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右半身不随でも諦めない! 独自の「運転補助装置」を開発し「356ロードスター」に返り咲いた男

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TEXT: Auto Messe Web編集部 竹内耕太  PHOTO: 奥村純一

ワンペダルでアクセル/ブレーキを操作できるアシスト装置

 半年かかってついに完成した「小島式アクセルアシスト装置」。製作は金属加工のできるご友人が引き受けてくれている。では、その仕組みを解説しよう。クラシック・ビートルやポルシェのアクセルペダルは床から生えているオルガン式だが、最近小島さんが吊り下げ式ペダル用に試作したサンプルが分かりやすいので、こちらをご覧いただきたい。

 基本は、てこの原理の応用だ。左足を手前に引くとリンケージを介してアクセルペダルが踏み込まれ、左足を前に突っ張れば通常のブレーキとなる。これなら緊急時に体が反射的に踏み込んでしまってもブレーキなので安全だし、ブレーキの反応時間はむしろ「健常者」よりも速い。

 リンケージの位置や長さを調整し、かかとの接地面の摩擦抵抗を減らしてなめらかにするなど工夫をこらして実用レベルになった。

 「スムースに運転するには慣れが必要ですが、だからこそ暴走はしにくいです。障がい者だけでなく高齢者などの誤操作の防止にも役立つのではないかと思います」

 この小島式アクセルアシスト装置は2020年に特許を取得。今年12月7~8日に東京で開催される、障がい者の自立支援機器の技術交流会「シーズ・ニーズマッチング交流会2021」に個人出展する予定なので、そこで実物を見て小島さんにお話を直接聞くことができる。

免許の適性検査に合格して公道ドライブへ復帰!

 ビートルに電動パワステと「小島式アクセルアシスト装置」を取り付けてからは、毎日早朝に団地の駐車場内で(もちろん許可を受けて)少しずつ運転の練習を続けていった。

 「よく“頑張ってるね”とか“努力してるね”って言われるけど、本人はまったく自覚なし。だって好きでやってるから、辛くもなんともないです」

 1年ほど根気よく練習して、ひとりで乗り降りも運転も問題なくできるようになってから、小島さんは免許センターへ運転適性検査を受けに行った。もちろんシミュレーターは対応できないので、自車持ち込み。

 障がい者自らが設計開発した補助装置での適性検査は、免許センターとしても前代未聞で四苦八苦したそうではあるが、根気よく装置の説明をし、法規の枠内で、正確かつ素早い操作と安全運転が可能だと認めてもらうことができたという。

 こうして、AT限定かつ「旋回付でアクセル・ブレーキを操作上有効な状態に改造したものに限る」という条件で適性検査に合格し、小島さんは運転免許の更新を果たしたのだった。

 車検も免許もOKになってから、毎朝5時半から運転の練習を繰り返して、移動できる範囲が少しずつ、少しずつ、遠くへ広がり、やがて高速道路の走行もできるように。新たなチャレンジの連続のかたわらには、付き添いや見守りをしてくれる家族や仲間たちの存在も大きかった。

 ひとりで車いすを積み下ろすことはできないため遠出は敬遠していた小島さんだったが、バーベキューやイベントに誘ってくれたのもご友人たちだ。そして2016年秋、辻堂海浜公園で開催されたVWミーティングにて、小島さんはイベントへのカムバックを果たした。

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