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短命に終わった「いすゞ」の名車! 貴重なカタログで振り返る3代目「ジェミニ」

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TEXT: 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)  PHOTO: 島崎 七生人

クーペとハッチバックには複数のフロントフェイスが存在

 ところでここで改めておきたいのが、クーペ(とハッチバック)には“複数の顔”が存在していたということ。当時GMが北米市場でコンパクトカーを扱うブランドとして“Geo(ジオ)”を展開しており、このブランド向けに用意されたのがジオ・ストームだった。このモデルには初代ピアッツァ方式のセミリトラクタブルの角型4灯ヘッドランプを装着(後にフェイスリフトを受けて非リトラクタブルの別の顔になった)。またこのクルマは、1990年5月には日本でもヤナセ専売モデルのPAネロとして発売されている(ハッチバックのPAネロ・イルムシャーの発売は1992年)。PA NERO 一方で1991年8月には、2代目ピアッツァ(とヤナセ専売モデルのピアッツァ・ネロ)として丸型4灯+セミリトラクタブルも登場する。ピアッツァ

 こちらのマスクは北米仕様のいすゞ・インパルス、およびカナダ仕様のアスナ・サンファイアと共通だった。ややこしいが整理しておくと、要するにクーペにはセダンとは別デザインのクーペ専用のジェミニ顔、PAネロ顔(日本では1種類だったが北米市場ではマイナー後、1992年の東京モーターショーで参考出品されたジェミニ・ウイザードの顔……を入れた2種)、そして2代目ピアッツァ顔の、計4タイプが存在したことになる。なお北米ジオ・ストーム(=PAネロ)の顔つきは当時のGMの意向を受けてデザインされたもので、いすゞ社内では「ミニ・カマロ風」と言われていたとか。

「ニシボリックサスペンション」とは何か

 インテリアはモダンなファニチャー感覚のシート、オーガニックカプセルタイプクラスター&スイッチ(1987年のショーモデル、COA-IIIにその原形が見られた)などが特徴。標準車のディーゼルターボエンジン搭載車には、温風が早く得られるセラミックヒーターを採用した。いすゞ3代目ジェミニ メカニズムでは“ニシボリックサスペンション”が有名だ。考案者の名に由来するこのシステムは、時間軸で後輪を制御する考え方に基づくナチュラル4WSで、電子制御によるパワーアシストなどを必要としない構造を特徴とし、全車に標準搭載された。いすゞ3代目ジェミニ

 また2代目で登場したイルムシャーとハンドリング・バイ・ロータスは、3代目では当初から設定。イルムシャーのフロントのバッジは、いすゞのロゴマークではなく“i”が装着された。いすゞ3代目ジェミニ プラネタリーセンターデフとふたつのビスカス式クラッチを採用、前後43:57のトルク配分を基本とし、センターデフのビスカス式クラッチでトルクを変化させるフルタイム4WDのイルムシャーRも登場する。この4WDシステムはCOA-IIIのそれをFFベース化して搭載したものだった。イルムシャーRの搭載エンジンは1.6LのDOHCターボの4XE1型(180ps/21.2kg−m)、イルムシャー、ZZハンドリング・バイ・ロータスはそのNA版(140ps/14.5kg−m)を搭載した。いすゞ3代目ジェミニ

 スタイルもメカニズムも十分に意欲作だったが、登場から僅か3年4カ月で生産終了に。いかにも短く終わった名車だった。 

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  • 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)
  • 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)
  • 1958年生まれ。大学卒業後、編集制作会社を経てフリーランスに。クルマをメインに、写真、(カー)オーディオなど、趣味と仕事の境目のないスタンスをとりながら今日に。デザイン領域も関心の対象。それと3代目になる柴犬の飼育もライフワーク。AMWでは、幼少の頃から集めて、捨てられずにとっておいたカタログ(=古い家のときに蔵の床が抜けた)をご紹介する「カタログは語る」などを担当。日本ジャーナリスト協会会員、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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