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高級車が採用する「オルガン式アクセルペダル」踏み間違い事故の抑制に効果あり!

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TEXT: 妻谷裕二(TSUMATANI Hiroji)  PHOTO: メルセデス・ベンツセーフティ、マツダ、妻谷裕二

メルセデス・ベンツが採用する”重たい操作感”

 メルセデス・ベンツのアクセルペダルは、安全性やドライバーの意思にクルマが的確に反応する事を考慮して設計。吊り下げ式ではなく、ペダルをフロアに取り付けた「オルガン式」を採用しています(A、B、CLA、GLA、Vクラス除く)。

 メルセデス・ベンツのミディアムクラスである「W123」(1975~1985年)は、速度無制限で有名なアウトバーン育ち。それなのに坂道や交差点での発進加速はあまり速くないと言われており、最近のメルセデス・ベンツに採用されるオルガン式のアクセルペダルは、W123当時と比べれば随分と軽くなっていますが、今なおスタート時の踏力を必要としています。吊り下げ式のアクセルペダルは軽い踏力でスポーティな加速で走行可能。なぜ、”重たい操作感”にこだわっているのでしょうか。

かかとを支点に奥行きが深いペダルを操作

 メルセデス・ベンツの開発設計者が、オルガン式のアクセルペダルを安易に軽くしなかった理由。それは、安全性やドライバーの意思にクルマが的確に反応する事を考慮して設計したため。加速性能とペダルの操作感をデリケートにコントロールすべく、最も適したセッティングにしているのです。

 つまり、メルセデス・ベンツのオルガン式アクセルペダルは、床を支点に設置しており「かかとを支点」とする足の動きに近く、踏力に比例したアクセル開度が可能。乗り方にちょっとした「コツ」があり、他メーカーに比べてスタート時の踏力は必要ですが、慣れるとアクセルワークのコントロール性に優れ、ロングドライブもラクなことがわかるでしょう。すなわち、遅く感じるのはパワー不足ではなく、アクセルペダルの「奥行きが深い」からです。

 実際、2010年にEクラスワゴン(S212)のオルガン式ペダルを撮影する機会がありましたが、写真のように奥行きのある構造。(ベース部がフロアに埋め込まれて設置されるため目立たない)。加減速する踏力の”重さ”は「足の裏全体で踏む」という習慣を付ければなくなります。 しかも、オルガン式アクセルペダルとブレーキペダルには段差があり、ペダル位置の把握がし易くて踏み間違えを起こしにくいと言われています。ちなみに、最近のオルガン式アクセルペダルとブレーキペダルは、AMG系と同様にラバーの滑り止めが付いたステンレス製となり、スポーティさを主張しています。

吊り下げ式は踏み間違いによる事故も起こし易い

 一般的に「吊り下げ式」のアクセルペダルは、軽い踏力でスポーティな加速が可能な反面、ロングドライブでは「足首を支点」としアクセルペダルを操作するため、人によっては疲れ易いと感じるのも事実。ブレーキペダルとの高さも近いため、踏み間違いによる事故も起こし易いと言われています。

 この点、吊り下げ式アクセルペダルを採用するA、B、CLA、GLA、Vの各クラスの中でも、特にVクラスは座面から右足をまっすぐ伸ばした先にアクセルペダルがあり、ブレーキペダルを手前に配置することで踏み間違えを防止しているのです。

 いまや革新技術が大いに進化して自動運転時代に突入し、衝突防止の自動ブレーキが採用されています。しかし、最新鋭の監視システムであるカメラやレーダーセンサーが衝突障害を緊急に検知しなかった場合の総合安全性を追求すべきだと考えます。

 いかがでしたか。これまでオルガン式といえばメルセデス・ベンツをはじめとした高級車の装備というものでしたが、近年は国産車でも数多く採用。マツダはコンパクトカーまでもオルガン式に変更しており、今後はペダルの踏み間違いによる事故低減への効果が実証されれば、さらに普及していくことでしょう。

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  • 妻谷裕二(TSUMATANI Hiroji)
  • 妻谷裕二(TSUMATANI Hiroji)
  • 1949年生まれで幼少の頃から車に興味を持ち、40年間に亘りヤナセで販売促進・営業管理・教育訓練に従事。特にメルセデス・ベンツ輸入販売促進企画やセールスの経験を生かし、メーカーに基づいた日本版のカタログや販売教育資料等を制作。またメルセデス・ベンツの安全性を解説する独自の講演会も実施。趣味はクラシックカー、プラモデル、ドイツ語翻訳。現在は大阪日独協会会員。
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