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クルマのスタビライザーの意味や効果は? 交換は必要?

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TEXT: 岩本佳美  PHOTO: NISMO、SUBARU、STI、PORSCHE、三菱自動車、ENEOS共栄石油神保町SS、Auto Messe Web編集部

実はスタビライザーは必要ない?

 スタビライザーの役割と構造を紹介したが、良いことづくめにみえるスタビライザーにもデメリットが存在する。スタビライザー装着におけるデメリットについても記しておこう。

 クルマにはロールすることで曲がるという特性があり、スタビだけ強化品にしてしまうとまったく曲がらないクルマになってしまう。他にも直進状態で段差に片輪のみ乗り上げたとき。直進では作用しないスタビライザーだが片輪だけ乗り上げているので反対側のサスペンションは沈む。そうなるとスタビライザーもその動きで伸びている方のサスペンションを縮める動きが働く。直進状態でも路面の凹凸によってはロールが発生する

 したがってクルマの傾きがスタビライザーのないクルマとは変わってくる。真っ直ぐな道は存在するが路面の凸凹のない道はほとんどない。つまり直進状況で路面の凸凹を拾ってしまいスタビライザーが働けばサスペンションの動きが多忙になりそれを抑えるダンピング機能も追いつかないと乗り心地も悪くなってしまうのだ。

 何事もバランスとはいうがスタビライザー選びもバランスが大事。サスペンションを交換した場合などはそのサスペンションとセッティングにあったスタビライザーを選ぶことをオススメする。

スタビの交換は必要?

 スタビライザーの交換は必要?  前述のとおり、スタビライザーは車体のロールを抑えるためのもので、一般的にはノーマル状態で街乗りなどがメインの場合はとくに交換の必要はないといえるだろう。

 しかし、車高調整式サスペンションやダウンサスなどを装着した場合、車体のロールセンターが変化するためロール量がノーマル状態よりも大きくなる。一般的にはサスペンションを交換している場合バネレートが高いものを装着すればロール量を抑えることも可能だが、乗り心地を極力悪化させずロール量を抑えるにはスタビライザーの交換が効果的だ。

NISMO製足回りキット

 乗り心地を確保しながらローダウンフォルムを実現し、安定したコーナリング特性を得たいというユーザーはスタビライザーの交換をおすすめする。スポーツモデルの場合はロール量が減少することでトラクション性能が向上。サーキットユースではタイムアップにも貢献してくれるだろう。

 さらに背の高いミニバンなどでは高速道路などで直進安定性が向上。ファミリーユースでは後席に乗る子供のクルマ酔い防止にも効果があるといわれている。こうした悩みのあるユーザーはスタビライザー交換によるメリットが大きく、ぜひ試してほしいアイテムだ。今大人気のMクラスミニバン

 ただし、スポーツモデルでも後輪に荷重が大きくかかっているリヤエンジンやミッドシップのモデルではもともとリヤ側のスタビライザーが省略されているものもかつて存在した。

 ほかにもタウンユースをメインとした軽自動車やリッターカーなどではコストカットも含めて装着されていないモデルも存在する。また、一部の輸入車などには電子制御でスタビライザーの効きを状況に応じて自動的に制御してくれるものが装着されているクルマもあり、そうした装備があるクルマでは交換できないものや、交換することで車両全体のバランスが崩れてしまうこともあるので注意が必要だ。ポルシェ・パナメーラに採用されている電子制御スタビライザー

 スタビライザーの効きは径の太さのほか、一部のメーカーではスタビリンクの取り付け穴を複数設けて、効きを調整できるものも存在する。手軽にスタビライザー径をリーズナブルに変更するチューニングとして、同一のサスペンション形状を採用する同じメーカーの別車種や別グレードの純正スタビライザー流用も人気だ。

 限られたモデルだけが可能となるチューニングではあるが、シャーシを共通化しているメーカーなどではスポーツモデル用の太いスタビライザーをボルトオンで装着できる。もちろん純正部品なので品質も高く価格が安いのがメリット。スバルのワークスブランドSTIが手掛けたスタビライザー

 ただし、径の種類の設定が少なく、必ずしもベストバランスになるとは限らず、見た目も黒一色という地味なものがほとんどでドレスアップ面の効果はない。しかし、スタビライザーチューニングの入門として流用ができるモデルであれば、まずはスタビライザー径を変更するとどのような効果があるのか? 体感するために試してみるのもいいかもしれない。

セッティングはどうすればいい?

