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知られざる「カローラ」「アコード」「ジェミニ」があった! 超スタイリッシュな昔の「シューティングブレーク」7台

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TEXT: 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)  PHOTO: 島崎 七生人

個性的でスタイリッシュなシューティングブレークを振り返る

 手元の広辞苑(第7版)をめくると、クーペ、ステーションワゴンなら載っているが、“シューティングブレーク(Shooting BrakeまたはBreak)”は載っていなかった。いずれにしても、シューティングブレークもまた馬車時代からあった呼称のひとつで、もともとは狩猟のために架装、改造された馬車のことをそう言った(円周率は“3”のような大雑把な説明で恐縮である……)。

  それが転じて、近年ではエステートやステーションワゴンとは差別化を図ったネーミングとして用いられるように。最近になり、フォルクスワーゲンやメルセデス・ベンツなど、単刀直入にシューティングブレークを名乗るモデルを登場させている。

トヨタ・カローラ・リフトバック

 ところでシューティングブレークと聞いて、皆さんはどんな車種を思い浮かべるだろうか? 多分個人差もあるかと思うが、筆者なら1974年に登場した3代目カローラの5つのボディタイプのなかのひとつに設定されたリフトバック(兄弟車のスプリンター・リフトバックは1976年に登場)を挙げたい。トヨタ・カローラ・リフトバック

 今にして思えばじつに贅沢なバリエーション展開で、保守的だったカローラにハードトップ、クーペに加えて設定されたのがこのリフトバックだった。“独特の機能美”とカタログでも謳っていたが、2ドアのロングルーフ+傾斜したバックドアは、カーライフの新提案を訴求した。トヨタ・カローラ・リフトバック

 さらにトップモデルに1.6LのDOHCの2T-GEU型搭載のGTを用意するなど、カーマニア心をくすぐるしかけ(185/70HR13タイヤ+スチールホイールは当時のセリカGTと共通)も。当時、目敏いユーザーは自転車を折り畳んで載せたり、キャンプ道具一式を積み込んで休日には出かけたりしていたが、同じリフトバックでもセリカLBとは趣を異にした、なかなかのチャーミングさだったのである。トヨタ・カローラ・リフトバック

ホンダ・アコードエアロデッキ

 チャーミングさではもう1台、1985年に登場した3代目アコードに設定されたエアロデッキも、シューティングブレークと見做すことができる忘れられない存在だ。兄弟車のビガーには設定がなくアコードだけの“特権”だったこのエアロデッキは、“ガルウィング型テールゲート”とカタログでそう呼ばれる、天窓付きのルーフまで回り込んで開くバックドアが特徴。ホンダ・アコードエアロデッキ

 このドアの使い勝手はよく、筆者は1度、東京都下の自宅から神奈川県西部へ畑仕事のために、猟銃ならぬスコップやブーツを積み込んで出かけたことがあったが、個性的でスタイリッシュながら使いやすく、乗り心地も快適なこのクルマの虜になったことを思い出す。ホンダ・アコードエアロデッキ

いすゞ・ジェミニ・ハッチバック

 国産車ではほかにも、いすゞ・ジェミニのハッチバック(1991年)も、シューティングブレーク風のロングルーフが特徴のクルマだった。3代目ジェミニ登場の翌年、セダン、クーペに次いで設定されたバリエーションで、リヤクオーターウインドウからリヤゲートまでを一体的に見せたユニークなルックスが小気味よかった。カタログはイルムシャーのもので、1.6LのDOHCガソリンターボ(4XE1型)にトルク配分43:57のフルタイム4WDが組み合わせられた、じつはハイパフォーマンスモデルでもあった。いすゞ・ジェミニ・ハッチバック

日産・エクサ

 1986年にパルサーから独立して2代目に進化した日産・エクサ(のキャノピー)も、シューティングブレークの仲間に入れていい、ユニークなクルマだった。

 このクルマはボディ後半のモジュールを交換すればキャノピーにもクーペにもなるところがミソ。ただし、日本では法規上の問題がネックとなり実走行は不可能で、ディーラーオプションのキャンバストップが取り付けられた。ルーフが後方まで伸びたスタイルのキャノピーは、カパッ! と後部を開けることで、ワゴンでもハッチバックでもない新鮮な使用感と実用性が味わえた。日産・エクサ

 ちなみにこのエクサのデザインワークは、日産が1983年にカリフォルニア州サンディエゴに設立したNDI(ニッサン・デザイン・インターナショナル)のスタジオから生まれたものだった。

ボルボC30

 シューティングブレークのテーマに則して、今回は輸入車も取り上げておこう。順当なところでよく取り上げられるのはボルボで、1971年にクーペの派生車として登場した1800ESはお馴染み。そしてこの独特のガラスハッチを継承したのが480(1986年)で、さらに2007年に日本市場でも展開されたC30へと続く。C30は当時のフォードのプラットフォームを活用して生まれたコンパクトな3ドア車で、何といっても絞られたキャビン後部のガラスハッチ(後期型ではVOLVOのバラ文字が配された)を特徴とした。ボルボC30

VW シロッコ

 そのほかにVWシロッコも、ロングルーフのスタイルで、スポーティななかにもシューティングブレーク的な優雅な雰囲気を持つクルマだった。シロッコとしては1974年の初代から2代目を経て、2009年に日本市場に登場した。VW シロッコ

アウディ・シューティングブレーク・コンセプト

 そしてもう1台、2005年の東京モーターショーにショーモデルとして登場したアウディ・シューティングブレーク・コンセプトも見逃せない。TTがベースで市販化は叶わなかったのは、前出のVWシロッコとのカニバリの可能性を考慮してのことだったのか? けれど人とは違う実用的なTTとして、売り出されたら注目されたのでは? とは今でも思う。アウディ・シューティングブレーク・コンセプト

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  • 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)
  • 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)
  • 1958年生まれ。大学卒業後、編集制作会社を経てフリーランスに。クルマをメインに、写真、(カー)オーディオなど、趣味と仕事の境目のないスタンスをとりながら今日に。デザイン領域も関心の対象。それと3代目になる柴犬の飼育もライフワーク。AMWでは、幼少の頃から集めて、捨てられずにとっておいたカタログ(=古い家のときに蔵の床が抜けた)をご紹介する「カタログは語る」などを担当。日本ジャーナリスト協会会員、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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