プロでも「机上」じゃわからない! じつは「めちゃくちゃ難しい」本気で走る人のエンジンオイルの選び方とは (1/2ページ)

プロでも「机上」じゃわからない! じつは「めちゃくちゃ難しい」本気で走る人のエンジンオイルの選び方とは

ストリートカーで極限走行するためのオイル選びとは

 われわれストリートカーのユーザーがサーキットを全開で走るなら、どんなオイル選びをすれば良いのか。高ければ良いのか? 硬ければいいのか? 極限状態で走るときにどうすれば壊れないのか、コンペティティブなオイル選びに迫る。

油温計がなければ適正粘度はプロにもわからない!

 オイル選びといえば、「API」や「ILSAC」などの基準がある。そのクルマに適合した基準を取得したオイルを使用すればいいが、それはあくまで「普通に」走るときの話。普通に使ったときに問題が起きず、カタログ値と同じような燃費が達成できる基準を満たしているということだ。サーキット走行にマッチしているかは、まったくの別問題である。

 では、どう選べば良いのか。まずはサーキット走行でエンジンオイル油温が何度まで上昇するかを把握したい。「油温計なんてないよ」というクルマがほとんどだが、これがわからなければ適正粘度の選びようもないのだ。「86/BRZ」のように、OBDコネクターにメーターを接続すれば油温が出せる車種もある。そういった情報が取得できない車種は、サンドイッチブロックをオイルフィルター部に追加して、油温センサーを追加しよう。

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まず第一に油温センサーと油温計を追加しよう画像はこちら

レーシング専用車とストリートカーの違いに注意

「スーパーGTのレーシングカーでは●●オイルの0W-20を使っているらしいから、自分も同じものを使えば間違いはない」という意見もあるが、これは不正解。レーシングカーは真夏に灼熱のサーキットを連続走行する前提で作られているので、冷却対策がハンパない。油温は100℃でビタッと安定。水温は90℃のまま動かない、というのが普通なのだ。

 その代わり何時間も渋滞にハマることもないし、氷点下を走ることもないので、そういった対策はされていない。使用する条件がサーキットに限られているから、それに特化した対策ができて適切な温度でオイルを使えるので、高温になることがなく硬い粘度に油膜形成を頼る必要がないのだ。

 逆に言えば、われわれストリートカーは夏場のサーキット走行ともなれば、油温が大幅に上がることもある。そうなれば高品質のオイルと、粘度を硬くすることで対策するしかない。

 粘度を上げるほど燃費も悪化するし、エンジンのフィーリングももっさりとしてくるが、保険的な意味で、硬い粘度のオイルを使うのが無難なのだ。

 たとえば純正で5W-30指定だったら、5W-40か10W-40にするといった具合。純正指定が0W-20だったら、サーキット遊びならせめて0W-30。5W-40でもいいくらい。基本的に粘度を下げることによって油膜が薄くなり、潤滑が切れるリスクはある。逆に粘度を上げることによるリスクは少ない。燃費の悪化くらいなものである。

 なお、低温側の粘度はサーキット走行にはあまり関係がないので、純正同等のままでもいい。

ストリートカーの方が油温が高くなる画像はこちら

最高油温に合わせて適正粘度を見極めよう

 適正粘度はエンジンによって異なるので、あくまでざっくりとした目安だが、最高油温が120℃以上なら高温側粘度は40番以上の硬さは欲しい。もし130℃を超えるようなら、50番などできるだけ硬い粘度にしたい。

 そもそも130℃を超えるようならオイルクーラーをつけるか、もっと早めにクーリング走行を入れたほうがいいわけだが……。

 ならば低温時は低粘度で、高温時は高粘度の、0W-50のようなオイルにすればいいわけだが、オイルはその特性としてこの低温と高温の幅が大きいほど、劣化しやすい傾向にある。必ずそうなるわけではないが、その「傾向」にあるのだ。低温時にサラサラで、高温時にも粘度を保つという欲張りな性能を出すには、添加剤を多量に入れる必要がある。添加剤は高温でダメージを受けやすく、性能が低下しやすい。エンジン音がガラガラと異音を発するようになったり、油圧の低下が見られることもある。

 何度かサーキットを走ってからオイル交換をするなら、もう少し粘度の幅が狭いモデルのほうが、タフな性能を得られるだろう。

高温側の粘度を高めにしたい画像はこちら