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ミニバンの乗降は高齢者も介護者もひと苦労!セダン&ワゴンが注目される理由

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TEXT: 御堀直嗣(Mihori Naotsugu)  PHOTO: 赤松孝/Auto Messe Web編集部

足腰が弱るとステップの高さが大きなハードル

 1994年にホンダがオデッセイを発売してから、国内市場にミニバンブームが起きた。今日ではSUV人気に移行したといわれているが、5ナンバーミニバンや、軽自動車のトールワゴンなど含め、ミニバン的なクルマが衰退した訳ではない。

 また、トヨタが最近推進している過疎地域での公共の移動手段として、ミニバンを基にしたウェルジョインが誕生した。まとまった人数で移動する際のミニバンの有用性はもちろんある。だが、ある年齢に達した高齢者や、体調がよくないとか、体に障害のある人にとって、ミニバンは必ずしも最適な福祉車両にはならない側面もある。

 ミニバンは、座席の高さがちょうど腰の位置にあるので、乗降しやすいとこれまでいわれてきた。それは、健常な壮年までにあてはまることであり、高齢者になると必ずしもそうではない。

 日本人の背が伸びてきたとはいえ、まだ背の低い人は多い。高齢者ほど、その比率は高いだろう。すると、腰の高さといわれてきた座席位置も実は高すぎて、背伸びをしなければ座れなかったり、クルマの床に一旦足を乗せてからでないと着座できなかったりする。

 このとき、体力の衰えた高齢者は、背伸びしにくかったり、床に足を乗せる力が足りなかったりして、乗るのに手間取る。たとえ乗降口に手すりが設けられていても、腕に力が入らなければ床に足を乗せたあと、体を持ち上げることはできない。

 降車の際も、座った状態から足が地面に届かなかったりするため、飛び降りるようなことになり、不安であるだけでなく、足をくじく恐れもある。私自身、昨今のSUVやミニバンから降りるのに苦労することがある。

 そうした高齢者と、介護する人にとって、乗降しやすいクルマとは実は4ドアセダンである。セダンの座席の高さであれば、ドアを開けたあと、座席に腰をおろせば乗り込める。力を入れる必要はほとんどない。

 降りるときは、まず足を地面におろして、そこから介護者が腕を引っ張れば車内から出られる。高齢者に負担が少なく、介護する人にとってもクルマで出掛けやすいクルマが4ドアセダンなのだ。

 しかしセダンでは、車椅子をトランクに乗せにくい場合もある。それであれば、ステーションワゴンがいい。高齢者の乗降においてはセダンと同様であり、荷物の出し入れはミニバンと同じようにリアハッチゲートを開けて行える。荷室容量も、セダンに比べ大きい。

 個人が高齢者の世話をするには、4ドアセダンやステーションワゴンが適している。公共でまとまった人数を移動させたり、事業者が高齢者や障害者を介護したりするなら、ミニバンや軽自動車のトールワゴンがいいだろう。そのような車種の使い分けが、福祉車両には不可欠だ。

 そのうえで、今日のSUV人気ではあるが、この先高齢者が増えるにしたがい、SUVやミニバンが必ずしも適していない利用者が増加する可能性がある。SUVブームに沸き、販売台数の半数近くをSUVに依存する自動車メーカーがあるが、かつてのミニバンブームが去ったように、いずれSUVブームも去るだろう。そして、4ドアセダンやステーションワゴン人気が盛り返す時代が来るかもしれない。

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