「旧車乗り」の永遠の敵「錆」! 諦めずに闘う有効な手立てとは? (1/2ページ)

「旧車乗り」の永遠の敵「錆」! 諦めずに闘う有効な手立てとは?

大気中に酸素がある限り、鉄の錆発生を抑えることはできない!

 錆はなぜ発生するのか? 少し難しく書くと、鉄と大気中の酸素が結びついて結合し、酸化するからであり、鉄が錆に変わる手伝いをするのは水分だ。水分が鉄表面に長時間居続けると空気中の酸素が水分を吸収(乾いていく)、その際に水と酸素は化学変化を起こし、その変化に必要な電子を鉄から取り込んで陰イオン(OH-)を生成、同時に鉄は陽イオン(Fe3+)に変化し、水に溶け込もうとする。その陰イオンと陽イオンが結合し、表面から鉄の内部に侵食し、錆(Fe2O3)に変わるというわけだ。

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防錆鋼板や防錆塗装の進化で現在のクルマのボディは錆びにくくなった

 このメカニズムを知っていると錆の発生しやすい箇所はパネルの合わせ目の他に、長年のゴミやほこりがたまり、水が抜けないことで錆の温床になりやすい袋小路や水が抜けにくい骨格の凹み部分、雨水を抜くためのボディを通路部分など特定しやすい。

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ワイパーの根元が錆びている写真画像はこちら

 ちなみに、ボディを擦ったり、飛び石などで塗装が剥げて発生した錆については、あまり気にしないでいい。早めに錆を落として、塗料でタッチアップすればその後は大きく広がることはない。擦った部分から錆びが出ている自動車画像はこちら

 問題なのは、内側から外に出てきた錆。クルマ好きなら自動車雑誌などでボディの塗膜がポッコリと持ち上がっている写真を見たことがあるのではないだろうか。そうした場合は、錆はボディの裏側に発生し、時間をかけてボディ表面に出てきている。そのため、裏側は大きく錆ている可能性が大で、見つけたら早めの処置が必要だ。錆びが内部から広がりボディ表面が隆起している写真画像はこちら

 自動車メーカーも錆を発生させないための対策として、フレームやパネルなどにサービスホール(水抜き)を設ける他に、鉄の表面をグルッと覆って(表面処理)、酸素と触れさせない=化学変化を起こさせない手法を取っている。

 ボディの下地塗装である電着塗装(ドブ漬け)やボディパネルなどの表面塗装などがそれで、さらに近年は技術の進化により錆に強いパネルや皮膜(塗装)、水が抜けやすいボディ形状の開発などが進み、平成中盤以降のクルマは錆に強いボディになっている。ボディフレーム部分のサビの解説写真画像はこちら

 最近では塗装保証だけでなく、錆によるボディ穴あきまで保証するメーカーも増えてきた(期間は3~5年。規定はあり)。最新モデルは車格によって差はあるものの、例外を除けばメーカー保証が切れる5年10万kmまでは大きな錆が発生する可能性は低いといえる。

海岸沿いや降雪地域で使われていたクルマが敬遠される理由は?

 その例外のひとつが海岸沿いや降雪地域での使用による塩害。塩は錆の発生に必要な水を調達し保つ特性があることと、電気が流れるのを助ける性質があるので、鉄が錆に変わるときに発生する電気の流れを促進する。そのため、水よりも錆が進行しやすくなるのだ。

 降雪地域でまかれる融雪剤が錆の大敵といわれるのは、飛び石や水撥ねに常にさらされ、ボディパネルのように強力な防錆塗装が行われず、厳しい環境下にさらされているアンダーフロアや足まわり、ブレーキ関係に大量にまとわりつくから。凍結防止剤を高速道路に散布しているところ画像はこちら

 ディーラーや整備工場などで施工されるアンダーコートなどの防錆塗装の施工は効果がある(新車で買ってすぐにやるのがもっとも効果的。中古車に施工する場合、防錆材は必ずクリアタイプを。透明なら散布したあとボディから錆が出てきても目視で確認できるため即処置できる)ものの、クルマは複数の部品で構成され、ボディがよじれることでパーツが組み合わされる部分にはどうしても隙間が生まれる。そのため防錆塗装などの処理をすべての部品に行き届かせることは全バラにしない限り難しい。しかもボディが動くと接合部が擦れ、隙間なく塗り込んだとしても塗膜はいつか取れてしまう。ボディに塗装をしてサビ防止をしているイメージ画像はこちら

 また、飛び石や接触などでボディに傷が入れば、そこから水や塩は侵食するので、いくら念入りに防錆処理し、走行後に水で洗い流しても100%錆の発生を抑えることは不可能(もちろん、やらないよりもやった方が錆の進行は抑えられる)。海岸沿いや降雪地域登録のクルマは買わないほうがいいと言われる理由はそのためで、ボディパネルはキレイでも下まわりは錆でグサグサと目も当てられないクルマが結構存在する。中古車を購入するときは最低限フロア下を覗き、足まわりの構成部品にひどい錆がないかくらいは確認したい。錆びている自動車画像はこちら

10年が経過すると新車時にラインで処置された錆対策は効果を失う

 もう一つの錆発生の事例は、事故を起こしたクルマだ。大事なのは事故の大小ではなく、どれだけ丁寧に直しているかである。ご存じのとおり、クルマはボディパネルに覆われているので、その下は外からは見えない。サビの浸食がひどくて穴の空いてしまったボディ画像はこちら

 そのため、安い修理は見えない部分は最低限の処置しか行われていない可能性は高く、修理していない内部のパーツに錆が発生。それが周辺の生きたパネル類に悪さをして、内側から錆びることがある。

 さらに気を付けるべきはクラシックカーなど車齢が大幅に経過したクルマたちだ。最近は平均使用年数も長くなり、10年/10万km超えも珍しくなくなった。ただし、10年も経過すると先ほど述べた袋小路の部分には必ずほこりやゴミがたまっているはず。サビだらけの旧車画像はこちら

 目に見えるところであれば取り除けばいいが、雨水などが流すために設けられた通路(カウルトップ下など)やサイドシル内部、ドアのインナーパネル下部分などは見えない部分だけに気にしない人がほとんどだ。サビたボディを解体した旧車画像はこちら

 ちなみに新車時はこうした部分に錆止めのワックスやシーラントなどが塗られているが、10年も経過すると乾燥してしまうので錆止め効果は得られないと考えたほうがいい。シーリングしているイメージ画像はこちら

 また、ボディパネルの合わせ目などに使われている樹脂シール類も新車時は弾性を持っているが経年劣化で硬化する。特にサーキットなどのハードな走行を続けると、ボディが何度も動くことで、硬化したシールにクラックが入り、ボディ内部に水が浸透。滞留してしまう=錆発生につながる。硬化するのはシールだけでなくゴム類も同じ。経年劣化でゴムは縮んでしまうので、縮んだ隙間から水が室内に入ることがある。ウィンドーのゴムモールなどは要注意な箇所だ。窓枠にゴムモールを貼り付けているイメージ画像はこちら

 さらに前述したとおり、古くなればなるほど、防錆に対する対策は脆弱なため、錆対策は念入りに行ったほうがよい。クラシックカーが雨の日は乗らないというのは延命処置としてある意味正しい行動である。

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