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「納屋物」ってどんなクルマ? ボロボロで手付かずの長期保管車に価値が生まれる理由

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TEXT: 小鮒康一(KOBUNA Koichi)  PHOTO: Auto Messe Web編集部

古城の地下から発見されたケースもある

 最近、クラシックカーの話題などで耳にする機会の増えた「納屋物(納屋物件)」という言葉。これはクラシックカーを保管するための場所に関する物件情報というわけではない。

  くるまで言う”納屋物”というのは、人知れず眠っていたクラシックカーのことを指す言葉。場所は納屋に限定しているわけではないが、語源となった英語「Barn find(バーンファインド)」のBarnが納屋という意味だったからそれが直訳された、というのが言葉の真相だ(ちなみにfindは“見つかる“という意味)。

 クルマたちが納屋などで惰眠を貪るようになる理由はさまざまだが、オーナーがしまい込んだまま他界してしまった場合や、修理などで預けた先が廃業してしまって放置されたケースなどがよく聞かれる。

 最近のようにSNSが発達し、スマホなどで簡単に写真が撮れる現代であれば、そういった個体がどこかに存在していたらすぐ拡散されてしまうだろう。しかし、それ以前から納屋の奥深くに眠っていた個体であれば、気づかれることなく長い間眠り続けていることになる。

 なお、そういったクルマが発見されるケースで最も多いのが、その納屋が老朽化したことによって解体もしくは建て替えをしようとしたときに発見される、というもの。海外では購入した古城の地下に過去のオーナーのコレクションが発見されたり、廃業したディーラーの倉庫に未登録車が眠っていたというような話もあり、最近ではイギリスで発見された納屋物のランボルギーニ・ミウラ(P400S)が1億7千万円以上で落札されたり、ここ日本では岐阜県の納屋で見つかったフェラーリ・デイトナが本国イタリアにおいて2億3911万で落札されたケースもある。

 普通の人は見向きもしないような、一見はボロボロでレストアもされずに長期間維持された個体は非常に高い価値があるわけだ。また、そのクルマの所有過程やかつてのオーナーの名前によって付加価値がつくのも納屋物の特徴といえるだろう。

 貴重な掘り出し物である納屋物ではあるが、当然数十年単位で放置された車両ということで、現状復帰させるのはひと筋縄ではいかない。屋外に放置されていたものに比べればボディの状態はよいものが多いものの、納屋特有の湿気によって内装はカビが生えていたり、どこからか進入した動物によって配線などが噛み千切られていたりするケースも少なくない。

 当然、機関類は全く動いていなかったために、サビや固着が発生していることはザラなのである。さらにオーナーが他界していて登録書類が紛失しているという場合は、完全に不可能ではないものの再登録までの道のりは非常に険しいものになってきてしまうのだ。

 そのためいくら納屋物とはいえ、路上復帰までには莫大な費用と時間がかかってしまう。よほど高い歴史的価値がある個体か、強い思い入れがある個体でない限り、迂闊に購入するのはオススメできない。簡単な整備で乗る、あわよくば売却して利益を……というような軽い気持ちで、知識も知らないままに手を出すと痛い目に遭う可能性もあるわけだ。

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