深刻な新車販売の生産遅滞
新型コロナウイルスによる生産の滞りは、今でも深刻だ。半導体に加えて、ワイヤーハーネスや各種のユニットなど、多岐にわたる品不足がメーカーの生産ペースを下げている。東南アジアなど、新型コロナウイルスが終息していない地域が残る一方で、経済活動を活発化させる地域もあり、この格差も品不足を加速させた。
納期が伸びすぎて経営にも悪影響が?
新車の販売店に直近の状況を尋ねると、以下のように返答した。「以前は在庫車ではなくメーカーに注文を入れて生産する場合でも、契約を頂いたのち、1カ月から2カ月で納車できた。しかし今は大半の車種の納期が3カ月以上を要する。長い車種だと半年に達する。2カ月以内に収まれば短い部類だ」 ここまで納期が延びると、経営にも悪影響が生じるのではないか。この点も尋ねてみると「新車を販売して入金されるには、基本的に登録(軽自動車は届け出)が必要。納期が長引けば、入金も遅れる。また納期が長引くと、下取り車の査定額も変わるので、あらためて査定を行う必要が生じる。契約から納車までに長い時間が経過するのは、いろいろな意味で好ましいことではない」 今は小さなクルマが売れ筋で、2021年1〜11月に新車として売られたクルマの37%が軽自動車であった。コンパクトカーも25%前後に達するから、新車販売台数の60%以上が低価格車だ。
そのために新車の販売に伴う1台当たりの粗利も下がり、昔ほどは儲からない。そこに納期の遅延まで加わると、販売店の収益はますます悪化する。