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「1日1基しか作れないV10」「打倒タイプRの日産の意地」! 技術屋の魂がこもった市販車の「名エンジン」とその伝説

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TEXT: 山崎真一(YAMAZAKI Shinichi)  PHOTO: LEXUS、NISSAN、Honda、SUBARU、Auto Messe Web編集部

4)JC-DET型 R35GT-Rも上回るリッターあたり168psを誇る日本一の強心臓

 ニュルブルクリンク最速を記録したこともあるルノー・メガーヌRSの高性能エンジンを超えるのがダイハツのJC-DET型だ。1990年に軽自動車が660㏄に排気量アップされたことでラリーやダートトラアルのAクラス(1000cc以下)は軽ターボ一色となった。このカテゴリーの王者であったアルトワークスRに勝つために、ダイハツは車両レギュレーション(当時のターボエンジンは排気量に1.4を掛けることで排気量が決定されていた)を最大限に生かした「軽自動車の排気量よりも少し大きなエンジン」を作ってしまった。しかも搭載したのは小型車のストーリア(X4)。ひと回り大きなボディはトレッドも広く、車体の安定感にも貢献するなど、まさに勝つためにはなりふり構わないピュアなマシンだった。ダイハツ・ストーリアのフロントビュー

 エンジンはミラのJB型エンジンのボアを拡大し、排気量を713ccまでアップ。これに1300㏄クラスの大型タービンをドッキングし、ブースト圧1.2キロをかけることで120pc/13.0kg-mを絞り出した(ブーストは調整可能で150psまで引き上げられた)。ちなみにリッターあたりの馬力は168.3㎰。これは当時の市販レプシロエンジンとして日本のみならず世界最高値であった。開発のコンセプト、エンジンメイク、潜在能力の高さを含め、まさにダイハツ版RB26ETTという印象だ。

 エンジンフィールは小排気量に大径ターボを組み合わせたハイブーストエンジンゆえに、その特性は超ドッカンターボ。4500rpm以上でしか本領を発揮できず、常に高回転をキープし続けていないと速く走れないかなりのジャジャ馬であった。

 当時はこの手のモンスターマシンが淘汰されていたこともあり、競技専用車にもかかわらず注文が殺到。’99年には正式なカタログモデルとしてラインアップに加わるなど人気を博した。

5)番外編 EN07型 働くクルマに合わせて生まれたメーカー謹製の高耐久エンジン

 軽自動車としては数少ない直4エンジンであるスバルのEN07型。DOHCヘッドを持ち、スーパーチャージャー装着した最強バージョンはヴィヴィオRX-Rに搭載され、軽自動車最強の一角を担う高パフォーマンスエンジン(64ps/10.8kg-m)であった。スバル・サンバートラックとバン

 が、ここで紹介するのは赤帽軽自動車運送共同連合会(通称:赤帽)仕様のサンバーに搭載されたSOHCのスーパーチャージャー(58ps/7.5kg-m、RRのためインタークーラーが付かない)だ。赤帽仕様のスバル・サンバートラック

 ヴィヴィオのような高性能やスペックを狙うのではなく、長距離移動で距離を重ねる運送業の過酷な使用を加味して特別に高耐久仕様に仕立てられたエンジン。これは360cc時代から続いており、当時の軽自動車エンジンは走らない、ライフが持たないといわれており、「これを何とか対策してほしい」という要望を自動車メーカーに話したところ、スバルだけが対策を検討してくれた、という経緯から生まれたそうだ。

 具体的には、エンジンブロック、ピストン、クランク、ベアリングなどの腰下、シリンダヘッドの形状、バルブ周りなどムービングパーツの多く部品を専用品に交換している。このため、スバルの工場には赤帽仕様専用の製造ラインがあった。

 赤帽仕様は通常走行&定期的なメンテナンスだけで20万kmでもオーバーホールなしで走り切れるタフさを持っている言われており。中古車のマーケットには50、60万㎞走っている個体が見受けられるなど、驚くべき耐久力を誇っていた。スバル製サンバーは2012年を最後に生産中止となっているが、いまだ人気は根強く、長く乗るために赤帽仕様のエンジンに乗せ換えるオーナーも多いそうだ。

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