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「足動」&「手動」運転補助装置つき「フィットe:HEV」に乗ってみた! 福祉車両を作り続ける「ホンダらしさ」とは

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TEXT: 斎藤慎輔  PHOTO: 小林 健/本田技研工業

手だけで運転する「テックマチックシステム」の使い勝手は?

 次に、手だけで運転操作する「テックマチックシステム」を架装した「フィットe:HEV」に試乗した。車いすから乗りこむような経験はできなかったが、なるべく脚力を使わずに乗りこもうとしただけでも、腕の力が相当に要ること、着座後も横Gなどに対して姿勢の保持が難しいことは、想像も含めてではあるが、知れるものだった。

テックマチックシステム搭載のフィットe:HEV

 テックマチックシステムには5アイテムがあり、障がいなどの度合いに応じてそれを組み合わせて使う。試乗車は両足が不自由な人に向けた、手動運転補助装置(Dタイプ)と「ハンドル旋回ノブ」(Aタイプ)を装着した仕様で、装置としてはかなりシンプルともいえる。

 要はアクセルとブレーキの操作を、シフトレバー右側に取り付けられた「コントロールグリップ」と呼ぶレバーで行い、これがアクセルペダルとブレーキペダルの双方の役割を受け持つ。センターのニュートラル位置からレバーを引き方向でアクセル、押し方向でブレーキという基本操作で、ある意味かなり単純な操作で済む。

シフトレバー右に「コントロールグリップ」

 車両の前後Gが、加速では後方に、減速では前方にかかるという体感からも、レバーの後方倒しで加速、前方倒しで減速~制動というロジックはわかりやすい。そんなこともあって、足ですべてを操作するフランツシステムに比べると、すぐに慣れてしまう、と思えるくらいラクに操作ができるものだった。

コントロールグリップの前後で加速と減速をコントロール

 このシステムも、あくまでレバーとペダルはロッドで繋いでいるので、電子制御スロットルなどの制御とは無関係だ。このためBレンジを使うと、減速回生が強まった分、レバーを引き方向から少し戻した際の減速度も高まる。このことから考えると、他社で一部の電動駆動系車両に採用されている「ワンペダル」のような制御がなされれば、レバーの減速側への操作量はより少なくて済むのでは? と思ったりもしたが、それで操作がより簡単になるのか、ドライバビリティとしてどうなのかは明確ではないので、あくまで想像の範囲である。

コントロールグリップとペダルは物理的につながっている

 このレバーにはウインカーやライト、ハザードランプなどのスイッチがあるが、指先での操作に違和感はなく、戸惑うことはない。いまはヘッドライトの点灯も、ハイとローの切り替えもオートが標準であることを考えれば、以前より遥かに面倒でなくなっていると思われる。ただ、これもウインカーのキャンセルは手動で、作動させたあとは意識してオフにする必要はある。

コントロールグリップに各種スイッチが集約されている

 ステアリングを片手で回すためのハンドル旋回ノブは、センターの保持に少しコツがいるものの、慣れもいらないくらいだ。とくに素早い操舵では両手でステアリングを操作するよりラクなほど。「健常者」でも、この類いを装着している人がいるのも頷ける。

ハンドル旋回ノブは片手だけでのステアリング操作を強力にバックアップ

 ということで、「コントロールグリップ」レバーによるパワーとブレーキのコントロールさえ掴んでしまえば、教習所内のクランクやS字コースなども、苦もなく通過できてしまう。日常域では、通常車両との違いを意識することなく乗れそうだ。

テックマチックシステムはすぐに慣れることができた「フランツシステム」も「テックマチックシステム」も、いまの技術レベルからすれば、バイワイヤーなどでステアリング系もスロットル/ブレーキ系も、さらに操作系も制御するものにできそうなものだ。だが、価格面と信頼性からも、改造を最小限に留めたうえで、多くの人にクルマによる移動の自由、さらに喜びをもたらしたいというホンダの思いが通っているように思えた。

40年以上にわたり運転補助装置をつくっているホンダ

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