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「ABS」も「パワステ」も、挙句に「窓」もない! 公道を走れるレーシングカー「スピダー」が今じゃ絶対に市販できないワケ

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TEXT: 近藤暁史(KONDO Akifumi)  PHOTO: Renault/Auto Messe Web編集部

1990年代ならではのピュアスポーツカー

 ルノーは元公団で、現在もフランス政府の影響力が及んだりしていてお役所的かと思いきや、そのクルマづくりはユニークだったり、大胆だったりなど、われわれをワクワクさせてくれることが多い。F1に参戦しているだけにスポーツカー作りにも長けていて、歴史を振り返ってみても魅力的なモデルを多く生み出している。

 そのなかでも異種なのが、ルノースポール・スピダーだ。ルノースポールとはアルピーヌやゴルディーニの流れを汲む、モータースポーツやスポーツグレードの開発を手がけるメーカーで、日本で言えばニスモあたりのイメージだろうか。ちなみに2021年10月にアルピーヌへ統合されて、消滅してしまった。

ワンメイクレース用のマシンを市販可能にしたスピダー

  ルノースポールは独自モデルも作っていて、その第一号となるのが1995年(市販は翌年から)に登場したスピダーだ。スピダーとは英語で言うところのスパイダーで、ボディ形状としてはオープンカーとなる。まずそのスタイルからしてユニークで、オープンと言っても幌などはなくて、開いたまま。ドアは一般的なヒンジドアではなくて、上に開くシザードアを採用していた。

 もともとは「スピダートロフィー」と呼ばれるワンメイクレース用を市販可能にしただけに、素のグレードではルーフどころかフロントウインドウもなかった。そのため風が直接当たるのを避けるために、出っ張り状のエアロスクリーンと呼ばれる導風板が付いていただけ。

 装備も最小限でエアコンは当然として、ヒーターも付いていなかった。

 当時、大きな話題になったのがシャーシで、アルミの押し出し成形した角材を組んだフレームと、ハニカムの樹脂ボードを組み合わせた軽量なもの。ボディパネルはFRP製とし、その重量は960kgだった。

パワステやABSも装備されていないスパルタンな内容

 サスペンションは前後ともピロを介して組まれたプッシュロッド式のダブルウィッシュボーンで、レース向け車両らしい仕様と言っていい。ABS、LSD、パワステ、ブレーキブースターも標準では装着されておらず、スパルタンな内容。

 エンジンについてはメガーヌ16Vと同じ、2L直4DOHCで、150ps/18.5kg-mを発生。これを5速MTと組み合わせて、リヤミッドシップに搭載していた。

見た目とは裏腹に乗り心地が良かった

 短時間ではあるが、当時試乗した感じではそのスペックやレース車両譲りのピュアスポーツというイメージと裏腹に、乗り心地はよくてエンジンの味付けもマイルドなもの。カリカリな感じはまったく感じられなかったのを覚えている。あとは強烈なオープンぶりには驚嘆だった。

 手作りで日産4台だったこともあって、1999年に販売終了になるまでの総生産台数はトロフィー仕様も含めて、1726台とかなり少なかった。また、日本にはフロントウインドウを装備した「パラブリーズ」と呼ばれるグレードが、当時正規輸入を行っていたヤナセ傘下のフランスモーターズによって100台が輸入された。

 並行輸入でもけっこうな数が日本に入っていて、街なかやワインディングで見かけることもたまにだがあった。ちなみにフロントウインドウがない仕様は「ソートバン」と呼ばれた。現在では衝突安全などの基準をクリアすることは到底不可能だろうから、1990年代ならではのピュアスポーツと言っていい。

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