8000回転オーバーまでギンギンに回るVTEC! カミソリのように鋭かった歴代「シビックタイプR」伝説 (1/2ページ)

8000回転オーバーまでギンギンに回るVTEC! カミソリのように鋭かった歴代「シビックタイプR」伝説

歴代シビックタイプRのNAエンジン搭載モデルを振り返る

 ホンダの歴史に燦然と輝く「タイプR」は、初代NSXで登場して以来インテグラやシビックにも設定され、多くのファンから注目を集める存在となった。

 タイプR以外にも、市街地での快適な走りをカバーした「タイプS」や「ユーロR」もあるが、ホンダのスポーツモデルの筆頭はやはり「タイプR」である。なかでもホンダの基幹車種であるシビックに設定されたタイプRの歴史は長く、すでに北米で開発中の新型シビックタイプRに、カモフラージュを施した車両が披露されるなど、日本でも販売されるであろう新型に大いに期待が膨らむ。

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新型シビックタイプR画像はこちら とはいえ ホンダ党のオジサンたちにとってのシビックタイプRといえば、EK9から始まる自然吸気モデルの数々。8000rpmまでギンギンに回る歴代シビックタイプR、しかもNAモデルの歴史を振り返る。

切れ味鋭い初代シビックタイプR【EK9型】

 1997年8月に登場した6代目シビック(EK型)をベースに、同モデルとしては初となるタイプRが登場した。古くからワンメイクレースなどで活躍してきたシビックだが、その期待はホンダファンに限らず当時のクルマ好きの間で話題となった。

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初代シビックタイプR(EK9)画像はこちら 注目は1Lあたり116psを実現した、B16B型直4DOHC VTECエンジンの搭載。1Lあたり106psを発揮する、当時のトップグレードSiRに搭載されたエンジンをベースに、吸排気系や圧縮比をアップ。レッドゾーンを8200rpmから8400rpmまで高めたほか、高回転域のトルクも増強され、そのスペックは185ps/8200rpm、18.3㎏-m/7500rpmと、1.6L NAエンジンとは思えない高出力と高回転域の高トルクを発揮した。B18B型直4DOHC VTEC画像はこちら 車両自体も防音材やリヤワイパーの廃止などで大幅な軽量化が図られ、ボディ剛性強化やブレーキ容量のアップ、専用エアロの装着で重量増となる要素を抱えながらも、SiRⅡとの比較では30kgの軽量化に成功。車両重量は1050kg(編集部注:装備内容により異なる)としていた。じつはレカロ製シートやMOMO製ステアリング(エアバッグレス仕様はマイナス10kg)の装着により重量増に繋がるのだが、そこは外すことはできないアイテムとして、シビックタイプRのアイコンとなっている。シビックタイプR(EP3)リヤスタイル画像はこちら 世界基準となったボディの剛性感は非常に高く、ジキルとハイドと称された低回転域と高回転域でエンジンのフィールが変わる、B16B型は素晴らしく官能的であった。2速や3速でアクセルを全開にし、カムが高回転側に切り替わったときの市販車とは思えない恐ろしくも軽やかなレスポンスは、これが俗にいう「カムに乗る」ということなのか? と多くのドライバーを感嘆させたに違いない。EK9型シビックタイプR走り画像はこちら それでいて最大トルク発生回転数がこれほど高いモデルは珍しく、ドライバーの腕さえあれば、2クラス上のマシンを追い回せる性能を誇った。ほかのターボ4WDのようなド派手なエアロパーツがないことから「山椒は小粒でもぴりりと辛い」、高出力で軽量化について徹底的に考え抜かれ誕生した。

シビックタイプR(EP3)リヤスタイル画像はこちら

■EK9シビックタイプR 主要諸元

○全長×全幅×全高:4180mm×1695mm×1360mm

○ホイールベース:2620mm

○トレッド 前/後:1480mm/1480mm

○車両重量:1040〜1090kg(※パワステやエアコン、ABS、SRSエアバッグの装着装備により異なる)

○乗車定員:4名

○最小回転半径:5.4m

○室内長×室内幅×室内高:1705mm×1390mm×1115mm

○エンジン: B16B 直列4気筒DOHC

○総排気量:1595cc

○最高出力:185ps/8200rpm

○最大トルク:16.3kg-m/7500rpm

○タイヤサイズ:前/後 195/55R15 (前後とも)

