走りだけがウリじゃない! ヤリスの凄さは「高齢者フレンドリー」な装備にあった (1/2ページ)

走りだけがウリじゃない! ヤリスの凄さは「高齢者フレンドリー」な装備にあった

高齢者や運転の苦手な人をサポートする注目装備

 小型SUV(スポーツ多目的車)人気の市場動向にもかかわらず、7~8月は国内販売の1位を記録するなど、好調な売れ行きを見せているトヨタの新型ヤリス。
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 世界ラリー選手権(WRC)での活躍もあって走行性能の高さに注目が集まりがちだが、ヤリスの魅力はそれだけではない。高齢者や運転が苦手だと思っている人を思いやるオプション装備が用意されているのだ。新型ヤリスには高齢者や運転が苦手だと思っている人を思いやるオプション装備が用意されている画像はこちら

運転席シートが外側に回転

 そのひとつが、運転席と助手席に設定のある「ターンチルトシート」だ。これまで助手席の回転シートなど乗降を補助する機能が福祉車両としてあったが、それが運転席にも設定されたのである。運転席と助手席に設定のあるヤリスの「ターンチルトシート」画像はこちら

 運転席への回転シートの設定は、じつは1982年に2代目のスズキ・アルトで採用されたことがあった。初代アルトは1970年代後半に増加しはじめた女性の運転者向けに開発された経緯がある。それは、家庭に2台目のクルマとして軽自動車が浸透することも意味し、中古車市場を視野に入れた全国統一47万円という価格設定で一躍人気を得たが、もうひとつの狙いは女性を取り込むことだった。運転席の回転シートが設定された2代目アルトのカタログ表紙画像はこちら

 そしてアルトが2代目となる際に、スカート姿でも足元を気にせず乗降できるようにと、運転席の回転シートが設定されたのである。しかしその後は、福祉車両として助手席などに採用されることはあっても、運転席の回転シートは姿を消していた。運転席の回転シートが設定された2代目アルトのカタログ中面画像はこちら

 ヤリスで新たに設定されたターンチルトシートは、車外側へ座席が回転する際に、内部のリンク機構の働きにより、回転しながら座席がやや傾くので、路面に足が届きやすく、かつ車体のサイドシルでズボンやスカートなどを汚さずに済む仕掛けが組み込まれている。ヤリスで新たに設定された運転席側の「ターンチルトシート」画像はこちら

 使い方は簡単で、座席の回転位置まで後ろへさげ、定位置に来ると座席側面にある回転させるためのレバーが表に張り出し、これを引っ張って座席を外側へ回転させる。そこで足を車外へ出したあと、もう一度レバーを引っ張ってさらに回転させると座面が少し傾きながら外側へせり出す。こうすることで、クルマから外へ出やすくするのだ。降りた後は、背もたれを軽く押すだけで座席は元の位置に戻り、ドアを閉めることができる。座席側面にある回転させるためのレバーを操作してシートを外側へ回転させる画像はこちら

 これが運転席にも取り付けられることにより、スカートを履いた女性などが足を揃えて乗降しやすくなる。同時に足腰の動きに制約を受けやすい高齢者も、楽に乗降できる手助けとなる。ターンチルトシートによってクルマへの乗り降りがラクになる画像はこちら

 高齢になると体力が落ち、座席位置の高いSUV(スポーツ多目的車)やミニバンなどへの乗降が簡単ではなくなる。私自身、SUVの新車試乗では、とくに降りるときに地面に足が届かず、飛び出すようにして降りなければならないときが多々ある。また、両親の介護をするなかで、なかなか降りられないという状況を手助けするのに苦労した経験もある。高齢になると体力が落ち、座席位置の高いSUVやミニバンなどへの乗降が簡単ではなくなる画像はこちら

 その点、このターンチルトシートを活用すれば、足を地面に着け、しかも座席ごと体が車外へかなり出るため、両手を引っ張れば車外に立たせやすくなる。運転席側であれば自分で運転する際にも乗降しやすく、操作にそれほど時間を要しないので、交通の邪魔にもなりにくいだろう。ターンチルトシートを活用すれば、座席ごと体が車外へかなり出るようになる画像はこちら

 このターンチルトシートは、永年にわたり福祉車両の開発に関わってきた技術者が、座席下に内蔵されるリンク機構を工夫し、誕生した。ヤリスで評判を得れば、ほかの車種にも展開されていくのではないか。また、そもそも降りる際にサイドシルでズボンやスカートの裾が汚れやすいSUVに標準装備となれば、老若男女をとわず嬉しい装備になりそうでもある。

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