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「スリット」や「穴」は見た目だけじゃない! ディスクブレーキのタイプ別メリット・デメリットを包み隠さず教えます

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TEXT: 藤田竜太(FUJITA Ryuta)  PHOTO: Auto Messe Web編集部

自分の用途に合った製品を選ぶ

 ディスクブレーキは、回転するディスクにブレーキパッドを押し付けることで摩擦が生じ、その摩擦力でクルマのスピード=運動エネルギーを、熱エネルギーに変換するシステムだ。摩擦が制動力の元なので、使えばブレーキパッドが削れてダストが出る。

 摩耗するのはパッドだけではなく、ローターも少しずつ削られ、新品のときから1~2mm薄くなったら交換時期(ローターの縁に刻印されている摩耗限界値=「MIN TH ○○(mm)」と刻印されている)。つまりブレーキローターも消耗品ということになる。

 そのローターが交換時期を迎えた場合、どんなローターに交換すればいいのか。一番無難なのは、自動車メーカーの純正ローターだが、社外品のスポーツ用ローターという選択肢もある。

ブレーキローターにも種類がある

 アフターパーツのブレーキローターには、多くの純正ローターと同じように表面がツルッと平らなものもあるが、ローター表面にいくつかの穴を開けたドリルドローターや、ローター表面に放射状の溝を入れたスリットローターなども多く出回っている。

 純正ブレーキでも、ハイパフォーマンスカーのブレーキには、はじめからドリルドローターやスリットローターが採用されていることが多い。そのため、自分の愛車で交換をするならドレスアップも兼ねて、これらのローターに……と思う人もいるだろう。結局のところ、どのようなローターを選べばいいのだろうか。

 穴も溝もないプレーンなスタンダードタイプ、スリットローター、ドリルドローターのそれぞれのメリット・デメリットを整理しておこう。

スタンダードタイプ

 ブレーキローターとしてはもっとも標準的なタイプ。価格も安価で、パッドの摩耗も少ないし、鳴きも少ない。一番経済的なタイプ。

スリットローター

 表面に溝が入っているスリットローターは、モータースポーツ向きのローター。溝が入ることで摩擦係数が高まり、初期制動がアップする。溝があることでパッドの表面もクリーンに保たれ、高熱でパッドとローターの間に発生し、フェードの原因にもなるガスも放散させやすいのが特徴だ。またタイヤと同じように、溝がなくなる=ローターの寿命と交換時期がわかりやすいものもある。

 一方でスリットの本数が増えると、パッドの摩耗が早くなり、鳴きも出やすくなってしまう。ローター自体の価格もスタンダードタイプより高価だ。

ドリルドローター

 ドリルドローターのメリットも、基本的にはスリットローターと同じ。ただ冷却性に関しては、ドリルドローターが一番。雨の日でも水の影響を受けにくく、安定感もいい。デメリットもスリットローターと同じだが、ドリルドローターはクラックが入りやすく、ライフ性能はスリットローターに劣る。そのためアフターパーツのブレーキローターとしては少数派だ。

* * *

 というわけで、純正ローターではなく、よりスポーツ性を重視した社外品のローターが欲しい場合は、スリットローターがいいかもしれない。その上で、ベンチレーテッドディスクのベーン(通風孔)の数が多いものや、ブレンボのようにピラータイプになっていて、冷却効率のいいローターがおすすめ。

 こうしたローターなら熱容量に余裕があり、耐サーマルクラック性能にも優れているからだ。反対にスリットローターなのに、スタンダードタイプの純正品より安い製品はおすすめできない……。

 鋳鉄のブレーキローターは、スクラップ(屑鉄)を電気炉で溶かして製鋼した「銑鉄」が原料。安すぎるローターはこの「銑鉄」のクオリティが低く、「銑鉄」に含まれる黒鉛の量に問題があったり、靭性(粘り強さ)が弱く、スポーツ走行時に利きやフィーリングが悪いという例が散見されるためだ。

 言うまでもなく、ブレーキは最重要部品なので、社外品のローターを選ぶ際は、信頼できるブランドので、なおかつ自分の用途に合った製品を選ぶようにしよう。

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  • 藤田竜太(FUJITA Ryuta)
  • 藤田竜太(FUJITA Ryuta)
  • モータリング ライター。現在の愛車:日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)。物心が付いたときからクルマ好き。小・中学生時代はラジコンに夢中になり、大学3年生から自動車専門誌の編集部に出入りして、そのまま編集部に就職。20代半ばで、編集部を“卒業”し、モータリング ライターとして独立。90年代は積極的にレースに参戦し、入賞経験多数。特技は、少林寺拳法。
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