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クルマの「お正月飾り」を見かけなくなった理由は? 飾り始めるタイミングにも要注意!

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TEXT: 藤田竜太(FUJITA Ryuta)  PHOTO: Auto Messe Web編集部

取り付け困難なクルマも増えている

 もうすぐお正月ということで、年末になるとガソリンスタンドなどの洗車コーナーは大賑わい。愛車をきれいにして新しい年を迎えたいという人は多いはずだ。ピカピカに磨き上げたあと、昔ならばクルマのフロントグリルに「正月飾り=注連縄(しめ縄)」を取り付ける人も多かったが、今では見かけることが減ったような気がする。マイカーに正月飾りをつけるのが流行ったのは、1960年代後半から1970年代ぐらいまでと推測するが、なぜ減少したのだろう。

 ちょうど1964年の東京オリンピックの頃、カラーテレビ・カー(車)・クーラーは「3C」と呼ばれた。庶民の憧れの的だったクルマは、マイカーブームの到来で一家に一台の時代となった。事実、1967年には国内の自動車保有台数が1000万台を突破している。

 当時はやっと手に入れた憧れのマイカーだけに、誰もが大事に思う気持ちが強かった。だからこそ正月ともなれば、厄や禍を祓うためにヘッドライトの間にあるフロントグリルに注連縄をつけて交通安全を願ったのだろう。そもそも注連縄には、神様をまつるのにふさわしい神聖な場所であることを示す意味がある。お正月、玄関に注連縄を飾るのは、自分の家が年神様をお迎えするのにふさわしい神聖な場所であることを示すためといわれている。

 また、乗り物でいえば古くから船舶にも注連縄を飾り、航海の安全を願っていたので、クルマの注連縄はこの注連縄の発展形といえるかもしれない。しかじ、クルマの注連縄も昭和の終わりとともに減少。クルマが決して珍しいものではなくなり、有難味が薄くなったというのが原因ではないだろうか。

 テレビも登場当時は街頭テレビで高いところに祭られて、家庭に普及し始めた頃も大きな台や、長い足がついていてハイマウント化が標準。だんだん床に直接置かれるようになり、いまでは壁掛けスタイルとスタイルが大きく変化した。

 クルマもメンテナンスフリー化が進み、マメな点検をしなくても壊れなくなり、神頼みしなくても安全でノートラブルになったことで、注連縄を飾る風習は薄れたのではないだろうか。一方でクリスマスは年々華やかになるが、正月は着物を経る人も減ったし、日の丸さえも掲げない。

 はたまた羽子板や凧揚げ、独楽回し、書初めなど、日本的なお正月らしさは求められなくなる傾向がみられる。昨今では、除夜の鐘さえ、「うるさい」とクレームをつける人までいるというので嘆かわしい……。

 そうした和風の正月感が希薄になってきたのも、注連縄が減った理由のひとつになっているのも確かだろう。ほかにもデザイン的にマッチしない、グリルレスのクルマが増えたために取り付ける場所がない、注連縄をつけるとボディが傷がつきそう、カッコ悪いなどという理由も考えられるが、最終的には「みんながやっていないから」という、風習がなくなってきたところに行き着く。個人的には、最近流行りの“ドヤ顔”のクルマには、意外に注連縄が似合うと思うのだがどうだろう?

 また、LEDで電飾化した注連縄などが製品化されれば、クリスマスから松の内すぎ(1月7日ぐらい)までは、カスタム好きにとっては期間限定のドレスアップとして注目され、”注連縄復権”につながるのでは!?

 なお、玄関もクルマも、注連縄を飾りはじめるタイミングは、12月27日か28日ぐらいがベスト。29日は「二重苦」や「苦立て」を連想し、31日は「一夜飾り」といわれるので縁起が悪いといわれている。いずれにせよ、注連縄の有無にかかわらず、交通安全を願う気持ちは大事にしたいところ。2020年も気を引き締めて、安全第一のドライビングを心がけるようにしましょう。

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  • 藤田竜太(FUJITA Ryuta)
  • 藤田竜太(FUJITA Ryuta)
  • モータリング ライター。現在の愛車:日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)。物心が付いたときからクルマ好き。小・中学生時代はラジコンに夢中になり、大学3年生から自動車専門誌の編集部に出入りして、そのまま編集部に就職。20代半ばで、編集部を“卒業”し、モータリング ライターとして独立。90年代は積極的にレースに参戦し、入賞経験多数。特技は、少林寺拳法。
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