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【パイクスピーク2019】日本人ドライバーの奮闘と新たな「山の男」の存在

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TEXT: 青山義明(AOYAMA Yoshiaki)  PHOTO: 青山義明

カーリン・ダン選手は帰らぬ人に

 1916年に初開催以来、今回で97回目を数える「パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム(パイクスピーク)」。レースウィークが始まる前週まで寒波の襲来で路面コンディションも危ぶまれたが、17カ国から88名の選手が参戦となった今回の大会は、決勝前の練習走行では大きな事故もなく決勝を迎えた。

 アメリカ・コロラド州にあるパイクスピークは標高4302m。標高2862mのスタート地点からその頂上まで、全長20km、コーナー数156のコースをいかに速く駆け上がるかを競うレースだ。標高が高いため、走っていくにつれ酸素は薄くなり、ゴール付近での内燃機関のエンジンの出力は約30%低下するといわれている。もともとダートの登山道だったが、2012年には道路全域が舗装された。

 例年よりも30分、レーススタート時間が早まって午前7時半となり、まずは7時過ぎにペースカーであるアキュラNSXが山頂に向かい、ついに決勝レースが開幕した。

 まずは2輪部門が、予選タイムの悪かった順に走行を開始するのだが、いきなりコースアウトが頻発し、赤旗が続く展開に。17番手に出走した岸本ヨシヒロ選手(#39 2019年式 TEAM MIRAI Mark Coverdale IdatenX HC)もコースアウトでチェッカーを受けることができなかった。

 さらに予選トップで通過し、二輪部門の優勝候補と言われていたカーリン・ダン選手(#5 2019年式 ドゥカティ・ストリートファイターV4 Prototype)もチェッカー直前の最終コーナーでコースアウト。すぐに救出されたものの搬送中に死亡が確認された。

 日本人で最初にチェッカーを受けたのは、まさに40年モノの名機で参戦する新井泰緒選手(#183 1979年式カワサキZ1000)。今回のエントリーの中で唯一20世紀に造られたバイクだが、11番手に走行開始し、11分18秒220でエキシビション・パワースポーツ・クラス3位を獲得した。完走した新井選手は「今回でパイクスピークへの参戦を一旦中止することにしてて、完走できて良かった」とコメント。

 そして日本人2輪選手のトリを務めるのがパイクスピーク・ヘビーウェイトクラスの井上哲悟選手(#54 2018年式カワサキZ900RS)。22番手に出走し、10分36秒884でこちらもクラス3位を獲得している。井上選手は「路面が冷えていると想定し、履いたレインタイヤが完全に合わなかった。転倒はしなかったけど、転倒しそうになった回数は昨年より多かった」とコメント。午前中の気温上昇は想定以上であったようだ。

 午前11時を過ぎ、ようやく58台による四輪のセッションがスタート。四輪は予選タイムの速い順でスタートするが、予選7番手で注目のルーキー、吉原大二郎選手はデビルスプレイグラウンド手前のコーナーでマシントラブルに見舞われ、まさかのリタイア。今回唯一のトヨタ86を頂上まで運ぶことができなかった。

 このころにはすでにコースのボトムセクションあたりで雨が降り始め、これが次第にコース全域に広がっていく。そして午後2時を過ぎると、稲妻が光り、雷鳴が轟き、頂上では冷たい風が吹き始める。午前中とは全く様相が異なるといういつものパターンとなった。

 雷鳴はとどまることを知らず、サンダーストームのため中断が続く。結局は、ロドニー・オマレー選手の65号車がチェッカーフラッグ台に激突したところで、レースは短縮して行なうことが決定された。

 結果、41番手出走の小林昭雄選手(#249 2000年式ポルシェ911GT3)と、46番手出走の奴田原文雄選手(#230 2019年式日産リーフ)の2名は、昨年同様ボトムセクションと呼ばれる標高の低いハイスピードセクションのみでの競技となり、残念ながらレースの全行程を走ることは叶わなかった。

 そして優勝は、予選トップであったアンリミテッド・ディビジョンのロビン・シュート選手(#49 2018年式 Wolf TSC-Honda)が叩き出した9分12秒476。昨年にフォルクスワーゲンの「I.D. Rパイクスピーク」が出した7分57秒148には遠く及ばなかったものの、「山の男」の称号を得た。

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