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FD3S型 RX-7 & RX-8の歴史を振り返る「ロータリー・エンジン搭載車ヒストリー」

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TEXT: 原田 了(HARADA Ryo)  PHOTO: 原田 了

パワーよりもハンドリングにこだわった
マツダのピュアスポーツモデルへ

前回の「ロータリー・エンジン搭載車ヒストリー」は、FC3S型のマツダRX-7を紹介したが、今回はその次期型となるFD3S型について紹介したい。

91年の10月、RX-7は3代目のFD3Sに進化した。コンパクトな2+2座のキャビンをロングノーズとショートなハッチバックテールで挟み、ロングノーズの後方に、2ローターのロータリー・エンジンを搭載する基本的なパッケージングは不変。
しかし、全幅は1760mmまで拡げられ、ついに3ナンバーボディとなったのが大きなトピックだった。もちろんそれは、シャシー性能を引き上げるために必要だったからで、トレッドの拡幅とタイヤのサイズアップに、その大半が費やされていた。
それがバブル時代に踊らされた結果でないことは、全長が少し切り詰められると同時に、車重も1.3t以下に抑えられ、むしろ2代目RX-7・FC3Sに比べて僅かにダイエットされていることからも明白。当然ながらハンドリング性能も大きく向上した。

エンジンはFC3Sから継承した13Bロータリーを搭載。もう少し詳しく見て行くと通称13B-Tと呼ばれるものから”13B-REW”と呼ばれるタイプに進化していた。
13B-Tがツインスクロール・ターボを装着していたのに対して13B-REWはシーケンシャル・ツインターボにコンバート。エンジン本体にも改良が加えられ、91年のデビュー当時から255馬力のハイパワーと30.0kgmの太いトルクを捻り出していた。
96年のマイナーチェンジでは265馬力にパワーアップ。98年に登場した最終仕様では最高出力が、当時の自主規制最高レベルの280馬力に達するとともに、最大トルクも32.0kgmに引き上げられたのである。

3代目、そして(現在までで見るなら)RX-7最終世代となったFD3Sはモデルライフも11年に及んだが、その間のマイナーチェンジも5回と、歴代の中で最多となった。

また特別仕様車/特別限定車も数多くリリースされているのも特徴。
最大のエポックとなったのは2シーターモデルの登場だろう。元々が2+2シーターであり、先代のFC3Sでもアンフィニと呼ばれるリアシートを取り除いて2シーターにコンバートしたモデルが限定発売されたが、FD3Sでは93年のマイナーチェンジを機にカタログモデルとして2シーター仕様のタイプRIIを追加設定している。
さらに特別仕様車として限定300台で92年に登場したタイプRZも、好評を博したことで95年のマイナーチェンジを機にカタログモデルへ昇格を果たしたことが知られている。

 

1992_Mazda RX-7 3-door Hatch-back Coupe Type FD3S

RX-7、RX-8、FD3S、MAZDA、ヒストリー、ロータリーエンジンこちらは92年式の初期モデル。基本のパッケージやコンパクトなキャビンをロングノーズとショートなハッチバックテールで挟むエクステリアのデザインコンセプトには変わりないが、抑揚の効いた面を多用したことで、イメージは一新されている。
テールゲートには、国内モデルのタイプRで標準装着されていた4本ステーのリアスポイラー(ウイング)を装着。

 

 

フル4シーターへと生まれ変わったRX-8

2002年にRX-7(FD3S型)が生産終了となって以降、一時的ではあるがマツダからロータリー・エンジンを搭載したモデルが消滅。しかし99年の東京モーターショーにコンセプトモデルとして参考出品された「RX-EVOLV(エボルブ)」が、少しずつ現実的になってきて、03年のデトロイト(北米国際自動車ショー)で市販モデルがワールドプレミア。同年4月、ついにRX-8が登場する。

