V型はほとんどない! クルマの「名機」と呼ばれるエンジンが直列ばかりの謎 (2/2ページ)

直4と生産を共通化できて効率も良い

 それに対し、V6はクランクシャフトの関係から等間隔爆発は難しい。エンジン長の面で有利なので、ボアを広げることはやりやすいが、高回転化は苦手……。使いやすいいいエンジンというのは中低速のトルクが大きく、レスポンスのいいエンジンなので、高回転までまわらなくてもトルクが大きければいいエンジンともいえる。だが、気持ちいいエンジンとなると、高回転の伸び感は絶対に必要。排気音にしても、1秒あたりの爆発回数が多い方が周波数は高くなるので、甲高いエキゾーストノートが得られる。

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 この音の問題もけっこう重要で、レーシングカーのエンジンで聞き比べると、いい音のランキングは、1位:V12、2位:V10、3位:直6、4位:V8、5位:直4、そして最下位がV6というのが定番だ(もちろん一例でありこれが答えではない)。もっとも、F1だって現在のパワーユニットは1.6L V6ハイブリッドターボだし、日本が誇る日産GT-R(R35)のVR38DETTエンジンも、3.8L V6ツインターボなので、V6=実用エンジン向きというわけではない。

 また、また直6エンジンは設計も部品も構造も(生産工程)も直4と共用できるのが大きい。昨今、環境性能が重視されるなか、ダウンサイジングターボが増えてきて、かつての3L(6気筒)クラスのクルマに、直4直噴のターボエンジンが積まれるようになってきた。こうなると、直4といろいろ共有できる直6も作りやすくなるわけで、ベンツやBMWが直6を復活させてきた事情はこうしたところにもある。ちなみにV型は、シリンダーブロックもヘッドもふたつ必要なので、コストも高い。

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 というわけで、省スペース性ではV6に軍配が上がるが、振動特性、高回転化、部品・設計の共用化、コスト、エキゾーストなどの面では、直列エンジンが優れている。その結果、直列エンジンに名機が多いというのがこれまでの歴史が物語っている。古い高級車は、エンジン縦置きのFRばかりだったのも大きな理由だ。ただ、スムースネスな点では、内燃機関では手も足も出ないEVの時代が来ると、どうなっていくのか? 今後の動向に注目したい。