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カブじゃなくて「ジョルカブ」! 似て非なる「エクスプレス」! スーパーカブの「レア過ぎる」兄弟バイク6選

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TEXT: 宮田健一  PHOTO: ホンダ/JAMA/宮田健一

ベンリィ50S(1996年)/ベンリィCL50 (1997年)

 カブ系横型エンジンをスーパーカブの次に多く使った大量生産モデルとなるのは、ビジネスモデルの双璧として活躍したベンリィCDシリーズになるでしょうか。50~90まではT字型のプレスバックボーンフレームにマニュアルクラッチとロータリー4段ミッション化したエンジンを搭載し、ホイールは前後17インチ。交番勤務のお巡りさんも使っていたあのバイクです。

 1968年に登場したベンリィCDシリーズですが、じつはこのT字プレスバックボーンフレーム技術はもともと1964年に登場したスポーツカブCSシリーズのために作られたものだったのです。CSシリーズは、今で言うHRCキットにあたる、Y部品も用意された当時バリバリのスポーツモデル。この横型エンジン&T字フレームの組み合わせは、スクランブラーのCLシリーズや5速ミッションを持つロードスポーツのSS50といったモデルに発展していき、一世を風靡しました。

 さて、時代はそこから30年近く経った1996年。世はちょっとしたレトロブームになっていました。そこでビジネスモデルだったベンリィCD50&90をベースに、かつてのスポーツモデル復刻版として登場したのが、このベンリィ50S&90Sです。ベンリィ50S 基本スペックはCDシリーズとほぼ同じで、ハンドル&シートに車体色を変えることでレトロなスタイルを実現しました。50の方が、尻下がりのシングルシートやTボーンフレームがより映えるサイドカバーとなっており、雰囲気では上といった印象。翌1997年にはスクランブラーの復刻盤となるベンリィCL50も登場し、こちらはタンクやフロントフェンダー形状などもあらためられ、より造形に力が入っていました。ベンリィCL50 しかしながらどちらもヒットモデルというほどにはならず、地味なセールスが続いたあとにCL50と90Sは2001年に、50SはCDシリーズともども排ガス規制で2007年に生産終了となってしまいます。今となってはスポーツモデルとしてのT字プレスバックボーンフレームを最後まで伝えた、貴重なモデルとして再評価されてもいいのではないでしょうか。

主要諸元■全長1805mm 全幅645mm 全高950mm 軸距1170mm シート高748mm 車重76kg■空冷4ストSOHC2バルブ単気筒 49cc 最高出力4.0ps 最大トルク0.44kg-m■タイヤサイズF=2.25-17 R=2.50-17■当時新車価格:18万4000円 (諸元はベンリィ50S)

エクスプレス(1983年)

 パッと見ただけでは角目ライトのスーパーカブだ。だけど、こいつ……なんか違うぞ! 足元はフラットなフロアボードに、排気音はビービーと鳴る2スト音……。厳密にはスーパーカブの親戚とは言えないかもしれないこのマシンは、ホンダが1983年に発売したビジネススクーターの「エクスプレス」。

 エンジンにはカブとまったく無縁の5.6ps無段変速の空冷2スト単気筒を採用しながらも、ホイールにはスクーターとしては大きめの前後16インチを履き、トップケースや前カゴなどお仕事のためのオプションも充実。写真の白のほかに車体色が黒×白で前後に大型キャリアが付いたビジネスタイプもあり、そちらは遠目では見分けがつかないくらい、そのコンセプトはまさにスーパーカブをそのままスクーターにしたというものでした。

エクスプレス あえて言うなら「スーツ姿でもフィットする幅広いファッション性を持ち、ビジネスをはじめ、通勤、通学、レジャーなど……」というリリースの文面から、同じビジネスでもデリバリーだけでなく銀行や保険営業などホワイトカラーも視野に入れて、もっと活躍の場を拡大しようとしていたのでしょうか。しかしながら、スーパーカブの需要には勝ることなく、気が付くといつの間にか消えてしまっていたのでした。

 そんなビジネスモデルとして登場したエクスプレスですが、筆者がこのマシンの存在を初めて知ったのは、なんとレース。90年代初頭の相模川河川敷では「サガミ・ダ・カーラ」というスクーターによるオフロード耐久レースが開催されておりました。スクーターといえば大抵10インチの小径ホイールですから、泥々のコースにみんなスタックしまくりの地獄絵図が繰り広げられていたわけですよ。

 しかし、あるときその横を大径ホイールにモノを言わせ、軽々とクリアしていく1台のマシンが現れたのです。最初は「おい、なんでスクーターレースにカブが走ってんだ」「レギュレーション違反だろ」と騒ぎかけてた周囲のチームも、やがて気付きます。「こいつカブじゃないぞ……」と。登場からすでに10年ほど経過して絶版となっていたエクスプレスは、知る人ぞ知るレア車だったのです。その圧倒的走破性でエクスプレスは一躍サガミ・ダ・カーラ最強マシンの座にのし上がり、やがて特別ハンデも付けられるという事態に。ローカルではありましたが、その活躍の場は開発者の意図を超えて思わぬところにまで拡大していたのでした。

主要諸元■全長1765mm 全幅695mm 全高995mm 軸距1180mm シート高720mm 車重61kg■空冷2スト単気筒 49cc 最高出力5.2ps 最大トルク0.63kg-m■タイヤサイズF=2.50-16 R=2.50-16■当時新車価格:13万2000円

WAVEシリーズ (1995年)

 スーパーカブは日本だけでなく、世界各地に輸出されて活躍していたのはご存知のとおり。とくにタイやマレーシアといった、東南アジアでは現地のモータリゼーションを支えるモデルとして大活躍。4輪車が普及する前の段階の「庶民の足」として広く長く愛されてきました。しかも東南アジア向けのスーパーカブは現地生産の段階に至るや、彼らの嗜好に合わせた独自の進化を遂げていったのです。

 あちらはふたり乗りはもちろん、定員外ではありますが3人乗りも当たり前の交通事情。排気量は日本で標準だった50ccや90ccからさらに引き上げられ、100ccや110cc、125ccへと次第にスープアップしてパワーアップが図られました。現在の日本で売られているスーパーカブ110の排気量設定は、じつは東南アジアから国内に舞い戻ってきたものなのです。WAVE110i そして現地の嗜好がもっとも色濃く現れたのは、そのデザインでした。アンダーボーンフレームに大径ホイールを組み合わせるスーパーカブの基本構成はそのままにスポーティなデザインを融合し、実用性の高さと速そうなイメージが同居。スクーターが流行った日本に対し、まだ未舗装路が多い東南アジアの道路事情と高級車への憧れが生み出した結果と言えるでしょうか。

 その代表となるのが、今も発売されているWAVEシリーズ。日本でも並行輸入で販売しているショップがあり入手することが可能です。WAVEシリーズのようなスポーツデザインのアンダーボーンフレーム車は、他社も追従して現地のスタンダードスタイルとなりました。ただ、最近は東南アジアでもレトロブームで丸目のスーパーカブらしいデザインも大人気。もしかしたら主役が逆転するかもしれませんね。写真は2011年モデルのWAVE110iです。

主要諸元■全長1870mm 全幅709mm 全高1080mm 軸距1227mm シート高760mm 車重99kg■空冷4スト単気筒 PGM-FIシステム 109cc 最高出力8.2ps 最大トルク0.86kg-m■タイヤサイズF=70/90-17M/C 38P  R=80/90-17M/C 50P ■新車価格(最新版タイ現地):36,900 baht (バーツ = 3.43円 )より

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  • スーパーカブ50『天気の子』バージョン
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