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「乗り心地悪し」の酷評は「公道を走るF1」なんだから当然! フェラーリF50誕生の真実

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TEXT: 原田 了(HARADA Ryo)  PHOTO: 原田 了/Ferrari/LAMBORGHINI

公道を走るF1という開発コンセプトがぶれることに……

 フェラーリ副会長のピエロ・ラルディ・フェラーリの発案によりF1のエンジンを搭載したロードカーとして開発が進んだF50。ですが、当時会長職に就き、フェラーリF1チームの統率もエンツォ御大から引き継いでいたルカ・ディ・モンテゼーモロが、フェラーリは普段使いもできなくてはならないとの信念から、カーボン・コンポジットのモノコックながら立派な内装が施されていました。当然のようにエアコンも装着されることに。

 ストイックなクラブマンレーサーならともかく、フェラーリのロードゴーイングならエアコンは当然でした。もう遥か昔のことになりましたが、快適性の欠如をランボルギーニに突かれた事実もあり、フェラーリのかじ取りを任されたモンテゼーモロ会長としては当然の指摘だったのです。

 とはいえ当初の開発コンセプトである“公道を走るF1”からは少しぶれてしまったように感じられます。モンテゼーモロ会長やフェラーリ副会長から直接相談を受けた訳ではないので(当たり前か!)正確なところは分かりませんが、エンツォ御大が統率していたころのような一枚岩ではなかったのかもしれませんね。それぞれの主張、とくに会長の、フェラーリは普段使いもできなくてはならないとの信念は、充分納得できるだけに一ファンとしては残念な思いがありました。

振動が酷いとの謂れなき不評

 さらに、F50にとっては不幸なことに、振動が酷いとの不評が少なくなかったようです。考えてみればそれは当然で、カーボンコンポジットのモノコックにエンジンをストレスマウント(エンジンもフレームの構造体の一部と考えて、フレーム本体に直接マウントする手法)しているから、エンジンの振動はそのまま車内に伝わってくるのは当然です。

 しかもフェラーリが至高としているV12とは異なり、V10ユニットは基本的なところで振動が大きくなっているから、V12や直6に比べて振動面では不利は否定できません。また細かいところでサスペンションの構成がどうなっているのかが分からないので一般論として判断するしかないのですが、サスペンションコンプライアンスが足りないのではなかったかとも思われます。

 サスペンションコンプライアンスとは言ってみれば“遊び”で、例えばレーシングカーなどはほぼ0に近くなっていますがロードゴーイングカーでは少し大きくなっています。これが足りないとゴツゴツするな、という評価となるし、多すぎるとグニャグニャする、という評価になります。

 そこはクルマのコンセプトに合わせて設定するのですが、まぁカーボンコンポジットのモノコックにエンジンをストレスマウントしていれば、基本的に乗心地は固くなるのは否定できないところです。それなのに振動が酷い、乗心地が悪いというのはF50にとっては謂れなき不評と言うしかありません。まぁ、フェラーリに対するユーザーの、要求レベルが高いということなのかもしれませんね。

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  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • ライター。現在の愛車は、SUBARU R1、Honda GB250 クラブマン、Honda Lead 125。クルマに関わる、ありとあらゆることの探訪が趣味。1955年、岡山県倉敷市生まれ。モータースポーツ専門誌の地方通信員として高校時代にレース取材を開始。大学卒業後、就職して同誌の編集部に配属。10年間のサラリーマン生活を経て90年4月からフリーランスに。モータースポーツ関連の執筆に加え、オートキャンプからヒストリックカーイベントまで幅広く取材。現在ではAMWに、主にヒストリー関連コラムを執筆。またライフワークとなった世界中の自動車博物館歴訪を続け、様々な媒体に紹介記事を寄稿している。
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