○ブレーキ:前/後 ベンチレーテッド・ディスク/ディスク

○サスペンション:前/後 ダブルウィッシュボーン式

○当時車両本体価格:199万8000円(税込)※東京地区販売価格

トールスタイルが不人気だった2代目【EP3型】

 2001年10月には2代目(EP3型)が登場した。ベースとなる7代目は「スマート・シビック」と呼ばれ、3ドアも5ドアもワンモーションフォルムのような、居住空間を意識した現在でいうトールボーイ的コンセプトに変わっていった。しかしタイプRの進化は止まらず、製造は多くの販売台数が見込める英国製造だったものの、数カ月前に発売された最後のインテグラタイプR(DC5型)同様に尖がった仕様だった。EP3型シビックタイプR画像はこちら エンジンは排気量がアップされ、2L DOHC i-VTECエンジン(K20A型、215ps/20.6kg-m)+6速MTを搭載。もちろんレカロ製のバケットシートやMOMO製シフトノブも備わり、高性能モデルの基本を押さえた構成となっていた。特徴はインパネ配置のシフトノブで、これはベースのシビックが現在でいうミニバン的なスタイリングに変わったから仕方がないのだが、従来よりも着座位置が高いこともあって、あまり評判は良くなかった。K20A型直4DOHC i-VTEC画像はこちら だが、エンジン性能を最大限駆使できるように考慮された6速MTは、1速、2速はトリプルコーン、3速〜6速までダブルコーン・シンクロが備わるクロスレシオで、ショートシフト化によって小気味良い操作感覚を実現。超軽量鍛造クロムモリブデン鋼フライホイールの採用もあって、エンジンのキレ味鋭いフィーリングを発揮した。EP3型シビックタイプRシフトノブ画像はこちら ボディは高張力鋼板の多用もあって、先代に対して静剛性で曲げが20%、捻りが80%向上させ、前後のストラットタワーバーやパフォーマンスロッドの追加もあって軽量化&高剛性のボディを両立。

 ステアリングもVGR(可変ギヤレシオ)+EPS(電動パワーステアリング)を採用し、フロントストラット、リヤダブルウィッシュボーンのサスペンションも熟成が図られている。コーナーリングでのリヤのロールセンター高の変化を減少させて、つねに前下がりのロール姿勢を保つセッティングとしていた。

 これによってクルマの挙動がつかみやすく、ヘリカルLSDや205/45R17の大径タイヤの採用と相まって走る楽しさを追求。あまりスポーツ性を感じさせないスタイリングだが、走らせるとやはりタイプRだった。EP3型シビックタイプRコクピット画像はこちら ちなみにエンジン性能を大幅に高めながらも、排気量アップによって官能性はスポイルされた印象。アクセル全開でのアドレナリン分泌量は少ないかもしれないが、B16B型のような鋭利さこそないものの総合力では確実に戦闘力が高められていた。EP3型シビックタイプR走り画像はこちら それでいて居住空間はシビックだから、使い勝手が悪いわけがない。後席も荷室も十分な空間が残されており、ファミリーカーとしての能力も十分。今日は家族が外出中だから「走りを楽しもう!」といったシチュエーションにもピッタリだった。EP3型シビックタイプRレカロシート画像はこちら 2004年にはマイナーチェンジが行われ、新しいエアロパーツやプロジェクター6灯式ヘッドライトに改良、イモビライザーも標準装備となった。こうして進化を続けたタイプRは、シビックという車名から独立したと言ってもいい、ひとつのクルマとして世間から認知される存在となった。EP3型シビックタイプRリヤスタイル画像はこちら

■EP3型シビックタイプR 主要諸元

○全長×全幅×全高:4135×1695×1430mm

○ホイールベース:2570mm

○トレッド:前/後 1470mm/1470mm

○車両重量:1190kg(※エアコン装着車1210kg)

○乗車定員:4名

○最小回転半径:5.7m

○室内長×室内幅×室内高:1805mm×1455mm×1175mm

○エンジン: K20A型直列4気筒DOHC

○総排気量:1998cc

○最高出力:215ps/8000rpm

○最大トルク:20.6kg-m/7000rpm

○タイヤサイズ 前後:205/45R17

○ブレーキ 前/後:ベンチレーテッドディスク/ディスク

○サスペンション 前/後:マクファーソンストラット/ダブルウィッシュボーン

○当時車両本体価格:220万円(税込)