近代ランボルギーニ、ネーミングの由来
では、ガヤルドやウラカン、アヴェンタドールといったネーミング由来はどうだろうか。まず、2003年に発売した「ガヤルド」は闘牛の名前ではないものの、18世紀スペインの闘牛飼育家フランシスコ・ガヤルドから命名。ジャルパ以降、途絶えていた久々の“ベビー・ランボルギーニ”だった。このガヤルドはランボルギーニ史上、最も生産された(売れた)モデルでもある。
次にガヤルドの後継車でアウディR8の兄弟車「ウラカン」も、19世紀のスペインの闘牛からのネーミング。スペイン語でハリケーンという意味を持ち、縦方向に走る4本のルーフラインは、日本の折り紙がヒントになったといわれている。
そして、現代の最高峰「アヴェンタドール」は、スペイン・サラゴサの闘牛場で活躍していた闘牛の名前からとったもの。ネーミングの由来とは関係なく、ボディのデザインは”カメムシ(虫)”から着想を得たといわれている。
最後に「カウンタック」についても触れておこう。スーパーカー史上、最も知名度が高いこのクルマの名称は珍しく闘牛とは関係がなく、しかもスペイン語でもない。イタリア北西部ピエモンテ地方のピエモンテ語(方言)で「驚いた」を表すcontacc[kʊŋˈtɑtʃ](クンタッチ)から名付けられた。
カウンタックを開発していた当時。デザイナーのマルチェロ・ガンディー二とテストドライバーだったボブ・ウォレスと一緒に、ピエモンテ州出身のスタッフが働いていて、その彼がよく口にした感嘆詞の1つが「クンタッチ」だった。まさに「驚異のクルマ=カウンタック」にふさわしいネーミングだったといえるのではないだろうか。
スーパーカー・エイジたちは、子供の頃「ランボルギーニの車名って、カッコいい。イタリア語ってカッコいい」と思って、一所懸命その名前を復唱し、暗記していたものだ。しかし、そのほとんどがイタリア語ではなく、スペイン語の闘牛にまつわる言葉だったのである。
ボローニャ県サンターガタ・ボロニェーゼに本拠地があり、「サンタアガータの猛牛」といわれるランボルギーニ社。ネーミングのこだわりは、ひとつの魅力にもなっているわけだ。