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「スーパーカー消しゴム」という、昭和の少年がどハマりした謎の大ブームを振り返る

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TEXT: 藤田竜太 PHOTO: Auto Messe Web編集部

小学生が摩擦低減チューニングを施す

 クルマ趣味の世界は奥深い。とくにコレクション関係はハマるとなかなか抜け出せない魅力がある。そんな中、70年代の小学生を夢中にさせたスーパーカーのカタチをした消しゴム「カー消し」の存在を覚えているだろうか。

 カー消しは、1個20〜30円ほどで駄菓子屋や文房具店、ガチャガチャで売られていた。フェラーリ、ポルシェ、ランボルギーニ、ランチア、BMW、ロータス、トヨタ2000GTなど、当時人気だった漫画「サーキットの狼」に登場する車種も多く、単色だったがカラーバリエーションも豊富。当時の子供としては、単価も安かったため集めがいがあった。

 スケール感はさすがに大雑把だったが、年を重ねていくごとにリアリティが増加。なによりスーパーカー消しゴムが流行ったのは、「消しゴム」が文房具だったからだ。

 多くの小学校では「学校にオモチャを持って来てはいけない」というルールがあったが、スーパーカー消しゴムは”合法”。あくまでも消しゴムなので学校のレギュレーションに合致しており、一部を除いて持ってくることができたわけだ。

 スーパーカー消しゴムは、いわゆるプラスチック消しゴムの一種だが、樹脂を柔らかくする可塑剤(かそざい)が少なかったので、一般の消しゴムよりは固く、実際に字を消す目的には適していなかった……。そもそも文房具としての性能はイマイチだったが、昭和の少年たちにとってはどうでもよかったのである。

 そんなカー消しの遊び方としては、ノック式ボールペンで弾いて走らせるのが主流。机の上でクルマをぶつけ合って、押し出した方が勝者となる相撲スタイルや、机の端からスタートし反対の端まで何回のプッシュでたどり着けるかを競う(飛び出しても負け)チキンレーススタイルだ。

 さらに模造紙などにサーキットのコース図を描いて、そこを周回するレーススタイルも熱く燃えた。ちなみに動力源となるノック式ボールペンは、三菱鉛筆のBOXY100が定番。書きやすくてロングセラーとなっており、いまでも現役で入手可能だ。

 余談だが、三菱鉛筆は明治20年創業で、三菱財閥の流れを汲む三菱グループとは別系統。じつは、三菱マークと「三菱」という商標の登録は、三菱財閥より三菱鉛筆の方が10年も早い(明治36年)。

 本題に戻るが、レース=競争となると、勝つためには”パワーアップ”が必要だった。動力源ともいえるボールペンを分解し、スプリングを目一杯にビヨーンと伸ばして反力を強めたり、ダブルスプリングにしたり、それぞれがチューニングしたのであった。

 もうひとつは、タイヤの部分に瞬間接着剤を塗って乾かし、ツルツルにして摩擦係数を減らすというもの。石油ストーブ用の灯油の中にスーパーカー消しゴムを漬け込んで、硬化させるというツワモノも多かった。

 地域によっては、ホッチキスの芯をボディ下面に打ち込んで水中翼船のようにリフトさせて摩擦を減らすことまでやったようだが、このようなチューニングの一部は”反則”という独自のルールもあった(彫刻刀で内側を削って軽量化を図る猛者もいた)。

 このようにパワーアップ、フリクションの低減、軽量化など、いずれにしてもクルマを速く走らせるうえで、理にかなったチューニングが行なわれていた。学校の先生は苦々しく思っていたかもしれないが、理系の勉強には大いに役だったはずだ。

 そうしたレース系とは別に、プラモデル用の塗料でよりカッコよくペイントするのも楽しかった。末期の頃は市販状態でなぜかスケルトンモデルも登場していたほどだ。いま思えば、あれだけ面白がって遊んだのに、手元に一個も残っていないのが残念。お気に入りを2~3個とっておけばよかったが、スーパーカーエイジにとっては懐かしい思い出だ。

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  • 藤田竜太
  • 藤田竜太
  • モータリング ライター。現在の愛車:日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)。物心が付いたときからクルマ好き。小・中学生時代はラジコンに夢中になり、大学3年生から自動車専門誌の編集部に出入りして、そのまま編集部に就職。20代半ばで、編集部を“卒業”し、モータリング ライターとして独立。90年代は積極的にレースに参戦し、入賞経験多数。特技は、少林寺拳法。
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