 アフターパーツとしてのスタビライザーはメーカーごとにさまざまな仕様でセッティングを変えることが可能。カラーもメーカーごとにカラフルなものも多く、車体下からわずかに見えるスタビライザーがさりげない主張をするドレスアップ効果も少なからずある。純正よりも太いものを装着すればロール量は減少するものの、サスペンション特性や車両重量、駆動方式などによりそのセッティング方法はさまざまだ。NISMO R35GT-Rでミニサーキットを走行

 一例をあげると、オーバーステア気味の場合は前後のスタビライザーの効きを強くすることで解消方向となり、アンダーステア気味の場合はフロントのスタビライザーの効きを弱く、リヤの効きを強くすることで解消傾向となる。

 ステアリングレスポンスを向上させたい場合も同様だ。フロントスタビライザーを交換、調整ができないモデルの場合はリヤを強くするといったセッティング方法もある。この辺りはサスペンションセッティングなどに定評のあるショップなどと相談しながらベストなスタビライザーをセレクトしたい。スズキ・アルトワークス用のフロントスタビライザー

 ちなみにスタビライザー径を太くすると重量増となるが、中空パイプを使用して径を太くしながらも軽量化を実現するスタビライザーも存在するので購入時にはチェックしておきたい。 車種によってスタビライザー装着位置や交換時に干渉するフレームやアーム類によって交換工賃は異なるが、前後で1万5000円から3万円程度が相場のようだ。

 また、スタビライザーとサスペンションなどをつなぐスタビリンクは経年劣化でブーツからグリス漏れなどがあると車検をパスすることができないので、劣化していたりピロボールタイプやショートタイプのスタビリンクに交換したりするのもおすすめだ

 1台分で1万5000円から2万円程度の工賃が相場だが、スタビライザーとの同時交換では工賃を低減したり、スタビライザーの交換工賃に含まれていたりする場合もあるので、依頼するショップなどに相談してみよう。

スタビの交換を自分で行う場合

 スタビライザーの交換を自分で行うDIYでの交換に関しては、難易度的にはさほど高くないだろう。しかし、構造上スタビライザー本体が入り組んだ場所に設置されており、知恵の輪状態で取り外すことになるクルマもあったり、中には直接スタビライザーと関係ない部品を外す必要のあるクルマも存在する。
クルマの下に潜って足回りの部品を外すイメージ画像

 その場合、メンバーやジャッキアッププレートなど足まわりやシャーシ関連の部品であればボルト類の締め付けトルクも高く、かなりの力作業になる。

 また、下回りの部品なので長期間風雨にさらされたり、降雪地帯を走行する車両では塩カルなどの影響で錆びたり固着している場合も多い。その場合、無理に外そうとするとボルト類をなめてしまう恐れもあるため、潤滑剤などを塗布し浸透するまで待つ必要がある。また、ボルト点数も多い部品も多く、作業はかなりの力作業となる。リフトに上げてクルマの下回りを見るイメージ画像

 また、スタビライザー交換の場合はスタビライザーリンクまたはスタビライザーリンクロッドと呼ばれる部品と車体もしくはサスペンションなどを締結する部品を外す必要がある。まずはメガネレンチや六角レンチ、ソケット、ラチェットハンドルといった工具類も完全にそろえておく必要があるだろう。
スタビライザーの交換に使う工具のイメージ

 さらに、車体が水平状態でないとGがかかっていて取り外せないため、ガレージジャッキやリジットラック(ウマ)が必要となる。リフトでの作業がベストだが、車体下に入る必要があるため、いずれにせよウマなどによる車体が安定した状態での作業は必須だ。

 またスタビライザー交換の際は同時に脱着する必要のあるスタビライザーブッシュやスタビリンクの同時交換がおすすめだ。リンクはアフターパーツではピロボール式のほか調整式などもあり、愛車との適合を確認し目的や好みに合ったものをセレクトするといいだろう。スタビライザーリンクロット

 スタビブッシュはほとんどの純正ブッシュが割りブッシュと呼ばれるもので、スタビライザーを装着したままクランプを外すだけでブッシュだけを交換できるものが多い。だが、中にはスポーツモデルの純正品や社外品で割れていないものもある。これらについては一度スタビライザー本体を外し、ブッシュを通してから装着する必要があるため、スタビと同時交換がおすすめだ。
経年劣化で脆くなってきた足回り

 装着は基本的に取り外す手順と逆の手順で装着すればいいが、社外品の場合、取付穴が数個開いていてスタビライザーの効きを調整できるものもあるため、フィーリングなどによっては好みのセッティングとなるまで位置を変えるために数回脱着する必要があるものも存在する。

 このようにスタビライザー本体の構造は簡単でありながら、装着位置の関係で意外と脱着には手間がかかるクルマが多いパーツでもある。なので、少しでも不安を感じるようであればプロにお任せする方が確実といえるだろう。

 シンプルな構造だが乗り心地やコーナリング時の安定性などに大きく関わるスタビライザー。自分のクルマに合ったものを選択できればより一層運転が楽しくなること間違いなしだ! 皆さんも是非試してみてはどうだろうか。

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