イマドキのクルマよりも快適なタクシー
電話の主がついさっき突撃取材を敢行した、謎の東洋人とは思ってなかったみたいで、ドライバーのジークフリート・クデラーさんは一瞬驚いた様子でしたが、笑顔でグータッチを交わし車内へ。
ロングホイールベースの「300SEL」は1988年式。年式相応にくたびれた部分もあるけれどとても良い状態で、小雨で湿度が高い日だったけどエアコンもきちんと機能していました。懐かしい青いファブリックのシートもとても快適。
なにより驚いたのが乗り心地と静粛性です。ディーゼルが多いドイツでは珍しく、ガソリンとLPGのハイブリッド。シフトショックも皆無でめちゃくちゃスムースな加速。ボクの仕事グルマ「S211」のEクラスよりも快適で少し悔しい。
ドライバーは根っからのカーガイ
「W126」のほかにも「W220」(1998年~2005年)のSクラスのタクシーを所有しているクデラーさん。W220は修理で長期入庫中なので、最近はもっぱらW126で営業しているとのこと。とはいえ、平日のみの営業でほぼ常連さんがお相手ということで、街を流すことは珍しいみたい。1日に2回も見かけたボクはよっぽど運がよかったんですね。
営業を始めて30年以上というクデラーさんは、タクシードライバーであると同時に生粋のクルマ好き。趣味車として「ポルシェ911タルガ(930)」も所有。若いころは自動車整備も学んでいたらしく、整備も自らこなすとのこと。W220とW126だとどちらが好み? と質問すると、W126と即答。W220は電子制御が多く、故障すると厄介だとか。
同じ料金でVIP気分が味わえる
リヤシートのフットスペースが広大な「300SEL」。Sクラスだからってほかのタクシーよりも料金が割高になるわけではないので、もしもクデラーさんのタクシーに乗れたら同じ料金でVIP気分が味わえてちょっと得した気分。フランクフルトの街中でW126のタクシーを見かけたら、用はなくても乗ってみることをオススメします!