さである。

 19世紀の末に、ガソリンエンジンの自動車が発明されるまで、欧米には馬車の時代があった。馬車の速さは、およそ15km/hである。馬に人が乗って走った場合でも20~30km/hで、競馬のように短距離を疾走したときでさえ60km/hだ。

 つまり、人間という生き物が、過去数千年経験してきた速さの上限が60km/h(短距離走の選手でなければ20~30km/h)であり、クルマはそれ以上の速さを実現した。だが、その歴史はまだ135年に満たない。身体能力という点において、そうした高い速度に人はまだ不慣れであるといっていい。

 それであればこそ、クルマの運転で失敗をしないためにはまず心構えが必要であり、慌てず確実な操作に徹するしか予防法はないのである。

 同時にまた、そうした的確な運転操作を行える運転姿勢の調節機構は、廉価な車種から高級車まで省いてはならないのであって、廉価な車種の調整機能を省く自動車メーカーは、たとえ名のある企業であってもクルマを販売する資格はないといえる。

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