常人にはわからない「放置車両」マニアの「実物写真」と「プラモ」が本気すぎて感動する! (1/2ページ)

常人にはわからない「放置車両」マニアの「実物写真」と「プラモ」が本気すぎて感動する!

おうち時間の中で、朽ちゆく個体の新たな表現方法を発見

 人里離れた畑や草木が生い茂る森の中、廃墟や波止場など日本全国至るところで目にする「放置車両」。ボディは事故なのか、それとも人為的なものかボコボコに凹み、無数の水アカやコケ、サビがボディ全面を覆い尽くす。タイヤの空気は抜け、ガラスは割られ、何とも無残な姿でひっそりと佇んでいる。路肩に放置されたフェアレディZ画像はこちら

 普通の人なら「何だ、ただの廃車か」と思うかもしれないが、この世界にもマニアがいる。放置車両の希少さやサビの熟成具合、車両が放置されている風景などに魅力を感じて写真に収め、ネット上で公開している人が多い。大量に放置されているオート3輪画像はこちら

 クルマ雑誌など様々な方面で活躍するフリーカメラマン、PAPANさんもその1人である。「どんなに朽ち果てたクルマでも、最初は新車だった。もし新車を買ったら、友達や家族からちやほやされるじゃないですか。放置車両でも、過去を振り返るとそれぞれに様々なドラマがあったと思うんです」。休耕地に放置されいているスズキ・キャリイ画像はこちら

 普通の人ならスマホやコンパクトデジカメでサクッと撮るだろう。しかし、そこはプロのカメラマン。放置車両の良さが際立つ撮影テクニックを常に研究し、日本国内はもちろん海外にも出向いてシャッターを切る日々。昨年はこれまで撮影した作品の個展を各地で開き、放置車両写真集「STILL ALIVE」を発売するなど(現在は完売)、精力的に活動。放置車両写真集「STILL ALIVE」画像はこちら

 そんな彼が現在、放置車両を「プラモデル」で再現することにハマッているという。

短期間で放置車両の雰囲気を再現するテクニックを習得

 放置車両プラモの製作を始めたきっかけは、コロナウイルスの影響による自宅待機が長く続いたこと。「去年までは放置車両を求めて走り回っていましたが、コロナで外出できなくなった。それなら家でできることは何だろうと考えたら、プラモだったというわけです」。スズキ・アルトのプラモデル画像はこちら

 しかしPAPANさんは小学生の時にミニ四駆やゾイドといった「動くモノ」を作った程度で、クルマのディスプレイモデル製作は未経験だった。ただ自粛中は時間があったので作り方、特にプラモを放置車両のようにヤレさせる方法はネットで徹底的に調べたそう。スズキ・アルトのプラモデルの外観を塗装したところ画像はこちら

 例えばボンネットのサビはカッターで表面を削り、段差を作ってからサビ風の塗装を施し、実車のように塗面がめくれてむき出しの鉄板からサビが出るような雰囲気を再現。経年による汚れは、模型用のウェザリング塗料を使用。塗料をシャバシャバ状態になるように薄め、雨水などの流れを考慮して筆を上から下へと動かしながら汚すのがコツだとか。スズキ・アルトの放置車両画像はこちら

 その塗料を場所に応じて3色ほど使い分けることで、リアルさが増すとのこと。サビ風の塗料は模型用ではなく、大阪の塗料専門店で見つけた一般に流通していないものを使っている。サビを再現する箇所もボンネットの先端やフェンダーアーチ、ドアの下部と実際の旧車でもサビやすい部分に集中。多くの放置車両を間近で見てきた経験が生きている。スズキ・アルトの放置車両画像はこちら

いつかはプラモ×写真の作品展を開催するのが夢

 プラモは完成したら終わり。しかしカメラマンのPAPANさんにとっては、完成した作品を写真に収めて初めてゴールとなる。ディスプレイ用の地面を自分で作り、気に入った場所をバックに遠近法を駆使して撮影しているため、プラモデルのクオリティも相まって非常にリアリティのある1枚に仕上がるのだ。「実際の放置車両では撮ってみたい個体を見つけても、クルマの向きが理想的ではなかったりすることも多い。でもプラモなら、自分の好きな向きに調整して撮影できるのがいいですね」。放置車両のプラモデル画像はこちら

 本格的にプラモ作りを始めて約半年ながら、すでに16台も作成。30台ほど作ったら、作品と写真を一緒に並べた個展を開こうと考えている。「僕以外に放置車両のプラモを作っている方と一緒に、グループ展みたいな感じで開催できたらいいですね」とPAPANさん。コロナ渦の中ではあるが、新たな趣味を見つけた彼の表情は明るかった。

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