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ちびっ子が熱狂した「カー消し」「最高速戦争」! 懐かしの「スーパーカーブーム」黄金期を振り返る

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TEXT: 高桑秀典(TAKAKUWA Hidenori)  PHOTO: 高桑秀典/LAMBORGHINI/FERRARI/PORSCHE/BMW/Auto Messe Web編集部

スペックを九九を覚えるかのごとく丸暗記した

 ちなみに、スーパーカーグッズと化したモノについて具体的に説明していこう。子どもたちが学校に持っていく文房具(筆箱、下敷き、消しゴム、鉛筆など)はもちろん、衣類、ベルト、バッグ、腕時計、お茶碗、マグカップ、レコード、ゴミ箱、トランプ、コインケース、塗り絵といった日用品や生活雑貨までもが、フェラーリ、ランボルギーニ、マセラティ、ランチア、デ・トマソ、ロータス、ポルシェ、BMWなどの写真、イラスト、エンブレムですっかり彩られた。コカコーラの王冠の裏にスーパーカーのイラストが印刷されていた 往時に収集したスーパーカーグッズをいまでも大切にしているコレクターが筆者の周りにいるので、スーパーカーブーム全盛時に灯された火の熱量はハンパないものだったのだ。

 スーパーカーグッズが大量に登場した恩恵で、実車を所有していなくても楽しめた点がスーパーカーブームの“いいところ”。身近なところでは、かつて20円で販売されていたスーパーカー消しゴムがあった。1975年以降に流行ったスーパーカー消しゴム

 そして、スーパーカーカードもカー消しと同じように入手・収集しやすいアイテムの代表格。裏側に書いてあった最高出力や最高速度といったスペックを、九九を覚えるかのごとく丸暗記するのが通例だった。スーパーカーカードの裏に記載された文言は丸暗記した 大小さまざまなカードが販売されていたが、駄菓子屋などでカードを買った際に、すでに所有しているモノをゲットしてしまったときに友達と交換していたという方も少なくないだろう。スペックの丸暗記に使ったエネルギーを勉強のほうに注いでいたら、筆者の低空飛行人生がもう少しばかり羽ばたいたのかもしれない。スーパーカーカードや生写真は宝物のように保管していた

最高速度が下がると誰もが一瞬にして夢から覚めた

 1970年代後半はオイルショックや排気ガスによる大気汚染が問題となり、スーパーカーを始めとする高性能車を取り巻く状況が一段と厳しくなった。スーパーカーブームの全盛期は、1976~1977年までの2年間であったと言われている。カウンタックとの間で頂上対決をしていたフェラーリBBが現実路線を歩み始めたのと同じタイミングで、空前のスーパーカーブームが終焉を迎えようとしていた。フェラーリ512BBはカロッツエリアイタリアーナで撮影した

 512BB時代のトリプルチョーク・ウェーバーではなく、ボッシュのKジェトロニック燃料噴射を装備し、最高速度が302km/hから約280km/hへと下方修正された512BBiが1981年に登場したのだ。スーパーカーのスペックに一喜一憂していた子どもたちにとって、この現実的な下方修正はまさに寝耳に水といった感じで、誰もが一瞬にして夢から覚めてしまった。キャブレターからインジェクションに変更したフェラーリ512BBi

 ファミリーで買い物に行くような、ごく普通の百貨店の駐車場でスーパーカーの展示イベントが開催されるほどの熱狂ぶりとなったブームは終焉を迎えてしまった。一部のスーパーカーメーカーは時代の変化に素早く対応し、1980年代、1990年代、2000年代を生き延び、現在も魅力的なモデルを造り続けている。スーパーカーとその関連アイテムが放つ芳醇な世界は、今後も数多くのクルマ好きを魅了していく。

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  • 高桑秀典(TAKAKUWA Hidenori)
  • 高桑秀典(TAKAKUWA Hidenori)
  • 本業はフリーランスのライター兼エディター。1998年に買ったアルファ ロメオGT1600ジュニア(通称:水色号)を現在も愛用しており、すでに総走行距離が30万8000kmオーバーとなっている(2022年4月中旬現在)。クラシックカーラリーに水色号で参戦取材することがライフワーク(?)となっており、群馬をホームタウンとして開催されている「スプレンドーレ」では、柴犬を“ワン・コドライバー”、秋田犬を総監督として挑んでいる。全国各地に水色号でお邪魔しているので、これからも走行距離が順調に伸びる予定。
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