クルマを文化する
REAL CAR CULTURE

AUTO MESSE WEB

クルマを文化する
REAL CAR CULTURE

AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

  • TOP
  • CLASSIC
  • ブームの前から「胸熱」車多数! 日産の過去のSUV6台がタダモノじゃなかった
CLASSIC
share:

ブームの前から「胸熱」車多数! 日産の過去のSUV6台がタダモノじゃなかった

投稿日:

TEXT: 山崎真一(YAMAZAKI Shinichi)  PHOTO: Auto Messe Web編集部、NISSAN

4)デュアリス

  現在は多くの国内外メーカーでラインアップされているCセグメント(VWゴルフくらいの車格)のスタイリッシュ(クロスオーバー)SUV市場を開拓したのも日産だ。2007年3月にデビューしたデュアリス(欧州名はキャシュカイ)はパワートレインやプラットフォームはパッケージは2代目エクストレイルと共通ながら、塊感あるデザインは日産デザインヨーロッパ(NDE)と日産テクニカルセンターヨーロッパ(NTCE)が担当。生産は英国日産のサンダーランド工場で行われ、輸入車として日本に導入された。初代日産・デュアリスのフロントビュー

 シティSUVでありながらオフロード色が強かったエクストレイルに対して、デュアリスはセダンに変わるグローバルスタンダードカーとして開発。ハッチバックのようなスッキリとした上半身とSUVらしい大径&力強さが両立する都会派スタイルが、当時は斬新だった。初代日産・デュアリスの走行シーン

 足まわりは欧州で鍛えられ、高品質なザックス製のハイスピードコントロールショックアブソーバーを組み合わせることで、圧倒的なスタビリティの高さとフラッドライドな乗り味を実現。SUVとは思えない走りの仕上がりは国内のジャーナリストを含めてかなり高評価だった。日産・デュアリスに採用されたザックス製ハイスピードコントロールショックアブソーバー

 ただ、欧州の販売数の増加により、2007年12月から開発拠点は日産九州工場に移管されたのだが、それ以後のモデルはどこか日本風味になり、欧州車のスッキリとした乗り味は若干薄れたように感じた。そのため、デュアリスの本質を味わいたいなら前期型、それも最初期モデルがベストである!。初代日産・デュアリスのサイドビュー

 質実剛健で非常によくできたSUVであったが、同じような価格ならば車体が大きく、豪華な装備や煌びやかな装飾を好む日本のユーザーにはエクストレイルのほうが好まれた。そのため、好評持って受け入れられた海外では2代目が登場するが、日本ではエクストレイルと統合される形で2014年に生産終了となった。高品質なコンパクトSUVを堪能したいなら今なおオススメの1台である。初代日産・デュアリスのリアビュー

5)サファリ

 砂漠の王者として今なお世界中で愛されるトヨタのランドクルーザー(以下ランクル)。日本の四輪駆動車の草分け的な存在であるのが、そのランクルよりも2年早く発売が開始され、長年ライバル関係にある日産の大型クロスカントリー4WDがパトロール。1967年式L60日産・パトロール

 もともとは軍用(警察)車両として開発され、ほとんどが海外へ輸出されており、中近東や北米などの過酷な地域や道路整備が遅れている振興地域が主要な販売先。生と死が隣り合わせである過酷なロードでの使用が多いため、絶対に壊れない、生き残れる耐久性が求められた。頑丈なラダーフレームを採用し続けるのは、転倒してボディが潰れてもフレームが生き残っていれば走り続けられるからだ。

 たぐいまれなる耐久性を持つ究極の実用車として磨き上げられてきたパトロールが、サファリとして日本の一般ユーザー向けに販売を開始したのはデビューから26年が経過した1980年。人気のTVドラマ「西部警察」の放水車として登場したことで、その名は全国に知れ渡ることになったのは有名な話だ。ただ、時代に合わせて高級路線にシフトしたランクルに対して、長く質実剛健の実用車にこだわったため、売れ行きが伸び悩み、2007年に国内市場から撤退することになる。1985年式日産・サファリの標準ルーフ・ターボ仕様

 サファリの一つの特徴が歴代強力な専用エンジンを搭載してきたことだ。直6ディーゼルのRD28にターボを組み合わせたRD28ETiや乗用車用の直6エンジンとして最大級の排気量となる4.8L(1シリンダーあたり800cc)のTB48DE型ツインカム24バルブ(280ps/46.0kg-m)などがそれで、これを見ても日産にとってパトロールは重要なモデルであることが分かる。TB48DE型ツインカム24バルブエンジン

 現在は日産最大排気量となる400psの5.6L V8エンジンを搭載。NISMOが追加されるなど、遅ればせながらハードなクロスカントリー4WDから、高級志向のプレミアムクロカンとして生まれ変わり、中近東の裕福層などをターゲットにリリースしている。アラブ首長国連邦のドバイで初公開された日産・パトロールの2020年モデル

 2019年にマイナーチェンジが行われ、Vモーショングリルやブーメラン型ヘッドライトを採用することで日産の最新フェイスにスキンチェンジ。精悍さを増した現行モデルなら、日本のユーザーに受け入れられるのではないか? 限定でもいいので復活を期待したい!

6)ジューク

 日産の元チーフデザイナーである中村史郎氏が手掛けた個性溢れる最高傑作。インフィニティFXやデュアリスが提案したスポーツシティSUVの流れを組み、市販車の限界を突き抜けたデザインオリエンテッドな1台。初代日産・ジュークのフロントビュー

 ラリーのライトポッドをイメージしたヘッドライトや切れ長の個性的なポジションランプ、フェアレディZ(Z34型)と同じブーメラン型のテールランプなど、ユニークでファッション感覚あふれるルックスはシトロエンC3エアクロスを見てもわかるとおり、間違いなくBセグメント(VWポロくらいの車格)SUVの世界に影響を与えたといっていい。今までにない、何にも似ていないデザインがマーケットに受け入れられ、特に欧州マーケットで高い評価を受けた。初代日産・ジュークのリアビュー

 ただ、クルマ作りにおいて、いったん大きく振って市場の評価を検討し、ネガを潰して次の世代で完成度を高めるやり方はよくある手法で、現に2代目ジューク(欧州専用)は初代のイメージや個性を踏襲しながら、嫌味のないスタイルで整えられている。欧州専用の2代目日産・ジューク

 2010年の発売当初はは1.5Lの基幹エンジン(MR15DE)するファッショナブルカーであったが、同年11月には日産肝いりの1.6L直噴ターボ(MR16DDT)を追加することでスポーツSUVの仲間入りを果たす。このエンジンは開発予定だった日産のスポーツカー用として用意されていたもので、190ps/24.5kg-mのスペックは当時の1.6Lではトップクラスで、4WD機構を介すことで、ハイスタビリティな走りを披露。まさに現代版のホットハッチという印象であった。初代日産・ジュークのエンジンルーム

 周囲の雑音に耳を傾けず、開発陣が初志貫徹を貫き、デザインだけでなく、走行面でもクラスを飛び抜けた性能を持っていたジューク。日産の長い歴史において後世まで語り継がれるマニアックなSUVであることは間違いないだろう!

12
すべて表示

 

 

 

 

 

 

ranking

RECOMMEND

MEDIA CONTENTS

WEB CONTENTS

 

 

 

 

 

 

MEDIA CONTENTS

WEB CONTENTS

ranking

AMW SPECIAL CONTENTS