マツダ自身はRX-7の後継モデルではなく新しいクルマとコメント。コンパクトな4座に観音開き式のドアを備えた4ドアセダンと見ることもできる。
だが、フロント・ミッドシップに2ローターのロータリー・エンジンを搭載する基本パッケージや、キャビンのスペースが少し大きくなったものの、長めのノーズとショートテールで挟み込んだエクステリアデザインなど、紛れもなくRX-7後継だった。

メカニズム的にも少し触れておこう。搭載されるエンジンは13B。ただしロータリー・エンジンを示すREと、起源とか創生を意味するGENESISを組み合わせた『RENESIS(レネシス)』の愛称を持つ最新仕様の13B-MSP型だ。
RX-7の最終モデルに搭載されていた13B-REWがシーケンシャル・ツインターボを装着していたのに対して、こちらは自然吸気、つまりはノンターボだった。
だが、従来のペリフェラル排気からサイド排気(吸気もサイド)へと変更され、吸排気タイミングでのオーバーラップを解消し燃焼効率がアップ。さらに排気ポートは従来の約2倍、吸気ポートは30%それぞれ拡大され、最高出力はハイパワーモデルで250馬力、スタンダードモデルでも210馬力を絞り出している。
これに対して車重は1.3tを少し超えた程度でRX-7に対して50kgほど増加していたから、絶対的なパフォーマンスでは一歩後れをとることになったが、それでもライバルに比べればまだまだアドバンテージを保っていた。

それに6速MTを選べるようになったのも大きな魅力。スタンダードモデルは5速MTと4速ATを設定。4速ATは、サブゲートとパドルシフトを採用するマニュアルモード付きだった。
04年11月に登場した特別仕様車で採用されたボディのスポット増しによるボディ強化は、カタログモデルにも採用された。
08年のマイナーチェンジを経て9年間のモデルライフを全う。排気ガス規制が強化されたことなどもあって12年の6月に生産を終了し現役を退いた。

2004_Mazda RX-8 4-door Coupe Type SE3P

RX-7、RX-8、FD3S、MAZDA、ヒストリー、ロータリーエンジン02年にRX-7(FD3S)の生産が終了した後、約1年間の休止期間を終えて後継モデル、RX-8が登場。マツダ自身は後継モデルとはせず、またファンの間でも、後継モデルか否かは意見が異なるところだが、待望されていたロータリー・エンジンを搭載したスポーツカーであることは間違いない。
マツダ・クラシックカー博物館フライに収蔵展示された個体は2004年式。9年間のモデルライフの中、ごく初期に生産された1台だ。RX-7、RX-8、FD3S、MAZDA、ヒストリー、ロータリーエンジン

2003-12_Mazda RX-8 Type SE3P

RX-7、RX-8、FD3S、MAZDA、ヒストリー、ロータリーエンジン最後に、ロータリー・エンジンの本家本元であるマツダの、本社に併設されたマツダ・ミュージアムの展示を紹介しておこう(取材は2010年)。
これはRX-8の現車ではないが、同寸のクレイモデルとベアシャシーで、貴重なアイテム。ほかにもRX-8などロータリー・エンジン関連の技術展示も豊富で、ファンにとっては必見だ。RX-7、RX-8、FD3S、MAZDA、ヒストリー、ロータリーエンジン

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  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • ライター。現在の愛車は、SUBARU R1、Honda GB250 クラブマン、Honda Lead 125。クルマに関わる、ありとあらゆることの探訪が趣味。1955年、岡山県倉敷市生まれ。モータースポーツ専門誌の地方通信員として高校時代にレース取材を開始。大学卒業後、就職して同誌の編集部に配属。10年間のサラリーマン生活を経て90年4月からフリーランスに。モータースポーツ関連の執筆に加え、オートキャンプからヒストリックカーイベントまで幅広く取材。現在ではAMWに、主にヒストリー関連コラムを執筆。またライフワークとなった世界中の自動車博物館歴訪を続け、様々な媒体に紹介記事を寄稿している。
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