最新「日産GT-R」は本当にセキュリティの標準化とエンタメ充実しか変更していないのか

タイヤの仕様変更でリニアかつ上質な乗り味に1200kmロングドライブで探る「MY18の真相」

日産R35型GT-Rで恒例となっている「MY(モデルイヤー)」制。
最新の2018年モデル「MY18」が発売されたが、プレスリリースに記された変更点はたったの2点。走りに関する部分には特に触れられていなかった。
今回はその真相を確かめるべく、MY18でロングランを敢行し、MY17との違いを検証してみた。GT-R、NISSAN、2018、MY18、日産、試乗

いまや歴代GT-Rのなかで最もモデルライフの長いクルマとなったR35型GT-Rは、2016年度を除いて毎年”MY(モデルイヤー)”を発表してきた。年次改良とはいえ、エンジンや足まわりに大きなアップデートが施された例も多く、なかでも走りに関わるパートの煮詰め度合いには開発陣の執念すら漂っていた。

’16年7月に発表されたMY17(2017年モデル)では、初の”ビッグマイナーチェンジ”を実施。内外装のみならず、ボディのメタル部分(キャビン)やエンジンのスペック、サスペンションまわりまで広範囲に手が入れられた。
それだけに、次期MYの変更箇所がさほど多くないであろうことは予測済みであり、「MY18」の広報リリースに書かれていた内容も次の通りだった。

□これまで「GT-R NISMO」、「GT-Rプレミアムエディション」に標準設定していた「国土交通省認可 サッチャム欧州カテゴリーⅡ準拠 車両防盗システム」を全グレード標準設定へ

□快適性では、楽しいドライブを演出する「Apple CarPlay」を全グレードで対応

確かに「標準で付いていたらイイね」と思う装備だが、これには少々拍子抜けしたのも事実。これまでの進化の幅を踏まえ、積極的に購入意欲が沸くかと聞かれると、果たしてどうなのか。
早速、東京都〜三重県の往復を含むロングランに連れ出してみた。

 

総走行距離1200kmのレポートへ

日産グローバル本社の地下駐車場でMY18をピックアップ。くまなく細部に目をやるも、MY17との違いは見当たらない。ただ、仕様が変わったと噂されていたタイヤは、従来よりもサイドウォールが少しラウンドしているように見て取れる。

まずは、一般道へ。初めに感じたのがステアリングの軽さだった。
パワステポンプのアシスト量が増えたのかどうかは定かではないが、MY17よりも操舵時の軽快さが若干増している。恐らく、タイヤの仕様変更が影響していることもあるだろう。あとでチェックすると、トレッドパターン自体も従来とは若干異なっていた。

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銘柄(ダンロップ SP SPORS MAXX GT600)とサイズ(F255/40R20、R285/35R20)も変わらないが、新たにトレッドパターンを変更し、サイドが若干ラウンド形状に。転がりのよさとロードノイズの軽減が狙いか。

次に高速道路を巡航してみると、MY18は「GT(グランドツーリング)」としての資質により磨きが掛かった、と実感するまでにさほどの時間は要さなかった。
’16年5月にドイツで初めてMY17のステアリングを握ってから約1年半、日産から公式にアナウンスはされていなくても、細かい部分は確実に熟成されたと断言できる。直進安定性/操舵時のレスポンス/加・減速時のリニアリティなど、MY17よりも一体感が強化されたという印象。これまでのR35型GT-Rは、新しくなる度に”クルマが小さくなった”ように感じたが、MY18は”クルマが少し軽くなった”ようなイメージだ(カタログ値の車重変更はなし)。

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ワインディングではサイズや重量を感じさせない身のこなしを堪能。新車だったということも多少影響しているかもしれないが、MY17に比べてすべてがカッチリとしており正確にラインをトレースできる。

そして、スペック上でMY18の改良点の”引き”となるのは「Apple CarPlay」への対応。
スマートフォン(iOS7以降のiPhone)を車載のUSBコネクターに接続すれば、Siriや通話/メール、地図/オーディオ/音声ガイドなどの各対応アプリを車載モニターでも操作できる。使えるアプリは限られるものの、慣れると重宝しそう。将来的な発展の可能性も含め、エンタメ機能の充実も最新モデルとしては外せない装備といえそうだ。

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車両側のUSBに接続することでマルチファンクションディスプレイに携帯内のアプリが表示。音声や画面タッチで操作可能だ。

外観はMY17と同じであり、ホイールデザインも踏襲。
試乗車はボディカラーは、アルティメイトシャイニーオレンジ(プレミアムエディション)。MY18のアイコンになるような新色の追加を期待していたが…。GT-R、NISSAN、2018、MY18、日産、試乗

外装同様、インテリアもMY17と見た目上の違いはなし。試乗車はオプションのファッショナブルインテリア(タン色)仕様だった。GT-R、NISSAN、2018、MY18、日産、試乗

さらにエンジンは、570ps/65.0kgf・mのスペックもMY17と共通。実走でのフィーリングやパワー感は申し分なく、高速巡航時の静かさは特筆モノであった。GT-R、NISSAN、2018、MY18、日産、試乗

 

 

「GT-R “NISMO”」も速さにさらなる磨きが掛かる

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姉妹誌『CARトップ』の看板企画である「筑波アタック」に挑んだGT-R NISMOのMY18仕様。
基準車同様、NISMO専用タイヤもパターンなどが見直された様子。アウト側のブロックに縦溝がもう一本追加され、グリップ力の向上とともにマイルドな操縦性を狙ったという。目標の1分切りは敵わなかったが、従来よりも約1秒のラップタイム向上を達成した。

 

MY17デビュー時ほどの劇的な変更はないものの、乗れば明らかに深化を感じるMY18。
大きな振り幅を持って生まれ変わったMY17が”熟した”というのが、1200kmを共にしての素直な感想であった。

 

(レポート:GT-Rマガジン編集部)


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