高齢者が「免許返納」で悩むならまずはかけるべき「ひと手間」とは

高齢者が「免許返納」で悩むならまずはかけるべき「ひと手間」とは

クルマに頼らなくても暮らせる時が来たときこそがタイミング

 65歳となって高齢者の仲間入りをすると、「いつ運転免許証を返納すればいいのか?」と聞かれることが多くなる。最大の理由は、高齢者によるペダル踏み間違い事故が報道されるたびに、運転することに不安を覚えるからだ。

 同時にまた、家族や仲間と旅行をしたり、家族を病院へ連れて行ったりするうえで、クルマが欠かせない高齢者も多く、すぐにはクルマを手放せないとも思っている。その板挟みに悩むからだ。クルマの利便性を享受しながら、一方で運転することへの不安を抱える高齢者は多いはずだ。

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地域によってはクルマがないと生活ができないところもある画像はこちら

 では、何をきっかけに、運転免許証の返納を実行に移す必要が出てくるのだろうか。高齢者の運転で気を付けなければならない点として、次のことが挙げられている。

思い込み運転と運転操作能力の低下

 思い込み運転の例として、交差点で一時停止したつもりで停止しておらずに進入する/信号や標識を確認せず、ほかのクルマや人の動きを見て運転している/ギアがパーキング(P)に入っていると勘違いしてブレーキから足を離してしまうなどだ。オートマチックトランスミッションが「P」に入っている画像はこちら

 運転操作能力では、運転に関わる、認知・判断・操作において、認知や判断はしていても、操作が追い付かないことがあるようだ。突発的な出来事に対し、焦ってペダル踏み間違いなどの操作をしてしまうとか、後退するときに体をひねることで、ペダル位置を間違えてしまうなどがある。事故は極端な例であるとしても、自宅の車庫に何度も切り返さないと入れられないとか、植え込みの角で車体をこすってしまうなどは、そうした不十分な操作をしてしまう前兆といえるだろう。アクセルとブレーキのペダル踏み間違えをイメージ画像画像はこちら

 そのうえで、長時間の運転で疲れやすくなるとか、老眼など視力が弱まったり耳が遠くなったりすることで情報の入手が不十分になったり遅れたりして、適切な判断ができなくなる。反射神経が鈍くなり、とっさの判断に遅れ、操作も遅れる。自分本位の運転となって、交通環境への適応や、安全第一の意識が薄れるなどが生じる。街中を運転しているイメージ画像画像はこちら

 それらを総合して、高齢者が事故を起こしやすくなる最大の課題は、永年運転してきたのだからと、自らの運転を過信してしまうことだ。

 そうした問題を補うため、運転支援機能の装備されたクルマを利用することも対応策の一つといえる。万一の際に、クルマが警告を発し、また自動ブレーキをかけてくれる装備もある。各自動車メーカーの先進安全機能の一例画像はこちら

 同時にまた、安全確認や、運転操作について、指差し確認ではないが、心の内で一つひとつ確認してから走りはじめたり、次の操作に移ったりする習慣を身に着けるといいのではないか。

 もちろん、かつてはやらなくても無意識のうちに自然にできていたことかもしれない。しかし思い出してみれば、運転免許証を取得した若いころは、そうして意識することで運転を身に着けてきたのではないか。年齢を重ね、気力や体力が落ちてきたと自覚すれば、初心者時代の気持ちに戻り、確認しながらの操作や運転を実行することで、無用な事故を起こさずに済むだろう。高齢者が運転をしているイメージ画像はこちら

 確認することに、じれったい思いがしても、事故を起こして何時間も無駄にしたり、相手の補償のために何日も手間が掛かったり、怪我をしたり亡くなったりした相手や家族に思いを寄せながら忸怩たる日々を過ごすよりは、1秒かそこらしかかからない短時間で済む確認操作を意識したり身に着けたりするほうが、よほど有益な余生を過ごせるだろう。安全のためにも周りを確認するなどのチェックを行いたい画像はこちら

 そのうえで、クルマに頼らなくても暮らせる時が来たら、いよいよ運転免許証を返納する決断を迎えることになるのではないか。そのときは、一人で思い悩まず、家族や仲間に相談し、励ましてもらいながら実行に移すといいだろう。

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