運転免許返納に待った! 「高齢者運転見守りサービス」との連携が家族の救世主になる

運転免許を奪えばいいってものじゃない

 悪質なあおり運転と並び、重大な交通事故の要因として話題となっているのが、高齢者によるブレーキとアクセルの踏み間違い、そして高速道路の逆走だ。

 これら重大事故は、高齢に伴う身体機能の低下により、運転時に繰り返している認知・判断・操作の各プロセスが欠如したり、遅れが生じることで起きてしまうケースが多い。こうした重大事故を受けて運転免許を返納する高齢者は年々増えているものの、通勤や通院でクルマが必須な人、公共交通機関が充実しておらず自家用車が生活に必要不可欠な人などは、免許返納すると生活そのものが成り立たなくなってしまう。

 その対策としてカーシェアやライドシェア、無人運転バスの導入が試みられているものの、日本ではまだ実験レベルの段階。技術面のみならず、法律やいわゆる“しがらみ”など、解決しなければならない課題は多く、普及にはほど遠いのが実情だ。

高齢化クルマ社会の高齢者運転見守りサービス、カーシェア、ライドシェア

 

事故抑止力効果を持つ車載通信機や通信機能付きドラレコ

 そこで、高齢ドライバーを抱える現役世代からにわかに注目を集め始めているのが、「高齢者向け安心運転見守りサービス」というもの。

 GPSやGセンサーを備えた後付けの車載通信機あるいは通信機能付きドライブレコーダーを車両に装着することで、ドライバーの運転状況をリアルタイムで検知。家族が現在の位置や走行ルートを確認したり、急加速・急減速・急操舵などリスクの高い運転状況を検知すると記録し、運転診断レポートに反映するほか、設定した場所に着いた、もしくは設定したエリアの外に出たことなども、リアルタイムで家族にメール通知することが可能になっている。

高齢化クルマ社会の高齢者運転見守りサービス、カーシェア、ライドシェア

 高齢者に限らず、運転スキルに自信があり、これまで運良く事故に遭わなかったドライバーほど「自分は大丈夫」と自信過剰になりやすい。しかし「高齢者向け安心運転見守りサービス」を装着することで、運転操作が客観的なデータとして記録されるようになる。

 結果、ドライバーがどの程度危険な運転をしているかを正しく認識し、運転中に安全で丁寧な操作を心がけるようになることで、未然にリスクを回避し事故を防ぐ抑止力としての効果を発揮するのだ。

 

自動車保険もサポートの広がりをみせる

 こうしたサービスはオリックス自動車が「エバードライブ」、スマートドライブが「スマートドライブファミリー」として展開しているが、損害保険会社も専用ドライブレコーダーを用いる自動車保険を設定している。

 例えば、東京海上日動火災保険は「ドライブエージェント パーソナル」、損害保険ジャパン日本興亜は「ドライビング!」、あいおいニッセイ同和損害保険は「タフ・見守るクルマの保険」(2020年1月より「タフ・見守るクルマの保険プラス」)、三井住友海上火災保険は「GK見守るクルマの保険」がそれにあたる。

高齢化クルマ社会の高齢者運転見守りサービス、カーシェア、ライドシェア

 これらは前述の見守り機能や運転診断レポートに加え、事故発生時の自動通報機能や、前走車との車間距離が接近しすぎた際に警告する機能を実装。また一部の保険では、車線逸脱のほか、高速道路での逆走も検知して警告する機能も備わる。

 さらにあいおいニッセイ同和損害保険は、トヨタのコネクティッドカーを対象とし、安全運転スコアと走行距離に応じて保険料を決定する「タフ・つながるクルマの保険」を2018年4月より展開。なんと同保険の加入者は通常の自動車保険加入者に対し事故頻度が25%低いというデータもある。

 高齢ドライバーによる悲惨な交通事故を防ぐには、免許を返納するのが事故のリスクを最も低く=ゼロにまで下げられるのは間違いない。だがそれは、あくまでも最終手段。高齢ドライバーからいたずらにクルマを運転する機会を奪えば外出の頻度が減り、心身の衰えを早め、寝たきりになるリスクを高めることも忘れてはならない。

 だからこそ、こうした「高齢者向け安心運転見守りサービス」が、事故のリスクを下げながら、高齢者ドライバーが運転し続けるうえで、大きな役割を果たすのは間違いないだろう。


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